江ノ島の砂浜で、
少年だったわたしは、
父とカイトを、飛ばした。
父の、大きな背の、
後ろで空を見上げる。
埋まる足元と、手につく砂。
潮風に乗って、
黒い三角形のカイトは、
糸をはり ....
折り目が
1センチほどやぶれた地図

玄関先でひろったのは
あさっての出来事
です

20世紀横丁までの
道順を
黄色いマーカーで
くっきり、記してあります

歩くべき道は
 ....
太陽が隠れ、雨が降っている。
駅から、歩いて帰る途中、
だれもいない、
公園による。

幼いころ、よく公園で待たされた。
雨が降っていても、
寒さで凍えながら、
靴の中が水で濡れても、 ....
やわらかく夜は
わたしと明日のあいだを流れてゆきます


あなたは
向かいあう見知らぬひと、や
すれちがうたいせつなひと、や
ほんの1ミリのすきまでとなりにいる
わたし、

ふい ....
ところであなたは
どちらにお住まいですか

たずねると
その人は、
ビー玉沿線ですよ。
とだけ言って
ころころ笑った
笑いながら
ころころすれ違って
ふり返ったときには
もう
 ....
あなたはたぶん
わたしがシアワセと感じる指先や
透明になれるほんのすこしの暗号を
ちゃんと知っていて
いつだって手をひいて
この思慮深い森の出口につづく
複雑な線をといて
近道へ、
近 ....
ストローの紙袋を
できるだけ遠く
白く、吹いて
氷の空へ飛ばす

コツンとあたった
かすかな点から
ぱきぱき、と
空はひび割れて
肝油ドロップがふりそそぐ
雪乞いの
甘い甘い、 ....
わっこ ほっこ ゆぎっこ ちみで

なして おらえのほうさ ふるなだべ
まんじ あさはやぐがら おぎでしゃ

みぢ こしゃねば あるがれねべた
ゆぎっこ つもって あるがれねべた 
 ....
たぶんきみたぶんきみだと思うんだマリーゴールドみたいな空だ


ハート型に切り抜かれてるきみのむね猟銃くわえる真似をしてみる


きみのため蛍光灯を次々とつけてゆくからどんどん消しな

 ....
少女たち暗黒舞踏を踊る夜旧市街へと駆ける少年


少年が少女の着替えを待っている土の器をふたつ並べて


蜜だらけベッドの上で酔い潰れ蛇足過剰の花をむさぼる


張り詰める音楽室の黒 ....
丘しかない街の周りをてんねんと呼ばれるきみの自転車がゆく


「本当は円かもしれない」そう言って虹の半円探しだすきみ


ていねいに折り目をつけてあれはシャツ飛んでゆくのはアイロンですね
 ....
今青き蛇の抜け殻くぐりぬけ廃墟のごとき雨の降るかも


コスモスの群がる丘で赤と青 少年少女が燃やすむらさき


錆び付いたあなたが今夜もあらわれて僕のくちびる噛んでさよなら


降 ....
 一人でいることに、何年も飽きなかった。シートの、海に伝わる神話を読みながら、永く暇をつぶしていた。精霊の女、の横顔の表紙。空腹の中、海に向かう道、カセットで、オペラを聴きながら、わたしは車を走らせた .... バス停で君を待ってる手の平に人とゆう字を千回書いて


鉄棒に逆上がりして校庭を空へと落とすサッカー部員


難解な数の定理を飛び越えてブッダのように眠ってるきみ


教科書の隅に落 ....
 
 たった一言交わして
 すれ違うだけの人にも
 私を憶えていてほしい
 それは贅沢なことだろうか


 食卓や墓地や廃屋にさえ
 いつも人の面影があった
 私の生まれは人だから
 ....
午後からの黄色い日差しが
薬指を切断して
といっても痛くはなかったけれど
そこからこぼれてしまったから
月はなかなか登場できない

こぼれたものを
みんなが拾って来てくれた
といっても ....
罪の森きみの手を取り「逃げよう」と言った途端に僕も罪人


森のなか追いかけごっこふたりして迷い込んだねもうひとつの森


瓶詰めの蝶を埋めます木の根元「飛び立つものはすべて埋めます」
 ....
縁側で闇を見ている妹の白いうなじが僕を呼んでる


夏野山汗ばみながら駆けてゆくゆくえふめいの妹の兄


鉄塔の錆びた階段昇りゆく100階したから姉とは呼べづ


鏡台に映る妹べにを ....
ゆふぐれに君とふたりで春の墓地ここでひととき幽霊しようか


「五千年前の約束忘れたの?」花火しながら妹が問ふ


昆虫がふたりの為の出会いなど知らづに運ぶ花粉かな


警報機こわし ....
ある時あなたが産まれた
あなたを抱いた看護婦さんは
「わあ〜やわらか〜い」
と、とても暖かな気持ちになった

ある時あなたは小さな子供で
あなたのまるいほっぺたを見たおじさんは
「ああ、 ....
エミリー
あなたと最初に出会ったのは羊水の中
あなたは何も言わず
私を蹴って押し出してくれました
あなたはそれっきりそのままで
難産だったと語る母にあなたのことを訊いてみたのです ....
ネギを買いそびれて
僕たちはネギの話ばかりしていた
こんなに真剣にネギの話をしたのは
何年ぶりだろう、なんて

今でもネギを見ると
あの日のことを思い出す
だから僕は
ネギを食べなくな ....
ルナクさんのおすすめリスト(4684)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
点のカイト- 光冨郁也自由詩905-2-20
20世紀横丁- 望月 ゆ ...自由詩4*05-2-19
ペガサス- 光冨郁也自由詩7*05-2-17
やわらかく夜は- 望月 ゆ ...自由詩23*05-2-3
ビー玉沿線- 望月 ゆ ...自由詩14*05-1-22
ナビゲート- 望月 ゆ ...自由詩10*05-1-15
肝油ドロップ- 望月 ゆ ...自由詩16*05-1-8
ちみで_雪- 砂木自由詩13*04-12-26
そよ風のバラード- 本木はじ ...短歌704-12-7
少年少女探歌- 本木はじ ...短歌1304-11-14
生活未遂- 本木はじ ...短歌604-11-6
退色未遂- 本木はじ ...短歌2804-11-2
バード_(「バード連作集1」)- 光冨郁也自由詩20*04-10-13
FAREWELLAFTERSCHOOL- 本木はじ ...短歌1004-9-28
人_(2004.9.25)- 和泉 輪自由詩2904-9-25
ふつうの時計- ふるる自由詩7*04-9-22
瓶詰めの森- 本木はじ ...短歌1604-8-26
夜光中- 本木はじ ...短歌3504-7-14
廃失者- 本木はじ ...短歌2604-5-24
ある時あなたは- ふるる自由詩11*04-1-9
エミリー・エミリー- いとう自由詩63+03-11-24
ネギ- たもつ自由詩1603-10-30

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