すべてのおすすめ
トイレットペ-パーの残りを
使いきり、ちんと鼻をかむ
残った芯に
印刷された ありがとうございます
の文字に
僕も呟く ありがとう
最近は鼻づまりがひどくて
なかなか寝つけずし ....
シーンを変えろ
問題の周囲は幻で
{ルビ那由多=なゆた}の日々の中心点は
いつも自分自身
いたずらにふり回される前に
指よ、鍵盤の上を踊れ
瞬時を歩む、ジャズマンの手のよう ....
優しい声が届かない夜は
深層意識の土に立つ
一人の木をみつめます
夕陽をそそがれながら
ひとつずつ実りゆく言葉の果実は
あなたの部屋に届くでしょうか
この道は哀しみだけで終わらず
....
久々の実家に泊まり
ふと手をみれば
爪はのび
父と母はよたよた、歩く
「かわいい」
保育園の部屋に初めて入った周を
年長の女の子が、迎えてくれた
「じゃあね」
僕と妻はにこやかに手をふって
若い保育士さんに抱っこされたまま
きょとん、とする周をあずけてか ....
地下へと続く階段の脇には
だらり、とぶら下がった黒いコンセント
に結ばれた、赤い糸
地下のさびれたライブハウスでは
音程の狂った歌手が
あの頃のみっともない僕みたいな
コッケイな恋の溢 ....
口下手で悩んでいた、僕は
ある日突然、目の前にいる人が
?の文字を秘めている
黒い人影に視えてきた
その人の瞳の奥にある
不思議を求め
些細な一つの質問で
もしも、口 ....
晴れた日のアスファルトは
優しい日射しも、照り返す
雨の日のアスファルトは
小降りの粒も、無数に弾く
土のこころを知るならば
土のこころを知るならば
空の言葉は我 ....
精子の姿は、魂に似て
お玉杓子は、音符に似て
もし、魂が音符なら
メロディは
五線譜を泳ぐでしょう
無数の精子と精子の競争を
勝ち抜いた選ばれし精子よ
君は辿り着 ....
あなたはその(目)を視たことがあるか?
私はその(目)を視たことがあるか?
ほんとうの(目)はいつも
鳥の羽ばたく虚空から
世界の物語を眺めている
私はあなたを視たことがあろ ....
お玉杓子のような百舌達が
雨上がりの空に
ばらまかれては、舞い下りて
すすき野原にすーっととまる
静寂のひと時
ばらばらだった者達は
ひとつになり
きらきら光るすす ....
今日という日を
宇宙にひとりの自らでみたす迄
私の体は幽霊です
机の上に置かれたコップは
水を入れるために、ある。
窓から射す日に
水面のひかる
あの瞬間を、待ちわび ....
桜のつぼみが口をひらいた3月27日は
遠藤周作先生の誕生日で、奇遇にも
結婚前の僕等が恋人になった日なので
府中の遠藤先生のお墓参りに行った
生後7ヶ月の周の、旅の始まり
....
あぁ全てのひとは
透きとほったぜんまいを背中に巻かれて
晩夏に樹からぽてっと落ちる
あの蝉に似ています
(宇宙の銀河の果てから観れば
ひとの百年は一瞬です・・・)
あ ....
結婚前の嫁さんを僕は(きれいだなぁ)
と、うっとり見ていた
結婚後にいつも一緒の嫁さんは、時折
いもに見えることがある
高熱にうなされ
布団からふらふら身を起こした僕に
....
半身麻痺のお婆さんの
両手を引いて後ろ向きで歩く
介護青年だった、10年前の僕
いつも面会中にさりげなくにこやかに
見守っていた初老の娘さんと
古都鎌倉の喫茶「扉」で
偶然顔 ....
「悩み」という荷物を
背負えば
世界にひとりであるように
ずしりと肩に、喰い込む。
高層ビルの39階から
ビルの足元を見下ろせば
無数の蟻の人々が
うようよしている。
....
ふと立ち止まり仰いだ夜空に
一瞬、星は流れ
願いごとを言う間もなく
黒い幕の裏側へ
しゅぅ・・・と消えた
もし、あの一瞬の光が
無限の宇宙に含まれた
一人ひとりの一生なら ....
自由とは
小さい両手を左右に開き
仰向けのまま瞳を閉じる
0歳のきみの姿
両腕の翼を広げ
きみは今
夢の空を飛ぶ天使だ
いつからだろう?
僕等が大人になるにつれ ....
愛する{ルビ女=ひと}と結ばれる前
この手は一度、天にあずけた
働く場所が決まる前
この手は一度、天にあずけた
これから家族3人で
叶えるたった一つの夢の為に
妻のぬく ....
何もない所に
一つのドアと
見知らぬ場所へ昇ってゆく
階段があった
昔見た夢で
ドアの向こうの階段に
どう抗っても行けない所で
ぱっと目が覚めたが
僕はこれまでの生の歩みで ....
誰もが四つ葉のクローバーを、探している
三つ葉のクローバーとは呼ばないが
四つ葉のクローバーという名は、しっくりする
三つ葉のクローバーは(ふつう)だが
四つ葉のクローバーは奇 ....
あんまりがんばり過ぎちゃうと
ぐったり疲れてしまうので
心の中にたった一ヶ所
小さい風の抜け穴がほしい
あんまりまじめに働くと
人々の囁く声が気になって
ろくに寝れなくなる ....
仕事帰りの若いサラリーマンが
夢庵でネクタイを緩めて
しゃぶしゃぶ定食を食べていた
思えば僕にもそんな
寂しさにみたされた夜があった
職場の老人ホームで
お年寄りが喜ん ....
今夜も、仕事から帰った家で
待っていてくれた嫁さんの
台所で、とんとん
野菜を刻む音がする
僕の安月給でやりくりする
我家の食卓
昨日炒めた野菜の残りでつくった
....
安っぽい微笑みは、もういらない。
ほんとうは自然な笑みを浮かべる
{ルビ案山子=かかし}になって突っ立っていたいものだが
この世には、隙を伺う者があり
調子に乗ってる奴があり ....
仕事に疲れた重い体を
露天風呂に、沈めていた。
天使みたいな女の子が
裸のまんま駆けて来て
けっつまづいて、膝を押えて
半べそ、かいた
若い父さんがやって来て
逞し ....