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水銀の光の一粒が
横へ横へと動いている
ゆうるりと回転し
他の光をかき分けている
てのひらを巡る
遠いみちのり
つもるうつろ
熱の轍
まるめられた透明が ....
自分で考えてみても些細過ぎる悩み事を
頷きながら聞いてくれる
復縁できたらとか下心あるのかな
彼だった頃は喧嘩ばかりしていたのに
なんだか不思議だよね
今では心を開いて相談できる
同志 ....
料理 塗料 におい
あとずさり あとずさり
ただ目に入るだけの曇
はじまりそうで終わる夕暮れ
水たまりも風もないまわり路
低いざわめきのあつまりが
ざわめき以外を持ち上げる ....
この栓を抜いたら
この水は死ぬ
この栓を抜かなかったら
この水は死ぬ
私には関係がないことなので
チェーンにかけた人差し指をくっと曲げて
生まれる音をききながす
....
影なびくほうへ
路を曲がる
前も後ろも
午後になる
花の色と
名前を忘れる
すぐそばにただ
ひとつ揺れる
雨と雪が経ち
かたちは鳴る
すぎてゆく手に ....
すぎてはすぎる
曇のかたちを聴いている
水の名前に
拳をひらく
静かに紅く
夜へ降る曇
さらに暗く さらに静かに
さらに遠く さらに遠く
膝の光 銀の道 ....
ゴスロリっていうのかな
そんなフリルのたくさん付いた服
一度くらい着てみたいけど
「おばさんの癖して…」
あなたに言わてしまいそうだし
そんなの着れる歳じゃないことぐらい判っている
ふ ....
芽を花を実を
踏む道をゆき
芽を花を実を
肌に宿す
瞳のなかの高い窓から
さらに高い瞳を見るひと
影の脚が
影の胴を透り
羽の浮かぶ水
何かが去った跡へと至る
....
黒と緑
ひともとの曇
月のきざはし
忘れられても うたいつづけて
笑顔に割れた夜の下で
いたたまれずに背を向けて
ふせ目がちに風を見る花
光のなかのまばらな道 ....
へのへのもへじみたいだねと問いかけたら
「へへののもへじ」が正しいんだと
あのひとは言った
―へのへの
叱られて家に帰れなかった
夕焼け空に
ロウセキで描いた
へのへのもへじ
....
だれを想うわけでなく
誰のせいにもせずに歩きたい
散る雨の中
見えるひと
見えない人が
残りの粒をひろげて、
足の跡をのこすから
いつかは、わかること
頼らずにいきてるんだと ....
布の下にだけある光
曲げようともせず曲がる音
夜が夜であるうちに
光が 光であるうちに
花の前の
羽と獣
煙は晴れる
組みかえる脚
雨はただ道に沿い
街は ....
硬い水と硬い石が
大きな球を廻している
緑の陽の下
川へ降る雪
実り落ちる火
空へ空へつぶやく火
流れのなかに立ちどまり
流れの壁を見つめている
岩と声 波紋に ....
タイムマシンを買いました
十年先が懐かしい
タイムマシンを買いました
最新型を買う為に
タイムマシンを買いました
月賦が死語になる前に
タイムマシンを買いました
CD-Rが読 ....
先週末に桜が散ったばかりなのに
あなたは
物置から引っ張り出したビーチパラソル
具合を見たいからと
これ見よがしに拡げてみせる
どうやら使えそうだな
アルミパイプの椅子まで組み立て ....
無数のまぼろしたち
紙を折り 飛ばし
しずく集め 飲み干す
無数のまぼろしたち
すれちがい かがやき
過ぎ去りつづける
追うものなく 請うものなく
海風は強く午後 ....
好物のベーコンチーズサンドに
下がる目尻
垂れたお腹
脆いんだろうか?
珈琲を啜っては新聞を捲る
秀でた額
背広を羽織り玄関から飛びだしていった
7年目の朝
いや、硬いかも ....
小さな花びら ひとつうまれた
小さな掌 くしゃくしゃ 紅い
ずっとつぼみで いたんだね
(ぱっと広げた花びらには、むげんのかけらが ふわり)
月の光に 太陽のうたに
とけそうな影を 何度 ....
ひどく病んでいろづいた花は
あたしをただ焦がします
鮮 烈 、
ほんとうはいらなかった
べつにどうでもよかった
曖昧なものは
曖昧であるうちは永遠です
曖昧 ....
空たどる枝に
三つの時間が実る
土になれない枯葉が
芽を見つめる
まばたきのたびに 曇は増える
午後を横切るかけら におい
どこまでが空か 応えは返らず
ただ風が ....
白い 白い
あははしろい しろい
耳に息を吹き込んでくる、
あははしろい しろい
どこにもいけない、
どこにも続かない、
そういう廊下があることを知っている?
だってごらんその窓に映 ....
自分不器用なもんで
飯がちゃんと食えません
なんだか茶碗を持つ手がおかしい
なんだか箸をもつ手がおかしい
ものを口まで持ってっても
なんだかべろが先に飛び出す
なんだかおかしい
おかしい ....
冬の蜘蛛のかたちだけが
土の下にかがやいている
風や色とともに染み込み
夜を夜から浮かばせている
まぎれもないまちがいだけを
数少なに燃している
たなびくものが向か ....
魚を丸ごと
皮も内臓もぜんぶ食べた
それは
ゆうべのことだ
目覚めると
私の骨が泳いでいる
なんたるこった
私を食べてしまったのは私だろうか
どこをどうやって
....
幾つかのまことを受け入れて
小さく分かれてゆく夜の
蒼を生む声
語らない声
水の階段
つくりかけの舟
川のはざまの
つくりかけの街
砂の上の螺旋
描き ....
夜を脱ぎ 夜を着
近づいてくる光を聴く
触れるようで触れずにいる
熱のかたちの指先を見る
道に雨があり
曲がり角で消えてゆく
緑のひとつ向こうの緑を
雨はふたたび歩い ....
水の鏡の
光ではないところに
呑みこまれながら
呑みこまれずにいる
ふるえがひとつ
羽につながる
旧い言葉が
水をわたる
樹と樹のはざまを
はざまと同 ....
春はそっとやってくる
毎年必ずやってくる
まるで地球からの約束のように
だから 私は放り出される
野原の真ん中に
「春の嵐」
真っ白な頭に昨夜の天気予報がよぎっていく
私は冬 ....
庭に植えた橙(だいだい)を
隣のいい年頃の娘が じぃと見ていた
熱視線で家が燃えるわい・・・
と小声で冗談を言いながら
剪定ばさみを手に持って
「家のは少し酸っぱいんだけどねぇ」
と呼 ....
多くが壊れ
ひとつ残り
うつろいを生み
栄えさまよう
曇の数だけ夜があり
ひとつひとつの雨のたもと
光は布にひらかれて
足跡のない歩みを照らす
背の花ふ ....
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