すべてのおすすめ
三度に分けて呑み干す光
その日かぎりの地図にこぼれ
街はひとつ低くなる
空き地は碧くたなびいてゆく
わずかに曇った風が吹き
ふところに涼しく正座している
頬を染め 空を .... 
べれいれん…だなんて
あのひとが新聞に目を落としたまま
ひとりごとを言ったような
ヴァンヘイレンがどうしたのだなんて
おまぬけな返事をしてしまった
わたし
べ平連
ベトナムに平和 .... 
内に外に転がる音の
離れてもなお近しい音の
ふさふさとした
柔毛の音の
遠さは鼻先のまま香り
同じ色の大きさに降り
布をくぐる
まぶしい輪唱
ある日どこかで .... 
ひさしぶりに 朗読なんか しちゃったの
なんとなくね、賢治を読みたくなったから
『注文の多い料理店』
こわいね。こわいね。こわい話だね
だから 思いっきり こわぁく読んだ
結構体力いるか .... 
蝶のかたちの光の前に
家より大きな花があり
ひとりの影を映していた
小鳥は話しかけた
誰にも届かなかった
道につもりつづけた
同じ姿と響きを持ち
確かに共に居たも .... 
暑い
ていうか暑い
夏に鹿児島で観光
無謀
薩摩半島まで行って
池田湖でクルージング
開聞岳を眺めたり
長崎鼻という薩摩半島の最南端も行ったけど
眩しすぎ
暑くてもうどうでもいい .... 
ばびゅーんと飛行機で
鹿児島県へ行ってきました
鹿児島県の姶良町というところでした
すこし山の方へ上った周りは農家ばかりのところ
坂道多し
ダンナのおばあちゃんちにお世話になりました .... 
いのちは
大観衆に埋められた
ステージの上で
歌いたがっている
鳴り止まない拍手を浴びたくて
いのちは
気を失うほど
ビールをとことん
飲みたがっている
みんなを笑わせ
喜ばし .... 
目を閉じ
骨を確かめる
歯のかたち
牙のかたちを確かめる
地平線まで
指はのびる
ひらいた骨が
永さを失くした海を奏でる
あらゆる証書が
毛虫のようにうご .... 
雨がひらき
匂いは昇る
あたたかく 甘く
光になる
白い歯車
心をまわし
雲の映らぬ涙になる
手のひらの空に繰りかえし
現われては消え 叫ぶもの
二分きざ .... 
何年ぶりだったろう
母のうでの中で眠っていた
幼いころに 暑がっては
アトピーの背中で いら立つわたしを
そうっと うちわで仰いで寝かせつける
記憶が 優しかった
起きたときに
とても
 .... 
切り刻む術を得ていない手は
汚れの中で服従する
卑下の渦は思いのほか深く
改善しうる点から背けさせ
怒りばかりを生み
暫定をも喰い荒らしていく
未熟故の愚かさを
飲み込めないまま .... 
アスファルトも
道沿いの木々の深緑も
白く
光る
午後二時
時間の底に響き続ける
セミの
鳴き声
汗をかきながら
自転車をこぐ私の隣を
 .... 
双つの雨音を右目にもどし
煙を数えて夜は明ける
みな何かをすぎてゆく
みな何かを置いてゆく
欠けた娘を肩にのせる
鏡の向きがいつもと違う
欠けた娘を肩にのせる
 .... 
朝霧の蒸発してゆく速さに
子供たちは
緑色の鼻先をあつめて
ただしい季節を嗅ぎわける
くったり眠っている
お父さんのバルブを
こっそりひらいて
空色を注入する
うん、うんとうな .... 
夜はせばまり
夜はひろがる
粒と浮かぶかたちと唱と
妨げを泳ぐ轟きと尾と
波の終わりとはじまりに
砂の言葉と花火があがる
水からひろいあつめた羽と
貝のかたさの音のつ .... 
+落葉の日には
 赤い色、青い色
 残りの空を数えている
 穏やかな日々、頬は
 青く紅葉として
 時間は等しく流れていく
 境目に乗って遊ぶ
 あなたの身体に耳を置く
 .... 
濡れた羽が陽に群がり
熱と風をついばんでいる
粒にこぼれ 分かれる光
陽のかたちをひろげゆく
わずかな空と多くの地があり
様々な花に覆われている
重なりとはざまのひとつ .... 
手のなかに
ことばを握ることがあったね
あるはずもない質量に
身を任せてしまうことが
あったよね
どんなこころ模様にも
ときは流れてゆくものだから
いつか
わた .... 
すれちがいたち
ひびきたち
ある日ふたたび
はじまるものたち
雨のなかの火
海辺の火
生きものに囲まれ
朝の霧を燃す
髪の毛から見える
耳の応え
ひらい .... 
玄関のチャイムが鳴ったので
仕方なく立ち上がろうとしたら
背中の上に
重たい鳥が
止まっていた
「どいてくれますか?」
黄色の羽根を
ぱたり、と閉じて
ずん、と居座る
「私は止ま .... 
1 + 1 = I Love You
2 - 1 = I Miss You 
家の陰の家
窓に映る窓
白詰草 光の辺
鳥と風 声の影
低い曇を照らす原
曇とともに揺れる原
歩むもののないにぎやかな道
川岸に沿い 川に重なり
流れとは逆 .... 
つきを
見上げるための、その装置を
湖底にそっと、
眠らせて
ノスタルジアが、いま、
宝石に
なる、
 王冠は
 燃え盛ろうとする、あの
 いつわりの技巧
 .... 
・
その女の子は
押し入れを
殊の外おそれていたそうです
戸を開けるときの音が
怪物の唸り声に聞こえると
そう言って
決して自分からは
押し入れに近付こうともしませんでした
 .... 
通り雨を
息継ぎしながら
ぼくたちは急いでいた
離れることを
急いでいた
 手のなかの熱は
 次から次へ
 一秒後
 つよくなろう、と
 {ルビ翳=かげ}りをひそ .... 
碧に緑で描かれた円が
四羽の鳥となって飛びたつ
地には器と光が残され
祝いの言葉に響きつづける
泣いてはめざめ
泣いてはめざめ
水をほしがる子の手を握り
しずくの径に消え .... 
血のように黒い
指の影をひらき
高みへ 高みへ
唱いゆく
曇は一度に
ふいに動く
灰と火の路
同時に迷う
切りきざまれた星が
自らかけらを積み重ねたとき
 .... 
鉄筋の音が聞こえたなら青空だった
構築されていく巨大な塊は
恐怖と当然と意味世界に溢れている
砂漠に見える
置き去りのカメラは
捨てられたものか
ずっと名残を砂を噛むように味わいながら .... 
雨が地を{ルビ圧=お}し
音はまたたき
山から空へ照り返す
空白の{ルビ主人=あるじ}が
空白を置いて去り
空白は 家になる
雨のための唱があり
夜をしずくの .... 
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