すべてのおすすめ
流れていく方向を見失って
濁り始めた水と空気
「仕方がない」のお題目の下で
済し崩しにされる許容限度
時間をかけて築き上げた壁を
やすやすとすり抜けて
目の前に現れる他人
....
あけましておめでとうございます。 たま
オロチ
箸は一本でいいと言う。
ふたりの子は箸を一本ずつ持った。
狐の権太はうどん屋に化けて
村の二本松の辻に店を出してい ....
夜の森を照らす川
影が放る光 光
光の轍を曳かれゆく
指の宙
黒い溝
風の下の風
洞を描く
迷いの羽
背中の寒さ
惑いの数だけ
灯はつづきゆく
....
熟成した
ありがとうの肩越しに
平坦な
おはようとおやすみの隙間から
垣間見える結び目
熟練した
ごめんなさいの背中に
平熱の
いってきますとただいまの文字間から
透 ....
雨がやみ
雪になり
枝から径へ
つづく足跡
縄をちぎり
空は帰る
縄は燃える
蒼く 燃える
雪のむこうに
海があり
さまざまな色の火が
流れゆく
....
そういうことだったんだ
と
気付くことがある
ものごとは複雑に絡み合っていて
原因があって結果がある
そしてその結果が今度は原因となって
新たな出来事を誘発する
「無間地獄」 ....
昨日は夫の誕生日だった
なのに彼は出掛けて行った
気持ちを挫かれて
私は不機嫌になった
今朝、夫がドライブに行こうと誘う
久しぶりにふたりで車に乗った
森林の中、滝のある所を散策
....
こんもりと雪に覆われた朝
夢中でついばむすずめたちは
埋もれることもなく
枯草を折ることもない
だがまんまるの愛らしさは鋭い冷気への対抗
食糧不足は天敵も同じ
生きることは戦い
いの ....
灯から生まれる水が
夜の路を照らす
壊れるほどまぶしく
消し去るほどまぶしく
同じ速さで遠去かり
同じ間隔に並ぶ柱に
隠れては隠れては現われる
互いを互いに映し出 ....
街でいたくない街が
街を街に押しつける
ばらばらと 窓から落ちる人々
道の上には 楽しい音楽
楽しければいい人たちのための
粉々の音楽
....
光の獣に
つまずき転ぶ
今日は左目の翳りの日
遠のく灰を
見つめていた
舌に降る雪の
水紋を聴いた
呼ぶ声はひとつ
呼ぶ声は六つ
冬かこむ冬
崩れか ....
ね・・、きれいでしょう・・・。
踊り子は楽屋のソファに胡坐をかくように両膝をたてて
物憂い女陰をひろげて見せた
ラッパのふくちゃんは太鼓腹をきゅうくつそうに折りた
たんでひたいに汗を滲 ....
笑みを絶やさずにいよう
しずむあなたの灯台となるために
ずっと絶やさずにいよう
誰もが幸せであることを望み
それに見合うだけの不幸せを我が身に背負う
故に生きることは辛く
苦しい
※
ふと目覚めれば凜として未明の寒さ厳しく
曖昧では済まされないこと ....
詩は素
素敵と言わせたくて
素っ気ない素振りで
言葉をまさぐる
詩は素
素直じゃないから
素知らぬ素振りで
言葉をこねくる
詩は素
素顔に辿り着けない ....
水に映る 白いまだら
狼の家族を 追い立てる光
撒かれる水鳥の骨より白く
昼の月に背を向ける
昼の月に 背を向ける
あきらかなひとりを
あきらかなひとりにひもといて
明るすぎる街
誰もいない街
雨の爪
左目から背
骨から骨
痛みの無い痛みの外の
奮え 奮え
脊髄の海 ....
マーマレードの空瓶に挿した
残り物のクレソンに
小さな蕾がついたと
わざわざ見せにくる君
これから何年経っても
君の世界に吹く風は
遊歩道のささやかな花を香らせ
名も知らぬ草を撫 ....
転がり
笑いにおよぐ手は
あなたの汀(みぎわ)に触れただろうか
いつしか愛は 大きく迂回する
あなたの的は
わたしたちの的であり
なのに欲しがるわたしの瞳はもろく
瑞々しい
....
ねじれた柱が
気層を持ち上げる
白と黒と昼
互いを
知らぬ光
穏やかな日には
忘れられた言葉が近づく
思い出されないまま
たたずみ 微笑んでいる
左右 ....
養護学校の連絡帳に書いてあった
先生が
悲しいことは? と聞いたら
きみが
「ママに怒られた」と答えましたって
何故怒られたの?と聞いたら
「タマゴ割った」と答えましたって
....
籠から目を離したすきに
泡は部屋を水底にした
河口の伽藍
忘れられた灯に
落ちてくる星
水を孕み 裂き
横たわる
崖に丘に吼え
冷える溶岩
冬の裾野に ....
なにもつたえあわなくても
こころをよせあっている
なにもいわなくても
いきているおと かんじている
あなたの こころ ぬくもり
さみしさ
....
夕べの光に
目を見ひらいて
手をのばし
口をとがらせて
あなたは今
急がなくていい
あなたは今
想うだけでいい
新しい子
新しい子
....
窓に触れない雨があり
夜を背負い 立ちつくす
月が動く音
動く色
痛みは歌い
浮かび出る
既に内に居るかのように
外に外に居つづける
どこまで離 ....
空いっぱいの夕やけを見たいとHが言う
寒くない?
うーん、だいじょうぶ。
今日はあったかいし絶好の夕やけ日和よ。
どこがいい?
うーん、
海がすぐちかくにあって、川の流 ....
ポーリーとポリアンナ
いつも一緒に逃げている
雷から
青ざめて貧血で倒れても
どっちかがしっかりしているから大丈夫
ポーリーとポリアンナ
時々もめる
どっちがお皿を洗うかで
どっち ....
嫌なものはイヤ!
そんな思いと折り合う
でも、おとなの分別とかじゃない
ひとが生きるって
爪先から血が滲むほど世間ってやつにしがみついて
それで何とかまっとうできる
違うかな
....
知るもんか
雑草ふみつけて
ザクザク歩く
知るもんか
カラスの群れが騒いでる
知るもんか
すたれた小屋がないている
知るもんか
目に心にしみている
小さなガラス壜の中は海
群青のさざなみでゆらめく
海をコレクションする女は
孤独であるけれども
絶望的に孤独ではなかった
本当の海まで
もはや歩いていくことは不可能
この部屋から出る ....
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