回転扉の向こうはサバンナだった。
「さぁ、はやく。」
何かに躊躇っているうちに
電解質と一緒に失われた
青という名の雷鳴。
「サバンナに広がるベッドには、 ....
ちぎれた雲の雨脚にまで届くように 斜めの光線に従って
指先をぴぃっと伸ばしてゆくんだ
触れた蒸気のもくもくのすきまには
あたらしい宇宙が隠されていたとか、いないとか。
既に誕生していたのか ....
目には目を、歯には歯を、
このハンムラビ法典の言葉は
復讐法だとか拡大報復の戒めだとか
そんなふうに言われてはいるけれど
この言葉の連なりに
私はひとの悲しみを感じるのだ ....
ここに一脚の椅子があって
それは懐かしいにおいのする木製の小さな椅子
小学校の教室にあるような椅子
揺らすとかたかた音がした
そんな椅子にあなたは腰かけている
手には一冊の詩集
マ ....
大好きなあなたが隣に居て欲しい。
2人とも甘いもの好きじゃないからケーキは食べられないね。
わたしの作ったお弁当食べて、少しだけお酒なんか飲んで手を繋いで
それから何も言わずに抱っこ ....
帰る場所を
見失ったのです
後悔を口にするのは
容易い
でも
君が帰って来る
訳でもないし
元の幸せな日々に
戻る訳でもない
いつまでも
本音を言えず逃げる私に
素直な
....
後悔するとわかっていても
止められない思いが飛んでいく
羽を持った私の心は
あなたの元へ急ぐ
たった一度の恋だった
たった一度の温もりだった
たった一度の繋がりだった
いき急いだ ....
090907
兎の毛を毟る
ハゲタカのように
猫の缶詰を棚に探し
ついでにカップ麺を購う
今日の作業は防水シートを
校庭に拡げ
....
ペットを飼うとはどういうことなのだろう
人間以外の生き物と一緒に住むということ
なぜ?
癒し?
嗜好?
ペットを飼うとはどういうことなのだろう
人は人によって癒されるべきではないのか
....
君と丸いテーブルで食事をとる。
周りを子供がくるくる回る。
君と丸いテーブルで食事をとる。
子供たちの服がゆらゆら揺れた。
ひらひらひらめいた。
昔はこうやって遊んだ。
口に含 ....
太陽が
沈むまで
君のために祈ろう
あと40゜
君に祈るのに
残された時間は
あと40゜
君は
死ぬのかもしれない
それとも
ただ
立ち去ってしまう
のかもしれないし
....
ねぇマサユキ
あたしを抱いてよ
傷だらけの
体をかわいいと言って
あたしねあなたが嫌いなの
嘘つきだし
遊ばれてるのに
気づかないなんて
本当にバカね
気だるい夜に
ベッドに寝 ....
真昼の頂点に、輝く水飛沫があがり、影のない一瞬 私は
ぽかんと口を開けて、天頂を見る、ヤブ睨みをする
不機嫌だった幼児も、相貌を崩し 笑い出す
はしゃぎだした子供たちに大人たちはお手上げ
だけ ....
いつのまにか
降り出した雨も止み
遠くでそっと光る虹
前にも見たはずなのにあの頃とは違う
行き先を決めず借りた車で走り出す
丘の上にひっそりとたたずむ小さなカフェ
蒸気の音と香り立つコーヒ ....
普通が普通たらしめるものはなんですか
それって
同じポロシャツ着て
駅前に立ってる
キャンペーンのスタッフ
みたいなものですか
向かい合わせで立っても
右向け右で
同じ ....
誰も待ってくれないから
みんな子供であることを
あきらめるしかなかった
そうして前を見て進み汗をかいては
花の色でさえも忘れていった
たがいの溝を埋めあっても
ひとりずつは変らず小さく
....
例えば園児の初恋のように
互いに思いやることが幸せなら
目を合わせて顔を赤らめることが
どれほど可愛いことだろうか
ドキドキを無邪気に笑って誤魔化した
持ち合わせていない感覚
....
酷いささくれに塗るクリームを探して
降りた事のない駅に下車する
夕立が来そうで、少し慌てて、薬局を探す
コンビニエンスストアに置いてはない薬だと直感で解っているから
薬局を、強いクリー ....
貴方の居ない夜は寂しい
ベランダで
夜風に吹かれて
お酒を飲んでも
貴方が隣に居なければ
どこか味気ない
初めから分かってた
叶わない恋だと
いくら私と
シーツの波を作っても
....
愛情が湧き出てこない不安から君の笑顔を必死に描く
茶柱に歓び合える温かい夫婦目指している私です
一面に土筆の群れが現れて驚く我に敬礼をする
月からの誘いを受けて無意識に見上げる月が私 ....
光を恐がらないで
震える あなたは
優しいから
言葉の中で
迷い続けてしまう
いつか見た空が
美しいと思うのは
心の隙間を埋めるような
静かな瞬間を
きっと 今求めている ....
落書きが欲しくて
お金を渡すと
気軽に売ってくれた
壁のような人が
また何かを遮るため
無表情のまま立っている
それを見ている
人のような壁が
落書きの中にいた
壁のよ ....
私は夜が好き
静かで
虫の声が聞こえて
眠れないときは
月明かりの中で
散らばる星座を
ひとつひとつ
確認するように数えていた
私は夜が好き
星の光が薄れる程
月の明かりが強い ....
引き潮に
拐われるように
海辺の夏が
終わる
夏の後ろ姿を見送る
誰もいない砂浜
もう
何もないんだね 砂浜には
まばゆい夏の光が
みんな持って行って
夕方の海風に
凍える
君 ....
季節外れの神社に
十歳の僕と親父が歩いてゆく
親父は何もしゃべらない
僕も黙ってついて行く
参道の階段には銀杏の葉
黄色い黄色い石の道
段々を上って一息入れる
親父の肺は一つしかない。
....
雨の降る日のフランスの外気のような湿った匂いのする君
アンドレくんにはもう言ってあげた?
もう私アンドレのこと嫌いって
ノートもう見せてあげないって
リサ先生とのこと教室のみんなにばらしちゃう ....
寂しさ感じた夜に
月が優しく微笑む
どうか夜よ 明けないで
月光が私の暗闇照らすけど
負けないって決めたんだ
でも、せめて今だけ闇夜に浸らせて
寂しさ感じた夜に
月が優し ....
明かりを消した部屋
カーテンの隙間から
猫が月を見ている
彼女の飼っている 黒い猫
うっすらと浮かび上がる
陶器のような彼女の背中
昼が人の表側を照らすのだとしたら
夜は人の ....
上海から帰国すると
仕事仲間たちと須磨の別宅に向かった
ビジネスになりそうなので
今から徹夜でパワポをつくるのだ
このプロジェクトのスポンサーは
明日しか時間が取れないの ....
あなたに会いたくて
あなたを忘れられなくて
わたしは海へ
でもあなたは
だんだんと薄らいでいた
さようなら
と優しく呟いている
わたしの涙は
風にさらわれて
赤い太陽も
どこか ....
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