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散り敷かれた落葉に半ば埋もれかけている公園のベンチが私に語る。
この人間の抜け殻のような落葉達のお陰で私は寒さをしのげるのだ、と。
お前はお前のその心を寒さから守ってくれるものを持っているか、と。 ....
高原にそよ吹く風も冷たく、歓喜に満ちた秋の午後だ。
遠くを走る小海線に乗客たちは陽炎のようで、
近くの白樺林をくっきりと現実のものとしている。
道端に咲くコスモスに子供たちの息吹を感じる。
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肖像画の視線にパリの焦燥と倦怠を感じる。
日々の疲れが重くのしかかるように絵画の中の瞼がその眼光を弱めてゆく。
彼女の視線の先に映っているであろう私の顔はいつしか歪み、
誰に語る訳でもなしに ....
真昼の荒野に陽炎が立つ。
茫洋たる荒地の果てに大海の在るを望む。
私は干からびた海月だ。
海月に語る者は在るか。(それは心の語り手であるか。)
自らの体に楔を打て。その裂口を見よ。
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空が白く覆われた日には旅の準備をしよう。
そんな日はどんな自分に出逢えるだろう。
あなたはどんな態度で僕を迎えるのだろう。
きっとあなたの言葉を聞く為に僕は旅立つのだ。
窓辺から眺める ....
夜の繁華街のざわめきにあらゆる欲求が漂っている。
散らばるポン引き達の蜘蛛の巣が張り巡らされている。
しどけない女たちは性欲の看板をぶら下げている。
狡猾な男たちはホテルの裏で駆け引きと取引 ....
銀色の夜空に青い蝶が舞う。
夢色の花束を抱えた男が待ちくたびれて黄色い吐息を漏らす。
愛を孕んだ白い月から茶色い影が覗く。
訝しがる男にあきらめの色が重なってゆく。
蟇の戯れる川辺に星 ....
青い空がどこまでも抜けてゆく。
街路樹の銀杏が仄かに色付いている。
所々が赤茶けた緑の窓枠の大きな窓からぼんやりと外を見てる。
錆び付いた感受性が研ぎ澄まされてゆきそうな気がする。
気持ちの良 ....