090624
行人偏と禾編がケンカして
別れた
離婚したのではなくて
別居しただけだと
読者を
隣人を
父を
母を
弟を
叔父を
....
きっと
この世のすべては
過程なのよ
肩の力も必要さ
誤解は和解のために
平衡は無限遠点で交わる
ユークリッドなんて大嫌い
幾何学に愛を
未 ....
月に酔う
目眩く色彩など
有るはずも無く
耀く孤高は闇に聳える
見えるものは虚飾しかなく
光の実存その存在を知らず
色彩のみが色なのか
概念を破壊せよ ....
5歳の僕は風の中にいた。
底の町から吹く風は暖かかったが、
上の町から吹く風は冷たかった。
底の町から吹く風を顔面に受け止めて
膨らんでゆくと
僕は虫になって舞い上がった。
谷の反 ....
もうやけっぱちだった。仕事も棒に振り、ここで金を借りることができなければ娑婆を捨てるか首をくくるしかない。ほんの少し、ほんの少しの種銭さえあれば取り戻せる、きっと。
仁王の睨む山門をくぐると ....
骨の折れたもの
きつく縛られ 置き去りにされたもの
腕に 鞄に
ぶらさがった憂鬱の蝙蝠
その時を待つ核弾頭のように
危うく 厳かに
潜んでいるフック船長
....
090622
銀ヤンマを食べる
鬼ヤンマを睨む
怖い顔をした男が
車に跳ねられて
怪我をして
病院に運ばれた
怖いから
跳ねられ ....
人は誰だって
夢を見ている
それが明日叶えられる夢だって
遠くて遠くて100年経っても
叶えられない夢だって
きっと幼い少年少女のように
夢を描いているんだ
でもその夢が ....
父のベッドのところまで
凪いだ海がきている
今日は蒸し暑い、と言って
父はむくんだ足を
海に浸して涼んでいる
僕は波打ち際で遊ぶ
水をばしゃばしゃとやって
必死になって遊 ....
分かち合うことが
人と人との繋がりならば
いずれにせよその繋がりは
細い糸の様な物であろう
ヒステリックな世界の背景は
いつしかアメーバによって
浸食されていく
....
ねぇ
そのひんやりした床に
目を閉じて
耳をあててみて?
高速で道路を走り抜ける車が
ささやかに笑い合う地下水が
優しい歩調で歩いているあの人が
おしゃべりしながら列を成す蟻 ....
いいたくても
言えなかった言葉
心の中じゃ
100回だって言えるのに
いざとなると
喉の手前まできて
声にならなくなってしまう
伝えなきゃって思うのに
心を通わせる一歩手前で
目をふ ....
くるおしいと泣きながら
少女はおんなを殺した
触れていたいと叫びながら
汚した手を嫌った
繰り返した言葉を呪い
耳を塞いだ
くるしいくるしいと心が軋んで
去りゆく少 ....
ポケットの中にビスケットがひとつある
これを叩くと二枚に割れてラッキーだが
ポケットの中に入れたまま叩き割るという方法は
ポケット内にビスケット屑が散らばるという難点があり
また均一な大きさに ....
悲哀の音色と光の乱舞が
互いを完全に打ち消しあって
零れ落ちた沈黙に
回転木馬の夜がくる
めぐり、とまる
とまり、めぐる
繰り返されてきた物語はその結末 ....
嘘を3枚出して
幸福を200g買って
涙のおつりを受け取った
涙のおつりを出して
愛を2個買って
嘘のレシートを捻り潰した
綺麗事を繰り出して
涙のおつりを買おうとしたら
....
梅雨の中休み
夏に急かされることもなく
冷房の効いた部屋で
午睡に委ねようかと欠伸をする
いつもよりほんの数ニュートンだけ重力が大きくて
明日また雨雲が訪れたなら
雨粒の重みで紫陽花の ....
まちのすき間や
料理のかくし味や
音楽のうらがわに
そして、こころのどこかのしょっぱい海に
古ぼけた教室のような空間があって
気まぐれにドアがひらけば
そこには、
だいすきな人たちと ....
虎と少女が愛しあってはいけないのでしょうか
虎と少女が旅をする物語 なんて素敵でしょう
虎と少女が寝食を共にするなんて
そう思いませんか?
愛とは何でしょう
虎は愛を ....
かげろうみたいに揺れていた
道端に咲く花の名前を知らなかった
うつむきながら歩くのは
暑いからではなくて
探しものをしているから
交差点で泣いている少女を見かけた
優しい言葉をかけ ....
椅子に残された影を抱いて
私は目をつむる
もうにおいもなくて
人間くさい欲望に弱いところも感じられない
こうやって私の中でのあなたの存在が消えていくのを感じる
思い出が消えていく ....
僕はためらっている
この線を踏み越えれば
新たな自由と新しいルールが
一塊の石礫ほどの重みとともに
待っている
逃走の線からも逃れ
逸脱を繰り返し
棄てられるものは全て棄て
も ....
喧騒のなか
細い雨のメロディ
梢にしがみついて
姿を変えてみる
みんな
どこへ向かうのだろう
遠い、稜線をこえて
あしたも、あさっても
きゅうに
手をつなぎたくなって
あなたの ....
光の跡を指で辿って
途切れては、また
切なる時間の中にいる
瞬きに願いを乗せることもなく
水面に寄り添うのは
想いが透き通るから
清水に耳を傾けるのは
貴方の声を ....
水槽の底の
薄く撒かれた石床を
胸に抱えたまま
いつまでも
眠りにたどりつけない
硝子の鏡面に映る
瞳の奥、の奥
私は
銀色のマトリョーシカを
組み立てる
+
あなた ....
わたしの中の真昼の闇
闇の中の狼の虹彩
虹彩の中のおまえの影
ふるえている
耐え切れない心を
掻き毟るための
1/4拍子を宿した指先
どうかわたしの爪を切っ ....
090611
○を書きなさいと言われて
ちびた鉛筆を取り上げる
年老いた今は
ダンガーバルブのように
安定した放電が望めない
ではなくて ....
父の死んだかたわらで
妹をあやす姉
こどもを亡くした朝に
家族のためにあくせく働く母
ぼくたちの町
生活が
続くところまで続いていき
夜の暗い背中を
....
昨日と同じ色の朝の
昨日と同じ匂いの時間に
気紛れに買ってしまった
オリーブグリーンの傘を開く
慣れきった慌しさのほとりに
淡い緑色の翳が落ちて
治りきらないささくれの端を ....
夏の入り口には、
昨日の過ちの全てを飲み込んで許す程に煌めき澄んだ空の青さと、
我先にと、重なり合って湧き立つ雲に乱反射して飛び交う光の白と、
弾けた海の水面走る波の跳ねる飛沫の頂点を越えて ....
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