熟されてワインのように薫る日々
ひとひ{ルビ一日=ひとひ}を飲みほす人生
男泣き今にこの恋忘れるさ
五臓六腑にいも焼酎よ
紫煙はき椅子に毒づくたったひとり
....
盲目の道化がひとり
ごった返す真昼間の往来を
踊るような足取りで歩いてゆく
それを指差して嘲笑う子どもたち
囃し立てるように
手を叩いて大騒ぎする
皆がそれに気を取られている隙に
....
りんごは優しく指を濡らし
珈琲は
のどぼとけを笑わせながら
そっとすべりこんでくる
隣のうちのベランダに
タオルケットが干してある
いつから干してあるのだろう
もうずっ ....
「みんな、まじめだなぁ。」
そんなこと言ったら、失礼だけどそう思った。みんな、詩人としての立場や意志を確立されてたり、確立しようと頑張ってたり。熱く、熱く、語ってた。
自分は、熱くなれない ....
立ち並ぶ{ルビ欅=けやき}の枝に日は紛れ案外永き秋の午後かな
ちょっとだけなんて
そんな大それた嘘は言わないから
このままずっと寝かせておいて
気休めや脅かしの言葉なんて
幾つも通り過ぎていったから
今更 届くなんてことはないでしょう
掴まれ ....
どうして足のうらなのに
土を踏まないのだろう
そんなに凹んで
まっしろな砂丘のように
いつかほんとうの
おまえの生まれた土地を
踏みしめるためなのだろうか
いつかほんとうの
おまえ ....
大きい声を出すと
ずぼんがゆるくなって困る
とお兄ちゃんは言う
あたりまえだ
大きい声を出しても何にもならないと
承知の上でまだ怒鳴るから
そういう羽目になるのだ
お兄ちゃんは
人 ....
あのう
ちょっと聞くんですけども
拾ったお金がいくらだったら
あなたは
警察に届けますか
10円
まさか
小学生でもしませんて
100円
それじゃ
ジュースも買えない
....
同じ旗同じはためき秋の空
マリーゴールドと
マーガレットの区別がつかない
ツバキとツツジを間違えて
笑われてしまう
アヤメとカキツバタにいたっては
はなっから諦観の境地で
でもそれはちょうど
パスカルとサルトルを ....
女にふられたので、
好きで好きでたまらない女にふられたので、
砂漠へ行って死のうと、
そのままとかげとかハゲワシだとかに、
食われてしまおうと、
十月の運動会で俺は考えた。
町内会のかけっ ....
さみしいと
寄り添うくせがあるので
いつも
ポケットにウサギ
鼻先を
ちょこんと出して
ふさふさの
耳をたたんで
私があまりにも
にこにこしてるので
人は誰でも不思議そうに ....
*
最近
妻が出来た
嫁を娶ったのではない
わたしは女であるから
正確にいえば
嫁の方から勝手に来たんである
或る夜のことだった
四百円を手にちゃらちゃらさせながら
....
好きという気持ちで動けないの
指の間から水が零れていく
その瞬間に鳥の横顔
夢から覚めたかのように頬が冷たい
パジャマに水飛沫
涙の跡のようにてんてんと残して
水に放して
捕まえて
また、放し ....
白黒同居してて
灰色じゃないところが好きよ
愛しのパンダちゃん
色なんか無い世界で
幸せになりましょうね
カレーうどんが食べたいと思い立って
冷蔵庫の中にある芽の出かけた玉葱をぐわしと掴み
冷凍庫の中にある霜の降りた牛肉をがおんと掴み
小さくし過ぎないように家宝のエクスカリバー
つまり手刀で切る斬 ....
タイも
ヒラメも
マグロも
みんないました
白いお皿の上で
おそろいのお刺身でした
海みたい
子が言いました
まだ海を
見たことのない子でした
・
曖昧に舌を含んで
ただ笑った
あなたの考えている事は解らないと
言われたから
悲しむだけの隙間も無くして
ただ笑った
薬は二週間分出たから良かった
・
フォークを持つと
人 ....
だれかが 言いました
「言えない言葉をたいせつに 」
するとあかないはず の ドアが
ぱたりと
ひらきました
明後日、
水曜日
すいようび
すいようび
....
alfa.---
風に乗り空を遠く渡っていくために
鳥は翼を手に入れた
遠く遠く 自分の生まれた場所など忘れ遠く飛ぶために
どこまでも似た大地が続き
同じ海原が続いた
地平線一杯に ....
児玉あゆみさんって、知ってる方も多いんじゃないかな。ポエトリーリーディングではかなり有名で、ベンズで優勝とか、詩のボクシング関東大会で優勝(だったかな)とか。NHKの番組「真剣十代しゃべり場スペシャル ....
掌で
容易に潰せる
小さく脆い
夢ですが
いつか
大きく強く
羽ばたく日を信じ
輝きだけは
失くしません
千羽揃えば
きっと
きっと
僕らは 同じ向きの
くの字で ねむる
てれ屋の君が
こんな そばで
じっとしている
ねたのかな?
君のあたま なでてみる
僕は 君が 好きだ。
うなだれる白い首筋なぞる指乱れた髪を櫛で掻き揚げ
金木犀の
金木犀の
花の陰が
心にはらり、落ちてゆく
この道は
この道は
いつに辿ってきたのでしょう
金木犀の
金木犀の
花の香は
昔にかよう
消えかけた
面影一つ ....
私は殺人鬼だ
自分で自分を殺そうとする
どうしてか分からない
ふとした衝動が私を襲う
ナイフでその手を切れと
私はその指令に抗おうとする
だが時 ....
パンツをはかないで
ジーパンをはいた。
なんだか
ぜいたく。
東西線の中野行き
隣に座った女は黒い服
携帯電話握り締めて
テトリス
俺もやるからテトリス
きれいに積み上げて整然と
端っこだけ空けて待つ
確信犯
華麗に消す
テトリス
終 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88