滝の駐車場前ひょこひょこと

破れ傘にジャージ姿 

相模のかっぱが、現れる

器用に操る軽自動車から

爺が降りるが 相模のかっぱ

先の見えないトンネルを

越えると足下に ....
真っ直ぐな道は歩きづらい
かと言って迷路みたいでも困るのだけど
適度に曲がりくねっていて
ちょうど昔ながらの畦道のように
赤い帽子によだれかけしたお地蔵さんが祀られているとか
時には肥だめみ ....
多くのスクウェアな図柄に囲まれて
負債を踏み倒しに行く
老獪な白熊一頭
笑顔には愛嬌
獲物を貪り喰らう凶暴さは健在

整った図柄の中央に
消えつつあるアルファベット
 三 ....
 
 
理髪店に備え付けられた
平方根の中で眠る犬
その耳に形のようなものがある
店主はただ黙々と
軟水で精製されたハサミを用いて
僕の髪を切り分けていく
その間、僕は不慣れな手つき ....
 親分が死んだ
 翌日は
 空がどんよりしずみこんでいて
 さかんに落ちる公園の黄葉たちをみていた
 車内の
 十月


 か。


 なやまされていた
 か。
 ....
水道水にかぶれた皮膚のあたりを掻く
描いていたのかもしれない
赤く、ぽつぽつと、
夕日の質感に似せて
 
滑車に吊るされている重量のないもの
贅沢は言わない
ほんの少しでも重みがあれば
 ....
カモミール
マロウブルー
手で揉んで
匂いを嗅ぐ
それでハーブティーを作って

窓辺を覆いつくしている
観葉植物に
光が射している



時間は
チクタクと流れる
もので ....
 トゥクトゥクの傍らで赤い夕日を待って
 犬は
 なにもしていない真昼
 なにをしているのだろう、そこで
 みずからの首に首輪をつけ
 ひもをつないで

 犬って
 なにも ....
絶望的な奴って

絶望的な奴と何かを食べることは出来ない。
栄養を取る必要がないからです。

絶望的な奴と勝負事は出来ない。
失うものが何も無いからです。

絶望的な奴と酒を飲めない。 ....
 母が私の靴をはいて出てしまった。
『せちがらい世の中です。どうか探さないでください』
 朝起きると母の書き置きがあった。あまりにも淡白なセンテンスだった。私は泣きながらトーストをかじり、泣きなが ....
{引用=
どれほどの心が割愛されているかを考えれば
事象としてのみ繋がることを選んでゆく日々
シーニュの隙間から零れ落ちてゆくものらの
見えない表情を想うほど愛を思い知ってゆく

あどけな ....
 
 
鉱石の中で音符が溺れる
横のようにただ長いだけの真昼
旋律とは名ばかりの
みすぼらしい数々の記載

私たちの身体は何も語れない
具体的な生活を持たない
単なる肉の塊にすぎない ....
「ばかものよ!」

なんて言い切れるなら良いのだけどね

「もしかして」

そんな枕ことばで思いの丈をごまかしたり
まるで何事も無かったかのように
飼いはじめたばかりの小鳥の世話を焼い ....
 
 
鳩時計が次々と子どもを産む
子どもたちは皿になる
皿がとぐろを巻いているので
妻も娘もそれはヘビだと言う

ヘビなら料理など
のせられるはずもないのに
やはりとぐろを巻いてい ....
例えばもう
ハルジオンの骨は
土に還ったのでしょうか
わたしの心臓を
掴んだまま
燃え尽きたひと
ただいま と思いながら両手を下に広げる
林檎畑は収穫のための作業で忙しい
陽があたるように実の回りの葉を取るため
晴天の日曜日 実家に帰る

草を分ける土の道 人の歩いた道
風にそれる 緑 ....
草むらは切り開かれ
キリギリスはいなくなった

裏山は切り崩され
クワガタはいなくなった

沼は埋め立てられ
ザリガニはいなくなった

代わりに蟻のような人間が来た
巣穴を広げ
 ....
 
 
イヤホンの中に空が広がっている
入道雲にふと船が座礁した
そのような音が聞こえる
深夜、そして、私
 
途方にくれる船長のポケットの中から出てくる
いつの間にかなくしてしまった ....
辺境を目指して隊商は
何も遮蔽物の無い太陽の炎の先を歩く
必要以上に熱い砂の上を
ただひたすら駱駝とともに
テクテクのテクテクのてくてく
歩いて歩いて歩いて歩いた

目的地はバスラ
ロ ....
     時計が 針をやすめ 
     静寂が風を
     宥める彼方 
     あの遠いところで
     たえまなく
     枯れた葉を、振り落とす
     木 ....
(私はいつも仰向けで寝入り
 決まって仰向けで目を覚ます)

その日天井のしみは、妹のクラスメイトの顔だった
昼下がりに学校を早引けしたきり妹は姿をくらました

(私はいつも仰向けで寝入り ....
女を抱きたい気分でもなく
ただ、見ていたい
風がセピア色
入道雲の思い出
「バニラスカイ」を見て
あなたはどう思った?
彼女の言葉を思い出す
力を失った男が
荒野をさすらう時
相棒は ....
 おととい、この町はもう終りだと誰かの「影」が千鳥足でふらついたまま標榜したのがはじまりだった。

 きのう、よその町の「影」が焦点の合わない眼でニヘラニヘラ笑いながらやって来て躊躇なく私たちの「 ....
 
 
椅子だけが敷き詰められた
簡素な地下鉄の空間を
カラスアゲハが飛ぶ
必然にも良く似たその羽で

運転席のピッチャーは
キャッチャーのサインに首を振り続ける
投げられないのだ
 ....
カウンターの背の高いスツールに腰掛け
グラスに注がれたバーボン
氷のゴツゴツした表面を覆いながら滑り落ちる
琥珀色の液体にジッと
視線を這わせ

すでに結露したグラスを捧げ
グビリと ....
かたちのない宝石を
手のひらで転がす九月の午後
孔雀たちはまどろんでいる
淡く実る葡萄の夢を見ながら
 
 
髪に触れる、鮫
独白の跡
カレンダー通りに呼吸する
日々に疎いものだから
 
冷たい泡と泡の間に
ぼんやりとアスファルトの道路
小便の臭い
蚊のような肩幅
 
バス停 ....
沼田城址公園の猫

その猫はチャトラ
顔は大きいが痩せていて
バランスが無い。
愛想が頗る良いが、下品ではない。
飼い猫にしては痩せている。
野良であろうか がっついてる。

のっそ ....
 
 
バッタの匂い、そして夕暮れ
船籍を持たない貨物船が
狭小な港に停泊している
たくさんの名前を積んで

名前に奪われた名前がある
名前を奪った名前がある
誰も知らないところでひ ....
京成金町の駅看板
その間のアーケード
寂れた一角に
金モールの看板

ケバイ電飾に縁取られた
ストリップ小屋
ケイトさんの薄汚れた
衣装とすらりと伸びた両足の間に
はげかかったおやじ ....
月乃助さんのおすすめリスト(2698)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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_半_睡_の_落_葉- るか自由詩610-10-2
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