{引用=
消えそうに震える
ほっそりとちいさな肩
けだかさは
すべて死に絶えたのだと言う
おまえに似合う花がないこと
知っていて
それでも探し続ける
青ざめたねがいを
包み込む

 ....
 
 
忘れかけていた三行の約束を
同時通訳していく
身体が沈んでいくのがわかる
劣化して重たくなった雨傘みたいに
 
トイレットペーパーが
自動で巻き取られる音がする深夜
ブルペン ....
{引用=

せかいのあちこちに
内緒で敷かれている
内緒の線路を走行する
打ちっぱなしの
コンクリートの
でっかいとんねるは
せかいの中身を
くり抜きながら
こわれた部分を直して
 ....
遮光レンズ越しの
淡い背景が
拡散する持ち時間を
しばし彩る
グラデュエーション
緑色のかみ人形の林立に
研ぎ澄まされた
ペーパーナイフの
握り締めた刃先の赤
指の間の憂鬱な黒い ....
かつて、私の泣き声の
代わりに歌ってくれた小さな川
その横を闊歩する

今の私の泣き声は
私の子宮にうずまいているから
軽やかに
川縁を散歩することが
できる
水の流れる音
さらさ ....
終わりの果てだと 葉っぱのふち
緑の雲を浮かべた陽気
体を掠めて靴の先で紐をとく

小さな精密が一生懸命
育てた木は また残る

根元に散らばる慈しみと親愛が
腐りはて かさかさに乾い ....
「じれったい!」と叫んでいた男の背中にすがりつこうとして
彼が必要としてたのは私じゃないことに気付く

う〜ん、淋しいかも

開けてはいけない扉を自らの意思で開けてしまったのだし
それが愛 ....
魚の小骨のように胸腔にナイフが引っかかっております。
子どもの時分からずっと引っかかっているのです。

(おかしいですか?
 たいして悩みでもないのですが、
 やみつきだなんてとんでもない。 ....
直線的な飲み方をしたら
その酒は喉を焼いた
甘美な味わいの後の
ヒリヒリした後悔は
終電後の情事

一杯飲めば十分で
それ以上求める気はない
倦んだのでは無く
違う刺激に酔っている
 ....
 死んだら二十八グラム体重が少なくなるって
 それがひとのタマシイの重さらしいよ
 と、どこから聞いてきたのか
 娘が言う

 父はおもう
 タマシイに重さがあるなら
 物質 ....
 
 
色鉛筆のケースの中で
弟が眠っている
一番落ち着ける場所らしい
父と母はテレビを見て
時々、笑ったり泣いたりを
繰り返している
ケースから出された色鉛筆で
僕は絵に色を塗る
 ....
 いっぱしのおとなになりてえ
と泣きながらうそぶく四十男を
わたしは胸の中に招き入れる
 いっぱしのおとなはつまらないわ
と慰めてあげることも
 いっぱしのおとななんかくそくらえ!
といっ ....
やがて忘却の海辺に打ち寄せられた白い欠片、
朽ちた流木や貝殻の転がる旧い別宅の荒れ果てた庭に
ある日。螺旋に絡みつく二本の蔓の梯子が垂らされていたが
それはあたかも、私には儚い夢の終わりのようだ ....
紺青にけぶる空を薙ぐようによぎる、小型の戦闘機は燈色に燃える閃光をつれて。ゆっくりと浮き上がりはじめた海面に、硝煙にむせた妊婦たちが次々に溺れていく。あなたはやわらかな耳朶をふるわせて魚道を探す。冷た ....  
 
見たことのない言葉で
あなたと話す
関係のある足音と
関係のない足音の狭間で
 
時々、古い橋の匂いがする
目を凝らすと橋の形はあるのに
渡る人々のため息が聞こえてこない
 ....
黒猫は廊下に佇んで、
じっとこちらを観ている。

部屋の中にいても落ち着かない
餌をくれてもあまり食べない

探し回る 探し回る
自分の目が開く前から
抱いてくれた母親を

不 ....
仄白く霞む渓谷を見下ろす
濡れた衣服をそのままに
身じろぎもせず

洗い流した穢れは
一箇所に辿り着き
昇ってゆく
細やかな雨になって降り注ぎ
大地に蓄積して
芽吹いて実る
雌 ....
その食堂はうらぶれた路地裏にあったが、薄暗い路地にその食堂の入り口だけ煌々と灯りが点っていた。いつでも結婚式が行われている。食堂の食材は何処で調達したか、随分と脂分の多い肉と水ッ気のない葉野菜と萎びた .... 青い空がどこまでも抜けてゆく。
街路樹の銀杏が仄かに色付いている。
所々が赤茶けた緑の窓枠の大きな窓からぼんやりと外を見てる。
錆び付いた感受性が研ぎ澄まされてゆきそうな気がする。
気持ちの良 ....
生活という
意味の解らなかったものに
私は浸っている
めいっぱい
空を目指して
夢中で枝をにょきにょきと伸ばしていた
わたしに
生活とは何かを
知らされることはなかった。

社会科 ....
降り積もる雪の重みに
夜が
耐えきれず落ちていく
そうして彼女らは埋もれていくのだ

ひるがえった真夏の
影を踏んだあなたと
鳴くこともなく
死んでいった虫たち

 ....
 
 
本の索引をめくる
たくさんの指紋がついている
たどって行くと
エスカレーターがある
エスカレーターに乗って
植物の茎を昇っていく
やがて一枚の葉が終点となる
葉の先端には小さ ....
 マヨルカ島にふきよせる地中海の青い風をすくいとる
 ピアニストの手のひらは白い
 葉叢を束ねる小鳥のさえずりに頬ずりをして
 月光にきらめく細い爪をみつめていた

 風の家にあ ....
疲れた眼を開けると

目の前の街路にわさわさと
夥しい数の奴凧が
尻尾を引き摺ったまま
蠢いている。

大きいのやら小さいの
赤いのやら黒いのや
斑模様やら縞模様の
真丸のやら楕円 ....
 「泣き腫らした家」

 その家は号泣する
 時間を失った丘陵にたたずみ
 家主の帰りを待ちわびながら

 その家はときどき夢想する
 彼女が門扉を開き
 飛び石伝いにやって来るさ ....
明日はきっと晴れるよね

そう願わずにはいられなくて
ふと手を休め振り返る

自由気ままに暮らしてきた日々

愚痴っぽくなってみたり
ときには人恋しいくせして無口になってみたり

 ....
 
 
ほの暗い飲食店で
たった一人食パンを食べている
六枚切り位の厚さだろうか
食べ終わると給仕が来て
新しい食パンを置いていく
本当はご飯の方が好きなのに
運ばれてくるパンばかりを ....
素面(しらふ)で詩なんぞ書けるものかね

と赭ら顔の詩人は言った。

カウンターの隣で飲んでいた俺は
思わずバーボンを吹き出した。

そうだよ っと詩人は手が震えていて
表紙の擦り切れ ....
冷たさを増す風に震える
荒野の先のやわらかな双丘をそのままに
奥に流れる寂寥とした音色に耳を澄ませている
何処かに隠した水瓶から溢れ出す
指先を濡らすほどのちいさな泉を大切に護って

 ....
砂と瓦礫の上、子供たちが石のような目をしてそれを投げ合うとき
わたしはぼんやりと胃凭れ気味な朝を迎えます。
やわらかくなめらかな肌にすりつぶして、塩コショウとマヨネーズをかけてそれを食します  ....
月乃助さんのおすすめリスト(2698)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
朝、まばたきの露の- 高梁サト ...自由詩8*10-11-5
顕微鏡を覗くと- たもつ自由詩710-11-4
ぷろぐらむ- 佐藤真夏自由詩12*10-11-4
老い- ……とあ ...自由詩11*10-11-3
川縁にて- ナカツカ ...自由詩9*10-11-3
木漏れ日- 砂木自由詩16*10-11-3
ケーハクなひと- 恋月 ぴ ...自由詩23*10-11-1
反映- 豊島ケイ ...自由詩17*10-11-1
Kiss_OF_Fire- ……とあ ...自由詩9*10-11-1
結界を出入りするもの- 石川敬大自由詩2010-10-31
色鉛筆- たもつ自由詩1910-10-30
情事- 豊島ケイ ...自由詩9*10-10-29
黄昏の霊廟_★- atsuchan69自由詩15*10-10-29
Ending- yuko自由詩710-10-28
別れの言葉- たもつ自由詩510-10-28
入院- ……とあ ...自由詩11*10-10-28
ここにいない- 高梁サト ...自由詩5*10-10-28
過食の典_ー多重腹食堂- ……とあ ...自由詩6*10-10-27
日々の感謝- ヒヤシン ...自由詩1*10-10-27
生活- ナカツカ ...自由詩6*10-10-27
G- yuko自由詩610-10-26
索引- たもつ自由詩510-10-26
ショパンの手- 石川敬大自由詩1810-10-26
襤褸凧- ……とあ ...自由詩8*10-10-26
泣き腫らした家/泣くまでの経緯- 豊島ケイ ...自由詩14*10-10-26
秋の夜長に歌ううた- 恋月 ぴ ...自由詩33*10-10-25
給仕- たもつ自由詩8+10-10-24
飲み友達- ……とあ ...自由詩6*10-10-24
仔の眼- 高梁サト ...自由詩5*10-10-24
じゃがいも- アラガイ ...自由詩7*10-10-24

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