裏でして
山内緋呂子

まぐろの解体ショーに行く

はんてん角刈り包丁持って
さばいてさばいて大喝采
死んだまぐろが

このように

ほら奥さん
一枚どうですか
一枚一枚

まぐろって
骨と骨のあいだの肉まで
食べられるんですよ





おいしいだろう
このまぐろはおいしいだろう

3尾250円のアジを買って帰る
娘に
アジの開き方を教えるのは

一人で
食べたい時に 食べられるよう
好きな男に
数分で出せるよう
たたきなら 尚良い

日曜日
鏡台のある部屋の戸を開けて
「ごめん、舞台裏見ちゃった」
と 閉める彼の
まな板の上
にずっといる

もうすぐ彼が帰るから
たたいてたたいて
アジにして


自由詩 裏でして Copyright 山内緋呂子 2004-03-31 02:12:32
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