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五つの星は夜生まれた
けれどその話はまた今度
青い とつぶやくと
その唇の形から魚だった時代のことが思い出される
泡は真珠とまんまるな月との間に生まれた
苦しくなって止めてしまう
 .... 
朝焼けに燃え尽くされて 空  
「熱を帯びたから、私行くわ。」
そう言うと 彼女の全身から
冷たい汗が吹き出したのだった。
憶えているのは 丸い尻
しっとりと 揉んだ
憶えているの .... 
布の心からのばされる
鳥の翼を描く糸
文字のように絵のように
風に望みの灯火を置く
無色に織られた旗が重なり
震える音のかたちとなり
幾度も水を吸う衣
失う色さえ .... 
「私がおばさんになっても」と森高は歌った
ついこの間のことのようだけど
もう十二年も前の話だ
その年に僕らは結婚した
つまり、僕らが結婚して既に十二年たった
ということだ
僕は一度、交 .... 
ふいに軽くなったからだから
いったい何が抜け出したのか
いつものようにうつむいたまま
何も思うことなく歩きつづけた
なぜか息をするたびに
ひとくちの黒が出ていった
 .... 
夜の灯の下
藍は蒼
溶け残る道
呼びとめる声
氷をすぎる火の上で
音は昇り 月に会う
昼のにおい 日々の名残り
凍えては小さくまたたくもの
夜から分かれ .... 
団地の掲示板に 
吊り下げられたままの 
忘れ物の手袋 
歩道に
転がったままの
棄てられた長靴 
{ルビ棚=たな}に放りこまれたまま
ガラスケースの中に座っている
うす汚れた .... 
 ブルガリア
ローズ・オイル摂取する
あなたとならば
触れ合いたいのよ
手を繋ぎ 
じわり濡れゆく
感情線から恋愛線へ
薔薇香水は
流れ 流れて
 黄 緑
 .... 
ねむのきとんとん、
とびらのむこう。
こだまのひびく、
あのむこう。
さやささやく、
えだのおと。
よんでいるのは、
きみのこえ。
とんと .... 
木は影になり
しずくを流し
銀はせつな
銀はとこしえ
光の粒が
川になり
見つめるまなこ
満たすはじまり
昼の星の
糸をたぐり
ふたりで赤子を
紡ぎま .... 
そのとき私は
この上なく上手に手を引かれ
視界は薄紅と肌
幾度瞬いても
ある薄紅、と、ある肌の
指の届く範囲に全ての指が在り
与えられた視界に全てが揃い
あの薄紅、あの肌 .... 
息を 
わたしたちは潜めて 
東の空の彼方から 
春がやって来るのを 
待ち侘びていた 
夜明けに 
うすい紫の風が
わたしたちの 
頭の上を撫でながら 
通り抜けてゆくとき .... 
降る雪の向こうに舌先があり
ひびわれたくちびるをなめている
黒に囲まれた空の道を
砕けては砕けては照らす風
花のからだの鳥がめざめて
空を羽の仕草になぞり
うつら うつら
空 .... 
こうやって部屋のなかから窓の外を見ていると、雨の中でしか生きられないけものになってしまったような気がする。穴ぐらのなかで、ひたすら雨を待つ。エサはあるのだが、自分のツメで獲物を引き .... 
こけこっこーで、
お目覚めっぽ。
お天気晴れたら、
お散歩っぽ。
窓の向こうを、
ちょっこり覗けば、
お外はとっても、
ご機嫌っぽ。
おべんとおむ .... 
最後に
君に
最後に
カップラーメンの蓋が邪魔だけど取ってどっかに置くのも嫌だ
あの講義は睡魔との闘い
バイトの時間を間違えて謝り方を5パターンぐらい考える
親 .... 
スーパーのレジで
おつりのコインを数枚受け取ると
「わあ、お金が増えたね」
と娘は目を輝かせる
自動ドアから出るときも
「あのおばさん、きっと親切な人なんだよ」
ふわふわと歌う
 .... 
雨が降る。
傘はいらない。
雨が好きな月もあれば、
雨が嫌いな月もある。
二月の雨が、
どちらなのか。
それはこの雨と、
君だけが知っている。
 .... 
春の手引きをするような生暖かい風に吹かれながら
倒れた自転車の間を抜けてゆく
倒れているものを見かけても、立て起こさなくなったのはいつからだろう
当たり前のように春の顔を見せはじめた太陽の光 .... 
農家の母屋を改造した学生下宿が
家賃一万円の住処だった
わたしは床の間のある客間の六畳
一二畳の居間には親友が
離れの六畳には先輩が
隣の六畳と四畳半には後輩が
それぞれ巣くっていた
 .... 
  (本日の天気・九官鳥曇り)
天気予報士が少しくぐもった声で言った
昨日の予報では
(スズメのち晴れ)
小さなさえずりは 集まって
高音と 空へ抜ける
清清しい朝に撒き餌して
集ま .... 
もしも許されないなら 
この瞳を抉り出して捧げますから
貴方の薬指を飾る石にしてください
 
蝕まれてゆくのはいつも正常な意識ばかりで 
何かを伝えようとするたびに奥歯が軋んで
上手く .... 
君の言う単なる恋愛に
僕は幾度となく涙を流してきた
君の言う単なる恋愛に
僕は幾度となく命をかけてきた
なぜなら
そこに世界で一番大切な真実があるから
 .... 
恐れがあり
軋む音がある
雨が朝を埋め尽くす
そこに無いものさえ現われを捨て既に在り
私は自分を脅す自分に気付く
痛みの無い棒状の音が
私を眠りから .... 
斜めの道を歩きつづけて
直ぐの道に出たときの
めまいにも似た左の震え
つまびく果てのリフレイン
穴だらけのひろい通りを
下を見ずに駆けてゆくとき
街を横切るもうひと .... 
  切り絵(題材)
   「少女」
ただ真っ白い紙でした 私たち
切り絵師は 無を有にする
柄に美しい細工を施した
銀色の先端鋭いハサミで
すんなりと手足の伸びた
可 .... 
光に向かい
深くうなづき
閉じた瞳の匂いを嗅ぐ
降る雪を見つめ 招き入れ
空洞の柱を積む音が
鐘のように鳴り響いている
枝の雪は枝から解かれ
見えぬものの .... 
月の予感に空を見る
私の水が粉と舞う
遠くの人家の吠え声が
空の緑に波を刺す
蒼に染まった雲を追い
地平に沈む夜を見る
せめぎあう
小さな音たち
せめぎあ .... 
{ルビ殪=たお}し{ルビ殪=たお}されるもののすがたかたちが
地から離れ重なり 再び降り立つ
舞うものたちと逆に回る花
乾いた土の上ではじける血
低い緑の中にひとり .... 
冬の太陽で
酷くなったアスファルトにて
克明に、枯れ切った、細枝
その黒い輪郭がさらに
冬の太陽で静かに激化する
前景に過ぎぬ。
前景に過ぎぬ。
痛み .... 
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