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{引用=頂点はさらに、高さを増す。塔の上に塔を
重ね、そのようにして時代はいつも、賑や
かに葬られていく。足元には、無数のメタ
セコイアが植えられ、手をのばして、空を
仰いでいる。道は、休むこ ....
{引用=昨日の空と、今日のわたしと、明日の凪と、そこに存在しない隙間、}




窓際のプリズム きみと共有し 虹のない冬に射しこむキセキ



近づいてなお遠ざかる逃げ水にかざす指 ....
わたしの、隙だらけの皮膚を突き抜けて
メタセコイアが生えている
臓器はいつしか記憶を失くし
葉脈を血液だけがめぐりつづけいる



あまりにむごい手つきで
世界が わたしを愛してや ....

水溶性の喧騒に混じり入る
マーブル状の
夜の鳴き声

脈が終わって、それでもなお
時は余る




疎林のまばらを
記憶で埋める
蔓はどこまでも
遠く伸び

驟雨 ....
気づいたときには、わたしが
わたしという輪郭に 縫いしろを足して
日常から切りとられていた
景色はいつも、ひどく透明なので
ふりかえっても もう
戻るべき箇所を、確かめることができない ....
わたしの棲む場所を流れる川に
水はない

誰かが
橋の上から捨てた言葉を
灰色のさかながついばんでいる


     *


夏の暑い日、わたしは
忘れてしまいたい過去の過ちと ....
いくつもの読点で、あなたを区切って
体内へと運ぶ


元のカタチを、思いだすこともできないくらいに
細切れに、咀嚼していく
小指の爪から、過日の砂が落ちて
潮の匂いがした


 ....
遠ざかる夏の約束今さらに水たまりに咲く蓮の鳴き声




失ったものなどひとつもないような ちいさな津波のあとのリセット




くちづけで透明なピリオドを打つ始まらないままの第一 ....
じょうずに結えない髪の、かきわけたその奥に、
海が広がっている
黒い底は伸びて、光を吸いこんでいる
あなたがその闇へと、手をのばしては
救おうとする影を
あてずっぽうに踏んで、遊ぶ


 ....
{引用=からだのすべてを耳にしてしまいたい、いっそ}




糸電話から伝わった振動が、
あのひとの声だったと気づいたときには、もう
音もなく、底はふるえない
わたしを塞いでいく夜にも ....
正気を失いながら、それでも
わたしたちは、生まれてしまうのだろう
何度も、何度も、
そしてほんとうは
一度だって、死んだことはなかったのだと
臨終のそのときに、知るのだろう



  ....
枝分かれしていく 夜の
長く、しなやかな腕は
わたしを覆いながら それぞれ
しだいにたわんで その先端からやがて
着地し、朝に触れる



不必要なほどに震える あなたの
声と、指先 ....
現在という塊の中から
わたしの輪郭だけを残して、わたしが
蒸発していく
夕暮れの空は赤く発光し、届かない高さで
じっとして居る
いったい、わたしは何に忘れられたのだろう



浮遊す ....
晩夏の草むらに足を踏み入れると
かわいた空気がひび割れて
よれた、真っ白いシーツが敷かれ
見たことのない男が横たわっている
あばらの上には、何本もの{ルビ径=みち}があり
そのどれもが、わた ....
朝、ぼくの季節は二十五歳で
ざらざらとした空を
東から西へ
たとえそれが夢だとしても
渡って、どんなにボタンを押しても押しても/押しても
改行できないでいます



ぼくが、ベーコン ....
さよなら、さよなら、


記憶を解き放って 
遠ざかる夏の
四角く切り取られた 空


枠からはみだした場所では
かなしみによく似た顔の
ぼくたちが
今も、酸欠になっている

 ....
海岸線沿って定規で空を引く色鉛筆で画け得ぬ青




深く深い場所まで熱せられていくオーバーヒート前の打ち水




おしなべて心を乱す約束と雲の行方をだれも知らない

 ....
夜が、二足歩行で
足早に通り過ぎていく音を
淡い錯覚にくるまりながら、聴いていた
抱きしめあう行為は どこか
呼吸と似ていて、ときどき
わたしたちは声を漏らす
ともすれば ....
{引用=
きみがとなりにいて、まつげの
触れるくらいとなりにいて それは
おどろくほど退屈で いとおしい
午後で}




きのう、オジギソウが発芽して
日記にそのことは書かなかっ ....
ぼくがまだ見つけない 明日の
呼吸の波は、かぎりなく無音で
おしよせては、
皮膚のあいだに刻まれた旋律を
からめとりながら
引いていく


奥深い場所で対流する
なまぬるい記憶、ある ....
{引用=くりかえされる、すべてのいのちと
いとおしきわたしの二人称たちに}


わたしがあなたを産んだそのとき
それとまったく同時に
あなたがわたしを産んだのです
この、配線だらけの街の ....
水を、欲している
のどの ずっと奥のほうで
さかなが泳いでいる



季節が融けはじめていることに
気づいたときには もう
わたしのなかの海は 浄化され
沈殿していた過去があふれ出て ....
水深5キロメートルの恋に落ち プールサイドで墜落する午後




砂浜の午睡からうつら目を覚まし すいかの縞の波に溺れる




ピーラーで削がれ半裸になりしきみ 水にさらせば ....
彼方からの気流にのって 届いたそれを
あのひとは
夏だと言った



わたしにとって
わたしの知らない、どこか
遠い場所で あのひとが
笑ったり、泣いたり、しているということは
あ ....
   
{引用=  あのひとの記憶がしずむ海は、いつしか防砂林で見えなくなった
  越えられない高さに、すこし安心した}   





砂が、降って
深く深く沈んで 底まで
皮膚 ....
筆先で湛えきれず
液体が
ぽたり、ぽたり、と
滴るので
両の掌をくぼませて、ふくらみをつくり
上向きに 
すこしかさねて
それをすくおうとしてみるけれど
わずかな隙間を
液体はすりぬ ....
ターミナルに出ると
うす青い空が広がっている
通りは車で渋滞していて
そのまんなかでは 赤信号が
意味をさがしながら
点滅する
帰らなければ、と漠然とおもっていた
帰ろうとするその方角を ....
ねえ、ブランシュ、
あのとき
あなたが越えようとしていたものがなんだったか
今のわたしにはもう
それを知る手だてもないけれど
あなたはいつも わたしの
理解の範疇をこえて
日常のただしさ ....
油染みだらけの記憶のわら半紙提出期限をとうに過ぎ去り




透明なグラスの底を目にあててきみの星座を見る白昼夢




あの夏にきみが投じた問いかけのこたえをさがす 波のまにまに ....
透きとおる真昼に
日常が、消えていく
八月に買った青いびいどろは
もう割れた



観覧車に乗りたいと言ったのは
あのひとのほうだった
てっぺんに着いても
世界はちっとも見えなくて ....
ルナクさんの望月 ゆきさんおすすめリスト(69)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
トーキョー- 望月 ゆ ...自由詩32*10-7-4
終わりなき、グラデーション- 望月 ゆ ...短歌9*09-7-21
未完の、ソネット_「隠家(あじと)」- 望月 ゆ ...自由詩8*09-7-1
輪廻する、夏- 望月 ゆ ...自由詩12*09-4-3
運針の、記憶- 望月 ゆ ...自由詩42*08-7-28
水の空席- 望月 ゆ ...自由詩49*08-5-13
カニバリズム- 望月 ゆ ...自由詩43*08-3-22
【短歌祭参加作品】かげろふの、むこう- 望月 ゆ ...短歌22*08-3-18
巡礼の、風景- 望月 ゆ ...自由詩13*08-2-29
朝の、底- 望月 ゆ ...自由詩31*08-2-20
さしすせそ、- 望月 ゆ ...自由詩37*08-2-16
かさなりつづける、朝に- 望月 ゆ ...自由詩40*07-11-28
輪郭、その曖昧な、- 望月 ゆ ...自由詩33*07-10-22
径(みち)- 望月 ゆ ...自由詩20*07-10-17
拝啓、君は元気ですか?- 望月 ゆ ...自由詩20*07-10-11
やさしみ- 望月 ゆ ...自由詩42*07-8-27
凪いでいく、夏の、- 望月 ゆ ...短歌26*07-8-11
リスク、- 望月 ゆ ...自由詩61*07-7-9
そんなふうにして過ぎていく- 望月 ゆ ...自由詩56*07-5-25
耳の産声- 望月 ゆ ...自由詩29*07-4-18
流転する、すべての- 望月 ゆ ...自由詩39*07-4-10
回遊、わたしのなかの、- 望月 ゆ ...自由詩58*07-4-4
【短歌祭参加作品】半透明の夏- 望月 ゆ ...短歌29*06-7-25
透けていく、夏- 望月 ゆ ...自由詩42*06-7-13
不感症の夜に- 望月 ゆ ...自由詩63+*06-5-17
水墨夜- 望月 ゆ ...自由詩50*06-4-14
終着、そこからの- 望月 ゆ ...自由詩2206-4-11
ブランシュの丘- 望月 ゆ ...自由詩24*06-3-10
教科書を、閉じる- 望月 ゆ ...短歌37*06-3-6
八月の、リフレイン- 望月 ゆ ...自由詩38*06-2-24

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