さらりさらさら、刻の砂
さらら、今日の出口は見つからず
さらり、昨日の砂は無い
時計のなかでは
あどけない頬が
片隅にほんのりと笑っており
記憶の岸辺に
くすくすと
無邪気な声 ....
黒と赤まとって白いこんにちは 音は存在してるとゆうの?
高低の激しいおんがくだだっだだっぴろいのはらに吹きぬけて冬
階段を転げ落ちれば痛いけどマンホールはどこまでも暗い
....
{引用=(鍵盤が駆け上がる夜、/ガラス片、/鉄塔/に続く紅の、足跡、//)}
裏側はどうなってるかわかりません そんな理由じゃ嫌わぬ 月よ
差しだすとき、グラスの中身は原液です。 ....
くみこは空を見なかった。青い空は。
猫の匂いのする赤いカーペットの部屋で
AKAIのオープンリール回しながら
見なかった。僕の肩越しの青い空は。
みかと星空を見た。オリオンだけではなく。
....
静かな水面を犯す
色あせた小船
風に運ばれ
流れ
中ほどで止まり
つっと少女が生え
東雲の空を仰ぎ
湖に
か細い背を預け
ざばん
透明なほのお飛び散り
幾多の波紋 ....
わんと鳴いたから
「ぼち」
わたしのこと
ほんとは誰も知らないはずなのに
「おはよう」
だなんて声かけて
頭をなでなでしたりする
とげぬき地蔵じゃないんだってば
雪が降って ....
あいつが吠えてるよ
母親に毛並みが嫌いといわれて
吠えてるよ
妹の庭で吠えてるよ
姉の美味しいご飯を大好きな
僕の優しい言葉が大好きな
首輪のとれたあいつが
父親に寝相が悪いといわれて
....
灰色に曇った窓の雫を
つ、となぞると
白い雨は上がっていて
弱々しい陽射しの予感がする
こうして朝の死角で透けていると
ぬるい部屋全体が
わたしの抜け殻のようだ
だんだんと色が濃 ....
ひかりの葬列のような夕暮れに沈む、
クラチャニツァ修道院のベンチに凭れる、
白いスカーフの女の胸が艶めかしく見えた。
捲り上げられた白い腿は、悲しげにも見えた。
わたしの少し疲れた掌のなか ....
最後まで
射しこむ視線
うっとりと透ける黄金の光に
浮かびあがる白い顔が沈黙をまもっている
一瞬間、
じゅうりんされた庭に
咲く血の花が
わたしの静脈でかおる午後
いく ....
{引用=
僕が都合の良い魚になって
遡上するならあなたへ、と
}
キューブを完成させる方法
かしこく、方程式どおりに回すのか
バラバラにして組み立て直すのか
完成し ....
*
みずいろのさかなを
凍ったうみで
凍ったうみの
その下で泳がせている
気泡の、結晶
つめたい手
掬うことのない
うたがう事もないさ
たとえばわたしたち
ストレスにまかせて
....
幾度も、なんども
夢から覚めると右手にアクセルの感覚と
四天王寺から日本橋へ車線変更
遠く、象の鳴き声を聞くのです
松屋町筋へ曲がるという
思い出のような物語はいりません
ビル風に吹かれて ....
白空のヒビは街路樹の冷たい手 聞け言の葉の声をココロで
外套の襟をかすめる単音のグロリア今宵は木枯らしのイヴ
かなしいふちに降る雪が、
しろくしろいねむりにつき
冷気をはりつめて
その肺にひびいている。
しぃん、とした熱が、
深淵から徐々にひろがり
焼けた声となって吐き出され
冬の空 ....
冬の朝の肩口を
ふゆ
となぞり、柔らかさを与えてみる
100℃が滑り落ちていく、
白い学校から海までの坂道のなかで
袖をつかまれたまま
伸びきってしまうラーメンのような
(海はきらき ....
ちかごろでは、
神様の御札も
値段があがってきた。
不景気だったり 物騒だったりで、
あがったらしい。
そんなわたしたちを見て、
神様は、どういうだろ?
さぞかし心外だろ ....
海がそっとまぶたをとじる
青い響きの中
かもめは
追撃機のようにまっすぐ堕ちた
手のひらにすくう砂
ランプの芯のようにあたたかい
ぼくは見上げ
あたたかいのは君の手だと知る
浮 ....
混みあう電車のなかに
何もわからぬ少年が
瞳を閉じた
父の両手につつまれている
車窓の外は
今日という日を照らす
太陽を背に
一羽の{ルビ鳶=とび}の黒影が
翼を広げ ....
季節だけにではなく別れを告げるということ
窓のない部屋では聞こえないということ
言葉で削った窓のむこうは万華鏡じゃないということ
中途半端な闇の中
(匂いのしない風がテレ ....
きみに会いに行く
本当だった
列車に飛び乗ること
それも盲目ではなくて。
灰色の雨に流され
こころの小石が転がる
舞い散った落ち葉を踏みしめる音は
きみの泣く声に似ているから ....
時の放つやさしさは
熟れすぎるまえの果実
たおれこむ前に
僕がかき鳴らす
羽根を敷けばいい
何かいわなきゃ何か。ガシャガシャカギュウ
情熱より時間の方が先回り、ちぇいすちぇいす
....
西暦の未来分だけ過呼吸になるというなら(青い背中は、)
「ぼくという、きみというのも青までね」イヤフォン越しにゆらぐ終着
平坦な青にまみれる朝を見たあなたの声にふれてはさめる
....
枝分かれしていく 夜の
長く、しなやかな腕は
わたしを覆いながら それぞれ
しだいにたわんで その先端からやがて
着地し、朝に触れる
不必要なほどに震える あなたの
声と、指先 ....
午前四時の透明な気圏に
黒雲が闇を重ねようとしている
抗うように惑星が輝いたのは
いつも忘れてしまった季節
霧雨が街を満たそうとする
{引用=
爪を立てる前のつややかな果実だ
....
あめよ逃げないで
白々しく霧、すとおむ。影ない静かすぎてこわい
炎よりもゆらぐゆらゆららいあい今あいされない
この胚は縮こまっている
この肺は誰にすくわれる
ツェロの弾く音だけが
....
もしもここに
うつくしい空き箱があったなら
お風呂のように入って
外を眺めよう
風の吹く
外はやさしいように見える
口笛も吹こう
あの懐かしい歌
箱の片隅には
ヒイラギが落ちてい ....
思い出を
重ね
重ねて
私たちはつながっていく
ことばと
身体
私たちは許される
強く生きる
その一歩に
あなたを甘く
重ねる
ミルフィーユ
フ ....
反射望遠鏡を捨てよう
届かないものを
手に入れたと
思いこむのはもう
自分の影が見えるだろう
背を向ければ
道はそこにあり
わたしにはまぶしすぎるのだ
....
わたしは夜を求める
濃紺の空と赤い星を求める
きみは夜を求める
藍の雲としろい月色を求める
ふたりが求めた夜の中で
風見鶏は廻ってゆく
流れ着く先を知らず
また
愛情、の何かも ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157