そんなふうに
春が眠り 寝息が聞こえて
やすらって いたなら
霞むんだ
高雲の桜色の空に やってきた
風にほんのりと
春の靄は大きな体を
この地にあずけきって
眠っている
....
もう 2月も終わったね
おまけのついた
今年の2月
わたしはあなたの
おまけだった
だけど
自分であるいていくね
これからは
だから
さ ....
すな、空のように口ずさんで
空のむこうにセスナがみえた
夕くれなずむ砂浜の色が
遷移していくさまにみとれて
セスナが制御を失っていくさまを
子どもと手をつないでみていた
神がく ....
たぶん
暗闇
こころに
色なんてない
色が
色を
呼んで
こころに
形なんてない
形が
形を作って
遠いところに
ある光
とりあえずは
あの光を
目指して
アーモンド舌噛んじゃった冬日かな
叢雲の縁の輝く寒さかな
ぎいという音も絶えたる冬日かな
ノックをしてみる
と、きちんとノックが返ってくるので
僕は待ってる
春になって数回目の風が吹く
見上げる空の青さも
鳥の羽ばたきも
風にさらされている皮膚も
本当は多分
言葉でしか ....
まるで
ほら
粉砂糖かけた
クッキーみたいな
葉っぱ
あのひとにも
粉砂糖降り積もって
そろそろ
暖かい部屋に入って
お互い
かじりっこしようよ
眠ってしまった
あんなに観たがっていた映画
青白く照らされた寝顔が綺麗に思えたから
起こさないように一枚撮ったんだ
ステンレスの浴槽で
いつまでも君と溺れていたい
海月みた ....
おにぎりの要領で
ぎゅっと空気を押し固めると
野球のボールくらいの球体ができあがる
無色透明だけれど
触れるとちゃんとそこにあるのが判る
砂糖や小麦粉をまぶすと
指の跡までくっきりとうかび ....
噴水のそばでは
アビリティーが無効になります
仕事の話はやめましょう
大声で電話しながら歩いている人
あなたの内側を掃除したい
2004年11月23日制作の上記「噴水の話」から、昨 ....
1.「ナオタへ」
{引用=すこやかなよるに
知らないこと を
ふたりで 机にならべた
フライ返しで
ナオタは
ひとつずつ
ひっくり返した
ナオタは
ゆびがやわらかくて ....
君の胸で飼われるうさぎになりたいと思う今日から欠けてゆく月
思い出を糸玉にして絡めとる 躓かぬよう掬われぬよう
耳たぶに可憐に小さく花咲かす君の愛するパールホワイト
我の ....
紫色のくちびるを震わせ
熱いコーヒーで暖を取るわたしに背を向けて
あなたはストーブに薪をくべている
見覚えのあるチェック柄の毛布
あなたの匂いを胸一杯に吸い込んでみた
冬の嵐の去った ....
一秒ごとに
とどまる
時間が
抜殻として
輪郭を残し
なだらかに
連なる
呼吸と
思考
いくつかは保たれ
いくつかは置かれたまま
ふりむけば
うすい
半透明の
殻が ....
なぜすいません、なんだろう
雪山でロストして
大捜索して助かった
禁止区域に入ったからだ
つつしめ
慎め
行動を
識者たちは憤る
政治の嘘には絡まぬくせに
なぜすいません、なんだ ....
甘噛みする
うさぎ
声をあげない
やさしさは
痛み
容易に予言する
はねを広げる
うさぎ
いつしか
鳥を真似て
さみしくてさみしくて
手のひらを閉じた
ささやき ....
この頃は
新聞の死亡記事を切り抜いて
町内の電信柱に
べたりべたりと貼り付けることにしている
今日もこんなに沢山の人が死にました
毎日毎日人は死にます
これだけの人が死ぬ中で
わ ....
雑踏に美人みつける時雨かな
ころがる
しずかな すいへいせんの上
あさ
お茶をわかしながら
てのひらで
背骨をなぞった
恐竜のように
そらへとつづく梯子の ように
あなたが
つづいている ....
沸かし過ぎた珈琲に冷めた珈琲足してすするすする深夜淋しさなし
空をさす小枝のような
父の指に
赤とんぼがとまる
お父さん
声をかけると
赤とんぼを残して
父は飛んでいってしまった
驚かせるつもりなんてなかった
いい年をして、と
笑われるか ....
批評祭参加作品■ダイアリーポエム調の散文
午前6時半、目覚ましの音で目を覚ます。目を覚ますが再び眠っていたらしい。再び鳴
ったベルの音に目を覚ます。目は覚めているのだがまだベッドの中でもぞも ....
「オルガン」
オレンジみたいな涙を流すから
いつも泣かされてばかりいた
優しいね
キミは唇を頬に寄せて
流れる柑橘涙を上手に受け止める
夏の子供用プールはレモンの匂いがするね
....
【短歌八首】「風花、みぞれ煮ぼたん鍋」
猪を狩りて山の慟哭 ねずの空から 風花、みぞれ煮ぼたん鍋
かつをがマクドナルドに行きたしと言ひ 釣ざおかつぎてバケツさげ
赤く ....
手袋の
こすれるすきまから
しろい空気を ふー、と
吐き出すと
それは
青い空にのぼってゆく
きれいなけむりに
よく
似ている
それで
つむじは むずむずして
町も ....
バリバリと板チョコ食へば冬の夜腿の辺りが寒く感じぬ
かみさま って
ひらがなで書くのは反則だ
世界 ってやつをひっぱり出すのも
ルール違反ってことにしよう
そこから
おれたちはまず
書きはじめなくてはならない
雨上がりの
濡れた ....
雪が降っている
ゆっくりと
確実に
地面に
森に
山に
田畑に
人に
犬に
家々に
音も静かに
きちんと降りてくる
そんな様を見ている
景色が
無音の白にな ....
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