すべてのおすすめ
過ぎては消え 遅れては鳴り
ふたたび現われ 昇りゆく
水たまりの径
ふいの翳り
まだ水は冷たく
指をまわす
見聞きした風
伝えられずに
陽のはざまに揚まり ....
森の上の夜の光に
曇は高く灼けている
目を閉じても
しんと熱い
ざくりとした光のはしばし
手を振るように変わりはじめ
やがて花になり鉄になり
光と光以外をくりかえす
....
光の裏に氷があり
曇の奥へ
曇の奥へ
小さく水を点してゆく
陽の下の雨
雨の下の夜
夜の下の背
水みちる背
応えないものに囲まれ
ゆうるりと夜に気づいてゆ ....
布の上の鉛の絵
波に途切れ 文字になる
唱いかけ
波間の火を見
唱いだす
歯車の音がしている
陽の芯からの風にまぎれ
さらに さらに遠去かる
刺さることのな ....
おかず一品足りないと
不機嫌そうな顔をするあなた
でもね、わたしだって何かと忙しいし
お給料日だってずっと先
あなたに足らないのはおかずじゃなくて
もうちょっとの頑張りなのかな
好きな ....
切り取っては
別の空に貼り
せわしく曇り
鴉は鳴る
こわがりな子らのための菓子
運び馳せるものの頭上に
爪と牙と花の午後
交わることなく生き急いでいる
水の ....
壊れた光を抱き
小さな別れが灯り
足もとに背にまとわりつき
押しのけても押しのけても
指が沈むほどやわらかな
淡くやさしいうたを唱う
ひとつはひとつだと言う
それでも ....
呼んでも来ない
呼んでは消える
声は鍵になり
あけるもの無く
何もせぬまま
そこに浮かぶ
塗り込められた
壁の扉
ふたたび現われ
何処へつながる
鳴るのはひとつ ....
巡るうた追う
海の手の甲
丸い穂先と
風の尾の火
打ち消しあう火
打ち消しあう火
うたの切れ端が花になり
火を免れて明日になった
午後のこがね
夜の蒼
祝福 ....
気づいたら
いろんなひとが
両手で込めて
差し入れてくれた
おにぎり
箸もつかえないくらいに
元気なくなったとき
たべるといいよ、って
おにぎり
すかすかの ....
何もないものばかり響いて
ひとつ さくりと
離れゆく手
玩具とともに
しまわれる手
岩の鏡が音を集め
門のかたちに積み上げている
水音の色を見つめる目
かたちのむこうの ....
流れついたものが
砂になりながら
岩とこだまを見つめている
鉄の文字 糸の文字
海をつなぐ
むらさきの道
夜の上に呼ばれ
夜の上に呼ばれ
いつのまにかもどり 忘れる ....
光の布が
足跡を聴く
異なる色に
離れてゆく
雲は癒え
残りのうたが降る
視界には常に
羽根が映る
直ぐに落ちた火が
足もとを廻る
光の芯の光
触 ....
至るものがあるだろう
夜に空を飛ぶだろう
けだものの背を知るだろう
木の枝の卵を
星のそばに添え
とどろきは止む
くらやみが
くらやみにまたたき
つらな ....
顔の上の腕を
動かすことができずに
からだを傾けると
丸太のようにころがる
また通りで
言葉を失くした
植物園と 博物館のあいだの
かたつむり
とすとすから ....
誰か、などとごまかすのはよそう
あなたを、思うときの空だ
湿った雪雲が切れていく
灰色の向こうに広がる薄い青
きっと強く、遠くのあなたを想っている
灰色と青色が近いのは空のせいだ
....
声は途切れ まぎれる
指のように
熱を背に描きながら
髪の水を見あげる
まわる響き 枝のはざま
しなり したたり
森を燃す羽
ひとつまたひとつ 飛び去る
....
血と、ローズダストの色彩が濃く染みた粗い石英の粒子。そしてジルコンを含んだ研かれた花崗岩の階段がつめたい光沢をともなって果てしなくオリンポスの山の頂から薄紫の色に滲んだ淡い雲の間にのびている。エーゲの ....
ひとが
つとめて
恥じらえるよう、
糸はほつれに優れています
こころ
こまやかに
誰もが夜を縫いかねて
きらめく星に
焦がれてしまう
かばい合う布 ....
ゆうろさん料理をしましたか
ええ、しましたよ
左手 お野菜洗ったので冷えてあかい
右手 あついお鍋を見ていたのでももいろ
今日はどこで
小鳥の巣箱よ
小さなやかんに小さなお鍋
風邪ひいた ....
ひとりのための会話を照らし
光は深く息をしていた
遠すぎる背の
土を信じた
熱はどこかへ
到くはずだった
ゆうるり巡る
直ぐに見える道
終わりのような緑だった
....
いつかどこかへ
去るときが来て
道を奏でて
道を奏でて
奇妙にしばられた
音をひとつほどいて
粒のかたちに返し
行方を見守った
ひるがえる午後の
背の ....
いつからか
従えずにはいられないような
ある種の隷属のなかで
炎をおぼえた
つめたい石を蹴飛ばしながら
無言の
雨に
含まれ、ながらえ、
水たちの森は
....
ふたつの手のひらを
使いこなせない昼下がり
耳を澄ませてわたしは
しずかに風を
遮断する
すべては
それとなく遠い気がして
けれども確証はなくて
言えずに続いた
....
華やぎなさい、
ささやきに
背中は砂なのでしょう
どうしたって、もう
無音でいられずに
並ぶのでしょう
嘘でも良いではありませんか
道なき道があなたです
そ ....
ひかりがひかりに逢えるように
そうであったうたに戻れるように
ひかりがひかりになれるように
そのままの水を飲めるように
足にからまるまだらな音
消しても消しても残 ....
愛おしいひとからの糸が垂れてくるのでそ
れをするすると引っぱっていると空がほどけ
てすっからかんの空になってしまい空の上の
ひとに「なにを考えているんだ」と怒ら ....
おりかけた踏切を越える数が
息つぎの数を超えてゆく
骨にそのまま吹くような
すずやかな朝
沈没船の数
鳥の数
波の数
星の数
誰かの何かになれる数
石 ....
横を向く指
くちびるの指
そっと押し分け
舌に触れる指
いつまでもいつまでも散りながら
消え去ることのできないもの
奥の奥にある赤いまたたき
にじみつづける音のかたち ....
今日
他界した父の
初めての
誕生日がやってきた
昭和
何年だったか
いつまでたっても
覚えないまま
もう
数えることはない
死者の生まれ日
ある年は土曜日で
ある ....
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