あなたの古い帽子の色を
新しくし続けている
寂しいことがいつも
正しいこととはかぎらないけれど
もう少し、窓を、開けて
虫たちのお葬式が
時々見えるから
小さな座卓では
行儀の ....
月ではまだ
冬の初めで季節が
止まっているようだった
浅い眠りの合間に
この頃よく、夢を見る
凍えたままの月面で
あなたをこの腕で抱き ....
高橋メソッドは巷で有名な、やたらに大きい文字でプレゼンを行う方法です。↓
「高橋メソッドとは」
http://www.rubycolor.org/takahashi/
なんと!文字を ....
水鏡の裏側からわたしは見ている
黄色い土壁と
くすんだ緑の屋根を
潅木の足元に散り落つ白薔薇を
誰かの足音は
水面に波紋を広げるのだが
雨のひと粒ほどに
まるく響きはしな ....
秩序と自由に鐘がなる。
「おばあちゃん元気にしていた?」
わたしの大好きなおばあちゃん
共稼ぎの両親はいつも家にいなくて
学校から走って家に帰ると
おばあちゃんが出迎えてくれて
手作りのおやつがとても美味しかった
....
蝉時雨耳をふさぎて見合いけり
人ひとりとどめてありぬ夏の山
{引用=茶事}
チューリップどくたあすとつぷさへぎられ
永遠に蝉の抜け殻さがす午後
誕生日なずなに今日をうばはれて
一大事つばきの花びらひとは落つ
....
名前だけで結構です
そう告げられて、少しだけ、面食らう。
ほんとうに名前だけで いいのだろうか
ほかにも必要では ないのか
私には 他にも様々な付着物があって
それらをあ ....
揚げもんが好きなやつは
セミのぬけがらを見て違う意味で高揚しているのだろうか。
セミのぬけがらだけで8時間討論する会に足を踏み入れてみたい。
セミのぬけがらを凝視するエス ....
日当払うからスケッチさせて
と言いたくなる女に出会った
夜なべわらじ編みしながら女を想うとき
浮かんでくるのはパステル・クレヨン・石膏・CG
いろんな手段で空間から切り取られた
彼女の姿 ....
生暖かい夜の隙間に
逃げるように滑りこんで
私は膝を抱えて
じっと息を潜める
爪先のあたりから
半透明の白い繭が
私の躯をゆっくりと
覆っていくさまを思い描く
膝の裏とか
指の間 ....
暑き日を背に静寂の真鯉かな
海に来て月の遺骸を{ルビ面=も}に浮かべ
白貝割りて指先を切る
貝やぐら沖に燃え立ち{ルビ蒼蒼=そうそう}と
胸に巣食うは十三夜月
月葬に送り遣るのは{ルビ鸚鵡 ....
この世の中に
絶対なんてものはない
とあなたはいう
ないのですか
と問うと
ないよ
と応える
絶対にないのですか
と問うと
絶対にないよ
と応える
この世の中 ....
新聞社主催の文学賞に
ひとつの詩を送ってみた
いわゆる大御所さんの目にふれるとこまで
は選考に残ったのだが
評には
「命を削った言葉をぶつけてください」
というコメント
とっくに
....
#61
驚異的な安定感と正確さをもって
一本の真っ直ぐな線を
真っ白な紙に引く
その限りなく単純な美しさ
全く無駄のない澄み切った一瞬
そんな生き方が欲しいのだ
....
思い出に、ゆかたの君が見たいだけ箱根温泉ゆあたりに風
きっかけがどこにあるのかわからない花火轟くまでの沈黙
ぎゅっと手を握る二人は蚊帳の中 外のすべてが愛しく見える
小学生み ....
八月。
私たちの街は。少し空気が、変わる。
街宣車が増える。黒塗りの車。スピーカーから、流れるテープ。
ツーリストが増える。大型バイクが空気を、揺らして。
外国人が、増える。たいていは年輩 ....
生まれ変わったら
朝のコーヒーの湯気になって
きみのへやのなかに
とけていきたい
それくらいののぞみなら
かなえてあげよう
地獄の閻魔様はそう言った
ぼくは失恋した痛みに耐え ....
血まみれでスキップする
お母さんを真似して
とりあえず血まみれになる
その子ども
血まみれの足跡で
コンクリートの上に
楕円を描く
血まみれのお母さん
一定の速度で
キープ
....
せかい、というビンのなかに雨がふります。
あおくとうめいな悲しみが、
ガラスの内がわにすいてきとなって、
したたっていきます。
ビンのなかでも、
そらは、どこまでもはてがないようで、
....
毎晩のように夢を見ます
オオアリクイの夢を
粘々とした長い舌
鋭い前肢の鉤爪
ふさふさした長い尾
毎晩のように夢の中で
わたしの主人は
オオアリクイに殺されるのです
そ ....
主人がオオアリクイに殺されて1年が過ぎました。
でも、主人はさっき会社に行きました。
主人がオオアリクイに殺されて1年が過ぎました。
でも、主人は居間でナイターを観てます。
主人がオオ ....
夏は化粧に忙しい
忙しくなればあちこちがさわがしい
小さな約束がたくさんあるけれど
約束の周りには雨がふりつづけている
この星の伝言は
雨が好きなのかもしれない
わたしらは雨の外側で
....
楽しい毎日の中に
あなたの命日も隠れています
おめでとう
おめでとう
お誕生日
おめでとう
この世は楽しいことばかり
だよ
あなたといると
イオン
目に見えない何かが
私を包む
それがたとえば
川沿いの散歩道
ブティック
ピアス
かたりと置いた テーブル
私の輪郭が
角張った直線が
どこか
....
障子のむこうでは
雨の簾が揺れています
重なり合う影を
私の分だけ
一枚引き剥がして
あなたの流れに
耳をすませ
聞き取りたいのです
....
今日の空はぬかるむ
沈むように空に立って
私は天空へ
憤りを捨てに行く
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88