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サクラを観ない年がこの歳になってやってくるとは思ってもみなかった。
確かにサクラは咲いている。が、サクラの中で酔うことなく、風景の一つとしてのサクラ花。淡いピンクの染みぽつり。ぽつりぽつりの悲し ....
階段の灯りをLED電球に交換した
ちょっと薄暗いけど
四万時間の寿命だという
居間から二階の寝室まで
三十秒あれば昇りきるとして
電卓をたたいてみた
五十年は切れることはなかった
ぼ ....
底ふかい
ながれる霧の
亡失のよあけに
サインのかげりがうかびあがると
ゑづは
狂いはじめ
つよくあしでまといの舌苔
怪訝と
したたりで
烏合を吐きだすつぶてに
そまる
....
自分も被災したのに
なぜ人にやさしくできるのだろう
お風呂屋さんは
入湯料を半額にしている
夕べは無料になっていた
だれかが十万円を寄付したからといっていた
なぜ被災者が被災者にやさし ....
私は物体だ
鋼鉄となった 私は
この体のない私自身を考えさせられた
でも ああ だけど 人間は嫌いだ
私はいる 夢見ながら
どこかであるそこで
私は生まれたのではない 一本であ ....
私の番が来て
何も用意しない言葉で
飾らない言葉で話す
体育館のステージは
私のワールドになっていく
子どもが泣いている
嗚咽が聞こえる
素直な痙攣が拡散して
好きな気持ちは
失って ....
水の子ども
鏡にしるしを
つける子ども
今日は 離れて
泡の手と手
ひともとの
すべてがすべてに
あきらかな夢
青と 次の色
半分の径
仕草 ....
何も持たない夕暮れに
二度書きの日の生き死にの
近すぎる礫と礫の声
何も持たない波と波
どこまでも
誰も居らず
どこまでも
羽と羽と羽
空洞の
明 ....
あれはもう 海などではありません
すべてを喪失させる
漆黒の 巨きな悪魔の使い
瓦礫のやまの影に
行き場をうしない
銀鱗をわずかにみせる潮溜まり
確かにあのとき あたしは泳いでい ....
水に流れない塵が
水のなかから夜を見ている
水と 水ではないものの影
常の渦 常の渦
遅れる光
手になじみ
音の背の丘
曇と息は見つめあう
痛みの矢 ....
半分になった鋏が
陽の光を浴びていた
半分になった鋏を
誰がどう使うのか
半分になった鋏を
見つめていたらそれはどうやら
....
ことしもはるがきて
はながさいている
はなはたのまれて
さいたのではなく
はなになりたくて
さいたわけでもない
はなは
はなにしかできない
さくことで
せ ....
この世で楽しむ
それが生きている本質であることは
間違いなさそうだ
では
なにを楽しむ?
楽しむとはなにか?
この問い掛けに
ぼくらは日々打ちのめされている
....
長い鈍痛が
背中に続いていた
ダラダラ脂汗が
額にうかぶ
誰も、妻さえも気づかず
ただ一人
わたしは苦しんでいた
わけがわからない
きっと大病
ちょっと待てよ・・・
この痛み
....
誰もいないのなら
いつも扉の鍵をかけておけばいい
そして 疲れた
私は夢をそこで見ていた
いつも 何なのだろうと 考えながら
そこにまた 見えた
夢が一つ 辺りに散らばった
....
合浦の浜に藤を見に行くのが好きだって
ばあちゃん 僕にお菓子を買ってくれて
二人してバスに揺られて 行ったよね
桜も沢山な公園だけれど
その頃は いつも人が ごったがえしで
僕は ....
合浦の浜さ 藤ば見さ行ぐの好ぎだって
ばっちゃ わーさおがしば買ってけで
二人すてバスさ揺られで 行ったっきゃね
さぐらもてっぺな公園だっばって
そったどぎだば いづも人っこ ごだごだ ....
ふるら
ふるり
舞い落ちる
薄紅色の憂鬱に似たもの
らるら
るるり
鼻先で笑う
どちらの岸にも辿りつけないもの
うるら
うるり
降り注ぐ
乳白 ....
がれきのなかから
はっけんされた
テーブルのあし
そのしたから
しょうねんらしき
からだがひきだされていた
テーブルも
わたしもないた
はしらもかべも
れいぞ ....
私は部屋の中に何もなかった
人のいない景色を出て行った そうして
不確かな夢の中に落ちていった
何もない 絵の中を 誰かと 私は歩いていった
つまらないイメージを 夢の中で 書き進 ....
三十五人のオーボエ奏者が
空へ空へ落ちながら
午後に銀を描き足してゆく
夜と雨
夜にうずくまり
入口の光を聴く
側道に 崖に
蜘蛛の巣に
書かれ ....
眠りによりそう
咲きおくれた百合の白い想い
写真のなかにおさまったあなたは、
昔見せた笑顔のままで
私をみつめる
じゅうぶんに苦しんだのですから
もう休んでもよいのです
生き ....
しんさいご
しばらくみなかったひとが
かえってきていた
しんさいまえと
かわらず
もうふいちまいで
えきまえでねていた
ひびわれた
ろじょうで
わらうしかなかった ....
どうして笑っているの
たくさん わたしたちは生きている
どうして泣いているの
たくさん わたしたちは歩いている
どこにいっても
どこにいても
こどうとともに
だれかをおもう
こ ....
きっと風だけが流れていた
プールの彼方に
遠い空の向こう側に
多くのものは そこに 見えなかった
見ることができたのは
寂しさのようなものだけ
私は 夢だけを 思い浮かべていた
きっ ....
地獄絵図だと
思っていた
けれども
いらなかった
ものが
思い出が
拡張されすぎた
たくさんの妄想が
命を追い越して
ここにある
瓦礫が
涙が
これ ....
空から川へ
融け落ちる途中の樹が
水面で動きを止めている
野のむこう
そぞろ歩きの雨曇
穏やかに酷く
匂いのひかり
壁づたいに
曲がりゆく影
川から海 ....
しぬために
うまれたのか
そうだわたしも
しぬために
いきてるのだ
そのことが
せめてものすくい
あらそうためでは
ないことが
雨が降る
黒い雨が降る
*
夢の島
誰が名づけたのだろう
ぐぐったところで明確な由来などでてきやしないこの島で
静かに眠り続ける一艘の船
東西冷戦の最中
高 ....
古新聞を 枕にしていた
全て 人間として行く場所は 決められているのだ
ああ たぶん 人間というものは幸せにはなれないだろう
群衆をなして女子高生が脇を通り過ぎていく
なんとなく そこ ....
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