私は殺人鬼だ
自分で自分を殺そうとする
どうしてか分からない
ふとした衝動が私を襲う
ナイフでその手を切れと
私はその指令に抗おうとする
だが時 ....
パンツをはかないで
ジーパンをはいた。
なんだか
ぜいたく。
東西線の中野行き
隣に座った女は黒い服
携帯電話握り締めて
テトリス
俺もやるからテトリス
きれいに積み上げて整然と
端っこだけ空けて待つ
確信犯
華麗に消す
テトリス
終 ....
女にふられたので、
今度のこんどこそ、
この女でなければならない女にふられたので、
トマトジュースを飲んで、死のうと思った。
なんでトマトジュースかといえば、
野菜が足りないと思ったからだ。 ....
脈を取ると指先に
セミの鳴き声が
伝わってくる
僕らの身体の中にも
駆け抜けていく夏があったのだ
どうかお元気で
手を振り
手を降り返したあなた
あの日に
友だちでいてくれて良かった ....
いとうさんと飲んだ
あしたのあたしはあたらしいあたし
という一文があって誰の詩か思い出せない
みたいな話をしたような気がするけれど酒のためか思い出せない
いとうさんと飲んだ
みた ....
朝 ちゃんと起きられない
煙草をやめられない
満員電車に慣れない
新聞を読まない
爪を噛む癖が抜けない
目を見ながら話せない
煙草をやめられない
うまく話 ....
ノクターンそのたくらみに旅をする
まなざし揺れる夜の窓際
ささやきに似た腰つきでつぶやきに
似た足どりでダンスする{ルビ夜=よ}は
ガラス窓くちづけかわす夜の色 ....
間もなく思想がまいります。
危険ですので
足元、黄色い線の内側に
心してお下がりください。
どちらが内側で
どちらが外側なのかの判断はお任せします。
ともかく黄色い線の内側に
心して ....
あの日
花を活けている母のそばで
私は
剣山を手に押しあてて
痛み
その直前で手を止める
残虐な笑み
横たわる百合の花
その白さと
花の奥
見てはいけない遠い闇
青い花器 ....
雲の{ルビ峯=みね}水なき川を渡りけり 子規
明治三十二年、子規三十二歳の夏の作。私の最愛の句。また子規には
{ルビ藻刈舟=もかりぶね}雨ふるかたへ帰りけり 子規
とい ....
詩人は自分のことを
詩人とは思わない
詩人とは詩人以外の人が
勝手につけた便宜的な呼び名に過ぎない
詩人とは詩人以外の人が
詩を書きたいと願うときの
理想の人間
この世には存在しない ....
母とふたり
ブランコを引きずって歩く
強い陽射しに皮膚は焼かれていく
健康に良いことだ
母は教えてくれた
たくさんの人とすれ違う
みな一様に微笑んでくれる
支柱が肩に食い込んで痛 ....
地デジがやってくる
大股で闊歩して
この街にもやってくる
くっきり画面を携えて
番組予約も楽々で
裏情報もばっちりで
夢の生活必需品
液晶画面の向こうでは
だけど
昨日と変わ ....
寝とったらまた隣がやたらウルサイから目が覚めた。
ドア開けてそーっと見てみたら、やっぱいつものヤクザやった。もう最近は慣れたけど、最初はマジびびってて、ほやけど興味があったから、何回目かのときに初め ....
ドングリのみなさま
しばしご聴講いただけますでしょうか。
私、もドングリではありますが
この度、ドングリ代表に立候補いたしましたことを
ここにご報告いたします。
他にも2個のドングリ ....
季節をぜんぶ
秋にしたい
生まれ変わってもおれは男でいたい
女になるのは嫌だ
おれは次ぎに生まれるときもぜったいに男でありたい
....
ウロボロス、
光のなか、虚の時間、
あなたたちは2匹ずつ笑って
互いの尾を噛み
楕円となって回り続ける
生成と消滅がくりかえされるそこで
それは生まれた
衣を破って
なにもないとこ ....
東京行きの列車が
一番線のホームに到着する
あれに乗ればトーキョーまで行けるのね
娘は言った
うん、行けるよ
行きたいな、トーキョー
この間の日曜日みんなで行ったじゃないか
....
なまえなど我にいるものなどでなし 吾が名は ただの トランペット 。
保護をうけ生活し我の小さな國 完成 間近に 小鳥が 来鳴きぬ 。
ひとつこと ただ 思い詫び過ぎにし 日々の クリスマ ....
南瓜がおいしく炊けたので嬉しくなる。自分のみせかたと他人のみせかたが相俟ってプラス二乗になったので言葉に乗せてみたくなる。わたしはここではどうあっても最期のラッパ吹きなので病院に問い合わせてホームヘル ....
ソーダゼリーが好っきゃ
めっちゃ好っきゃ
でっかい青いソーダゼリーをな 用意してやな
裸になって 飛び込みたいんや
体の内側も外側もソーダゼリーで満たすんや
息も絶え絶えに溺れるねん
....
雨で頭も体も重いから
今日は一日眠って過ごそう
ピンクのタオルケットを
頭から全身被ったら
まるでピンク色のさなぎの様
中から見る色もピンク一色
....
かみさま
できれば
いま
だきしめてほしいです
それができないのなら
ころしてください
おそらく有限であろう未知をたべること ....
大きな輪があった
くぐってみた
何も無かった
大きな輪があった
くぐってみた
何も無かった
大きな輪があった
くぐってみた
何も
無かった
小首をかしげて 鳥が
私の胸のあたりを
ついばむ
私は
驚きで声も出ない
鳥は
よくわからない
といった風情で
私の
腕をついばみ
ひょい、と脚に移って
ついばむ
小首を
....
おんなのこはバナナとイチゴがすき
まるみのおびたちいさなスプーンで
くりーむをたがいのはなのあたまにくっつけあうのです
つくりかたはバナナとイチゴをスプーンのうらでつぶしながら
ふにゃふにゃふ ....
昨日、ビールを家で飲んだ。
初めてひとりで飲んだ。
苦くてどうしようもなかったので
ギンギンに冷えたチョコレートを口の中で溶かしながら飲んだ。
にがいにがいと言いながら。
葡萄つまみ雨をながむる女かな
{ルビ大西日=おおにしび}傾く頃や人と逢う
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