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西の畑で長靴を履いて
耕運機を回した
小型の テーラーっていうやつだ
なんでテーラーなんていうのか
ぼくは知らない
テーラーで
でこぼこの畑を行き来した

空は丸く
雲を塗り伸ばし
 ....
わたしたちは小さな生き物です
(小さな生き物)
どの程度かというと
気にさわるほどの

空き缶の下 おっと
踏まないように ちょっと
たたらを踏む 
あなたのつま先にさしさわるほどの
 ....
十二月六日
特定秘密保護法が成立しました
国会前には多くの人が集ったと聞いています
私は国会が家から遠くて行けませんでした
この法律の成立を記念して
政治的に詩を書いてみようと思い立ちました ....
十月のある晴れた昼下がり
どこかで聞いたような一行だが
襟首をきれいに刈り上げたような小さな図書館で ぼくは
真夜中にマクドナルドに行くお話を読んでいた

フォト用紙みたいな装丁の
指紋の ....
白金の雲が天球を流れ
大きな波はぽちゃぽちゃと音を立てて
わたしたちは海を見下ろす小高い丘陵の
点のような椅子に腰掛けていた
腰掛けて
水平線のあやうい空気の色をなぞりながら
ゆっくりとテ ....
前の家のばあさんが死んでしまった
腰より低く背を曲げた八十いくつのばあさんだ
息子夫婦は遠くに住んで
干からびたみたいな平屋に一人で住んでいたが
隣近所に迷惑のかからないように
死んだら近親 ....
一週間ぶりの晴れ間に
花を買った
鉢植えの冬薔薇
台所のテーブルに
水を与えた

〈閉塞く冬となる〉

短い初冬の晴れ間をぬって
銃を買った
実弾百発合わせて二万のコルト
ちょっ ....
銀のジュラルミンケースに
細く口を開けて待ち構えるなにか

 じゃあ あたしから
 若いころのあの人と撮った写真
 大事にとっといたんだけど
 ね 白黒の いいでしょ 気に入ってんだ
  ....
路上
たぬきが死んでいる 今日
のどを空に見せて
堂々たるもんだ

左右に列なす車の真ん中を
雲を逆さに見下ろして
脇腹を少し赤く割って
動かないで

見に行こうぜ いっしょに
 ....
冬の終わりです
雪です

女を埋もらせています
深さ九十センチ
春ともなると
シャベルがやってきて
雪を掻いたり
女を掻いたり
シャベルも
女も
シャベルも
女も

みんな ....
一分一秒も休まずに
詩を書いているわけでもあるまいし

詩を書いてる時間なんて
書いてない時間の何分の一
何十分の一
それなのに
詩をやめた
なんてことがあるだろうか
詩を書いて
 ....
春からのぼくの目標
字を丁寧に書くこと
給食で野菜を食べること
それから
静かに絵を描くこと

暖房の音が
途切れず部屋を回っている
のを聞くこと
窓に雪の粉が
冷たく張り付いて ....
水をお飲みなさい

彼女は言った
黄昏の重い扉の手前に立って
指先をしっかり伸ばして
振り返りながら

水をお飲みなさい
と 彼女は言った
この町は
たっぷりの水が流れていく町だ ....
丸々眠る母の腹から
黒々丸い烏賊の目が
こちらを見ていた。
ここに
この収まり方はどうだと言わんばかりに
長々
見ていた。

 ありがとう
 お前も帰ったの?
 お母さんも帰りだか ....
家の裏に立つ一本の樹は
その背に
深い森を持つ

家の裏に立つ一本の樹は
その後ろに
もう一本の樹と
もう一本の樹を持つ
家の後ろに立つ一本の樹は
その背中に
もう一本の樹と
も ....
ひとりぼっちの女の子
机に前髪が落ちそうだ
あともう少し
針先ほどで届かないあなたの言葉のように
寂しさが髪の先に
しずくをつくっている

秋の薄日が 山の稜線にも
乗り捨てられた車の ....
千年を巡ってたどり着く真昼
孤独に鳴るシンバル
居眠りする太陽
大きなあしなが蜂が
買い物帰りの
バイクの音を鳴らしていく

高い木の上で揺れる
一枚の古びた葉の付け根から
葉先に向 ....
だれかぼくに
長い手紙をくれまいか

すっぽり暗いすり鉢の空の底
吹雪のあけた だだっぴろい広場に
まんべんなく雪は敷き詰められて
だれかが夕暮れの紅いろうそくを吹き消す
すると
取り ....
ぼくが生まれた日
今年のように
雪が物憂く降っていた
崩れかけた柱の根
巻き上げる夢の枝先

曇った窓に頬杖つくと
埋もれる氷の柱が
幾本も並んでいた
ぼくは泣かなかったけれど
指 ....
わかささん
鋼色に丈を伸ばす坂道を外れて
側溝を三十メートル
車ごと転げていく
わかささん
弾んで 落ちて
そのとき少しずつ
速いスピードで 窓から
青空片が 舞い込んでくる

雪 ....
乾 加津也さんのオイタルさんおすすめリスト(20)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
西の畑で- オイタル自由詩319-9-21
わたしたちは小さな- オイタル自由詩13*16-3-21
政治的に詩を書く1- オイタル自由詩1*13-12-10
十月の晴れた昼下がり- オイタル自由詩313-10-27
海辺の丘陵で_〜Sせんせいに〜- オイタル自由詩6*13-8-10
前の家のばあさん- オイタル自由詩7*13-6-1
台所の防衛- オイタル自由詩7*12-12-15
美しき投票- オイタル自由詩5*12-12-15
路上- オイタル自由詩6*12-9-23
春近く- オイタル自由詩7*12-3-11
詩人の退職金- オイタル自由詩5*12-3-10
春からの- オイタル自由詩7*12-3-3
水の町の女にさようならを言われる- オイタル自由詩1411-12-27
烏賊の目- オイタル自由詩3*11-11-12
一本の樹- オイタル自由詩7*11-10-25
ひとりぼっちの女の子- オイタル自由詩8*11-10-15
高い木の上の都市の記憶- オイタル自由詩5*11-9-17
ぼくに手紙を- オイタル自由詩11*11-2-10
ぼくの生まれた日- オイタル自由詩12*10-12-31
青空の侵入- オイタル自由詩5*10-12-26

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