すべてのおすすめ
ひとつの錐と
ひとつの傷
その間にあるものすべてが
錐により傷に押し込まれてゆく
錐により 錐により 錐により
奏でる前に
降っていた
奏でられるはずのものが
 .... 
たわむれが
咲いて、
さい
て
羽のかたちで
だまりこくって
子どもはそれを
真似して
つづく
 いのり、だね
 放つかたちの
 閉じない
 ひ .... 
  動物園で
  きみは言った
  しあわせならそれでいいと
  ライオンはライオンの檻
  シマウマはシマウマの柵
  帽子をかぶった飼育員が
  かれらに餌をやる
 .... 
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独りぼっちの花へ / 夜の公園にて
孤独な魂には
孤独な所作が必要だ
孤独な笑いと
孤独な涙が
顔を色分けている
 
 .... 
その橋の欄干から身を乗り出せば
清らかな流れの中ほどに石ころだらけの中洲
別段、川の流れに抗う姿勢をみせるでもなく
上流に夕立でもあればあっさりと荒くなった流れに呑まれ
ちょうど今ごろの季 .... 
草木のゆれる
その方角に
わたしはときを聴いている
これまでを悔い
これからを問い
わたしは巧みに
たじろいでいる
雲のちぎれる
その方角に
わたしはことばを .... 
雨の一粒ひとつぶは
空気を孕んでいて
引力にひきよせられて落ちるときに
真ん中に窪みができる
屋根から
下がる糸の鏡に
することもない子どものものおもいが
写しとられる
傘から .... 
五つとひとつの指で実をささえ
右は左の午後を見わたした
こぼれゆくものを
見わたした
鉄とガラスのはざまの蜘蛛
ずっと光を投げつづけている
陽でも灯でもない
雨の .... 
 夜の湿り気が
ぬぐいきれずに
わたしのゆりかご
あなたはそっと
うしろむきで 
雨を吸った
風が吹いて
胸に空洞
わたしができることは
ただ、毎日をすごすことだけ?
 
 .... 
はてしなく
広がるものは
絶望、に他ならないから
おねがい、天馬
そのたてがみに
一度でも揺らせて
ぼくの
名を
命中しがたい
銀の矛先
大鷲の
視線
 .... 
青空から
おそわった言葉を
思い出せずにいる横顔を
やわらかく演じたら、
気まぐれな風たちの向こうに
緑はあふれて、
揺れている
 たいようを
 描きつづけるこ .... 
土曜日のお昼ゴロ
テレビの前でゴロゴロ
珍しくないから
昆虫図鑑にも載せてもらえず
面白くないから
観察日記にも書いてもらえず
疲れやすいお年ゴロ
リモコン片手にゴロゴロ
 .... 
緑は透り
透りは緑
雨の手のひら
うらがえす
斜めへ斜めへ息を吐く
斜めの先には水がある
見えない左
見えない弛緩
碧に翠に黄緑の羽
灰に白に水銀に
 .... 
夜、は
首筋からこぼれ落ちて
かすかに甘い蜜のにおいを
隠している
命令に逆らいたい鳥たちが
もうじきそれに気づくだろう
囲いはすでに
万全なのだ
風がかく .... 
はてない偶然で
おてがみをくれたとき
トライアングルのような音色がむねに
うちつけて反芻した
涼色のびんせんに
えんぴつで
ことばじゃないことばのられつと
はにかみ・かみみ
 
 .... 
あなたは
決してわたしをゆるさなかった
はじまりの
隠しあう接触のぬくもり
黒くながれおちる髪を
手櫛でやさしく梳きながら
洩れる水を袖口に運ぶ
清潔な距離がくれた
まどろみの .... 
うつぶせに眠る広きもの
夢とうつつの燃えるさま
陽も月も星も遠のいて
目をつむり目をつむり行方を追う
空に書かれた余計なことから
目をそらしてもそらしても
響きは進 .... 
わたしはわたしとは別に
川に沿って進んだ
曇は倒れ 消えたあとも
水の上に映りつづけていた
わたしはわたしとは別に
どうとでもなるものだった
民族の音を消してまわっ .... 
降る傷
金の跡
午後の塵
地に空を作れずに
空の径やはじまりや
辿れないものを辿るとき
警告は来て
河口に置かれる
光の原をゆくものの
隣の闇を歩むと .... 
風林火山のごとく
誰にも知られず家を飛び出したわたしたちは
しばらくおびえながら暮らし
酷暑の陽炎 むしばまれつつ
いまに至っている
洗濯もの 干してたら綿毛の種がとまる ふわり .... 
じいちゃんが
死んで
棺桶に入れられた顔を
じっとみては
安心していたけれど
触ってみる気には
なれなかった
じいちゃんを
火で焼いて
消す
ひどく惨い
ごおごおと
火 .... 
夜が夜を動く
ふたつの音
ふたつすぎて
削れる音
緑の鍵盤をひとつ呑み
崖を歩く
植物園
火のなかの釦
かけてはほどく指
前へ 前へ 過去ではなく
 .... 
つむる左目から駆け昇る刃
羽を断ち空を断ち 花に降る
重なりすぎて見えない重なり
かき分ける拙い手
背を散らし 背を散らし
また夜は来る 夜は来る
 .... 
ヨウ素、セシウム、ストロンチウム
体内に入れば
なんにち、なんかげつ、なんじゅうねん
悪さをしつづける
ということは
その逆の現象もあるだろう
体内に入れば
 .... 
インド料理のお座敷で
王様気分で料理を食べた
トマトのスープもほうれん草のスープも
オレンジ色したドレッシングのサラダ
マトンカレーにインドウィスキー
あれがあんなに
 .... 
約束の
返事もなければ
予定もなにもたてられなかった
それでも信じて
返事を待っていた
そういうことが繰り返されていた
虫けらだって
天候不順で出てこなか .... 
絵の具のにおい
月に触れる指
何処へもいかない
うたの行方は
異なる星
燃えおちる 燃えおちる
ひとりの内に ひとりは増し
さらにひとり
さらに緑
 .... 
望んでない炎
炎に{ルビ塗=まみ}れた稲わらが強引に{ルビ傾=かし}げる 
カーテン越しから囁く者たちは
そこから離れなさいと
ただ 唇を動かす
ありえない色
塗り替えられた あの土地 .... 
インドから来た 一隻のタンカーが 岸壁の前に泊まっていた…
だけど海は それを知るにはあまりにも広すぎた…
私の好きだったことは 一体 本当は なんだったのだろう
季節は 流れていく
そし .... 
跛(びっこ)をひいた男が独り
本屋の軒先を横切る
そこが本屋の軒先であることなど
全く意にも介さず
杖をついた老人が本屋の中から出てくる。
一冊の本を購入するでもなく
じっくりと日課の .... 
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