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途切れることのない
偽の街
地図は割れた灯に
消えかけて
婚姻の爪
婚姻の爪
風より低く
背の星々をあおぎみて
午後と夜のあいだの緑
一日に一度の雨
....
バス停は
しずかに濡れていて
時刻表には
ブレスの箇所が
しるされていて
そこにあるのは
文字ではなくて
数字でもなく
て
声は
とっくに
無力なのでした
....
世界にはたくさんの場所があり
たくさんの営みがおこなわれている
その日、僕が
することを選んだのは
床屋に行き
髪を切ってもらうこと
ひどく ....
さびれた町だけど、さ
コンビニ袋なんかを
シャリシャリいわせて
きみと歩いて、さ
きょうのことを
懐かしく思う日が
来るんだろうな、
って
真夏のくせに
....
冬は冬に臥せ
川を見る
灰のうしろ足に咲く
花を見る
滴を追いかける
滴の靴
一閃の
緑の爪
光は光を踏みしめる
氷の上に燃える青
海へ海へむかう道 ....
招ばれていないのに
招ばれているのなら
指を二本咬む
招ばれているほうの
指を二本咬む
泣いてもいいから
どうか
自分を傷つけないで
わからなくても
いいから
わかろうと
しなくてもいいから
どうか
しあわせに
すべてが見え ....
悲しみは蒸発する。
悲しみは乾いた空気に弱い。
悲しみは降る。
雨のように。
雪のように。
悲しみは太陽で乾く。
そして空気の中に溶け込む。
悲しみは降る。
水が繰り返し降るように ....
カウンターでモーニングを
こうして毎日摂れるのは
四十年間働き続けたおかげ
払って来た厚生年金の余禄
震える指で煙草をつまみ、吸い
灰皿に戻して
まったりの店内を吹き抜けるウェイトレスが
....
{引用=
一 花の身軽さ
花弁のような裸体になって
柔らかくも冷ややかな
草むらに横たわると
この黒髪は
匂いに濡れる
花咲く野辺には
見つかりがたい陰 ....
水の
こぼれ落ちる音が、すき
みずしらず、な
はずもないのに
わたしはまったく
かなしいさかな
・
水が
なくのを
聞いたことがない
そのくせ
わたし ....
原さする原
鳴く原に降る
雨の文字
手のひら
火ともし
まぶた うつほ
指ひとつ 空を隠し
ゆらゆらと潜むもの
巨きな 花のかたむき
片目をつ ....
空いてます
ぼくのとなり
とても広くて
あなたのわがままはすべて叶います
来ませんか
ぼくのとなりへ
ちょっと高くてこわいし
階段もないけど
その右手も 左手も
ぼくに差しの ....
満点の暑さを引き連れて
夏はやってきた
蟻の大行列は
トンネル深く沈み込んで働くことを諦めた
公園の噴水は
温水となってまわりに放出し始めている
花々は枯れ始めた
....
悲しいことをぼくにください
悲しいことならいくらでもください
ぼくはまだまだ大丈夫だから
まいにちシミュレーションしてきたんだ
いろんな妄想で
たくさんのこころを痛め ....
{引用=「葡萄」
葡萄の皮を
小さな部屋の
ドアをひらくように……
……
そのなかには
何か
静かな音楽を奏でているひとが
椅子に座って
....
潮風が吹くだけの頁がある
そこまで読むと
少年はいつも眠くなってしまう
少しずつ部屋に隙間ができる
西日とともに
明日、と呼ばれる不安が
部屋を満たし始める
ハエが小さな声で ....
できるかぎりの優しさで
息をおくって
あざやかな
卵のひとつひとつに
そらを託しました
そうして
いかにも幸福そうな
幽閉は
繊細に
消えるのでした
....
今日買った命の類の幾つかを
家計簿に記入し冷蔵庫にしまい込んだ
冷蔵庫の中には
買い置きしていた命の類がまだ残ってはいるが
あっという間に日替わりするから
大安売りの命の類であっても
家計 ....
灯台の
岬で
風が吹いたら
きみは
揺れる
髪も
すそも
きれいにつれて
きみは揺れる
それは
取るに足らない一瞬だけど
きみにまつわる
ささいなすべて ....
水か影かわからぬものが
器の底を囲んでいる
円の一部を
喰んでいる
またいつか会おう
会うより速い別れを
くりかえし
くりかえし
見えると見えないのはざ ....
そんなに簡単に
悲しむなんて
駄目だよ
ぼくが許さない
レモネードがはじける
モリッシーが嗤う
あまりに
ぶきような
きょうの日 ....
言いかけて、
やめた
そしりも不平も身勝手も
言いかけたから、
耳が困ってる
はっきりとは
もちろん聞いていない
でも、
ぼんやりとなら
聞いた気がして
耳 ....
空から降りた
この雨の
いつ、を
えがこうと
わたしの自由
だから
わたしも
あまり多くを
気にかけないで
雨に
ふられる
ふれ、られる
....
すっかり消えて
しまった
あとに、
思い知らされる
こころ細さがある
あれは
たいせつな
灯りであった、と
ちいさく震える
夜がある
通りには ....
キャッチャーがサインを出す
マウンドでは扇風機が首を振っている
サインを変える
それでも扇風機は首を振る
そうしているうちに
野手も打者も応援団も実況席も
夏の暑さに溶けていく ....
{引用=
一 送電線
夕立のあとは
すっかり晴れて
青と
朱とが
きれいに
混じる
送電線には
数羽のからす
もうじき
日没後には
からすの色は
....
もういいかげんにしろよ
そうは思うけれど
誕生日だもんよ
今日は今日とて
生まれた日の記憶は
ないけど
後付けされた
記憶ならあって
よくない
ちっともよくない記憶
なら書きかえり ....
本当の名前なんて
一度も書いてあったことがない名刺を
感じ良く差し出す空っぽな指先
本当に行きたい場所へ
一度も連れていってくれたことがない
少しくたびれた空っぽな向う脛
どん ....
白い八月の午さがり
目を閉じて
君の幻を見ている
水のレースにふちどられたドレスで
踊っている
きらきら
きらきら
僕の瞼の裏にも水の雫が飛んで
きらき ....
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