泡粒の数だけ思い出があり
からからからと音がする
競走はいつでもいちばん最後
ひとあし遅れて着いた小さな菓子屋で
真っ先に選ぶのは瓶入りのラムネ
にじみだす汗を乱暴にぬぐい
....
群青色の空の下であなたは自転車を押していく
わたしの歩幅を気にしながらゆっくりと歩いてくれる
オリオン座の見えるころに出会ったのに
まだ一度も喧嘩らしい喧嘩をしたことがない
わたしがとても傷つ ....
眩しい朝日に目を覚まして
窓を開けると
冷たく澄んだ空気が
まだ開けきらない
僕の目を
優しく撫でていきました
外の町は
少し霧に覆われていて
近くの山は
かかる霧に朝日が反射し ....
泣いて明かした朝の
空の青になりたい
仮染めの色が水に溶けるように
澄みきって 広がってゆきたい
ひとそろいの翅を持っていたら
昇ろう
たとえ彷徨いながらでも
空とひとつになれるとこ ....
真夏の太陽の残り香が
まだ消え残る夕闇に
風は少しだけ湿り気を帯びて
僕たちの間をすり抜ける
蒼いドレスの裳裾を翻し
両手いっぱいに抱えた
星の雫に照らされて
君の瞳が輝く時
....
きみの言葉
岸辺の水草
抱き合った夜のまるい小石
わたしの言葉
艶やかな泥
探り合った分だけ{ルビ嵩=かさ}んだ枯れ草
ひとつずつ拾い集めて
一年間を歩いていく
ほら、
晴れだと ....
わたしの中は
内臓とか
血とか
脂肪とかじゃなくて
海 が広がってるんだと思う
わたしの泣き虫のレベルは
ランクをつけるならAAAだ
本を読んでは泣き
曲を聞い ....
確率変動が起こるのであれば
それわそれわ滑稽なことですね
楽に死ねると思わない方がいい
死ぬことに楽など通用しない
安楽死を望んでもそれは不可能
何故なら安らかに楽しく死 ....
八月さいごの夜の風
この世とあの世を
つないでいる価値観は
これでこのままで
良いはずなんだと祈りきかせる
八月さいごの夜の風
商店街を吹きわたる
球場ちかく ....
たとえば
スクランブル交差点の
スクランブルしていないところで
深呼吸をする。
そういうことかもしれない。
東京は雨降り
昨日干したTシャツが
泣きながら僕を見つめる
頭が重くて
何をすることなく過ごした土日を不幸に思う
遠くで暮らしてるはずのあの子から
『いま東京にいるよ』
‥とか突 ....
らせんを描きながら
わたしとあなたは
おちていくのですね
だれにもよびとめられることなく
口を吸い合っておたがいの
すべてが分かったような
錯覚におちていくのですね
右手に左手を結び ....
寝続けるのはつらいと笑うきみの声は
瞬く間に白い壁に吸い込まれて
ああ 病院の白さはここにあった
と林檎の皮を剥くナイフが震えた
いつかの海は
ただしっかりと海岸を歩いて ....
無表情な紙を見つめていた。
彼女は、本を眺めている。
それから、ここはどこだろうか。
デザインは関係性である、と。
壇上に。それがあるいは、祖父であったように。
りんごの枝が空。輪郭 ....
軽快なピアノの音にのって
人の優しさが風に舞う
海辺の部屋は明るい光と
鼻をくすぐる潮の匂い
遠く望める水平線に
白いヨットといかついコンテナ
そのまま外海に流れるのか
二艘とも海の彼方 ....
健気に鳴き続ける蟋蟀に嫉妬した夜は
何も思い浮かべることが出来なくて
言い訳の代わりに意地っ張りな顔をしてみる
涙を落とす理由がどこにも見つからない
時々、弱くありたいと考えてしまう
....
ナニカは知らない、
燃える秋の山々はもくもくと煙立ち
はるか上空から
ふりそそぐ焼夷弾によって
木や草も畑も焼けた
森は焔につつまれ
必死に逃げる動物たちを
獰猛な火の手が執拗に追っ ....
散ル散ル朽チル
September, high tide 気がつけば
波高き9月になって風の音が憂鬱を
足元の砂に埋めて 耳元でいつまでも
鳴り続けていた千のアリアをそっと
水に溶いて空 ....
空き地はだれのものだったのだろう
サクもなかった
公園でもないのにみんな勝手にあつまっていた
土管にたまった雨水
そこにはオタマジャクシもいた
道ひとつはさんで玉ねぎ畑
....
音速 光速 何千 光年
限界 無限 暗黒 光源
イメージ閃光
比喩的表現
夢か幻か
神話の欠片か
過去の産物か
未来を知る術か
人が最後に行き着く場所か
願い ....
レシピが載ってる小さな冊子は
もうすっかり秋でした
外はまだ夏を残しているというのに
お店には
もう秋刀魚が並んでいて
レシピには
栗にキノコ
鮭に鯖が踊り
美味しいお米と
デザート ....
{引用=
しかくい部屋でまあるくなって
薄い毛布と土曜日にくるまって
お昼まで眠ります、わたしたち
(そう。いつもなら)
{ルビ昨晩=きのう}は忘れたかなしみを
不意にみつけてしま ....
ぼくは何処にいきますか
さびしくて
あたたかなところですか
かなしくて
きよらかなところですか
ひかりや風は
なにを教えてくれますか
太陽と木々は
....
虚空に舞う 電子の粒 雪の隠喩
回線の波に惑う 名付けられぬ影
一瞬 手が触れた気もするけれど
初めから なかったことにするよ
接続されてこ ....
こころが感じたちいさな興奮を
この世の片隅にあらわしてゆく
思考やこころで感じたことを
ぼくにはスケッチし直す作業が必要だ
セミが腹をみせて死んでいた
けったら生き返るか ....
まえがみが目にはいるから
髪をみじかくきった
それでもまだ、目をつつくから
いっそのことぜんぶ抜いてしまった
違う、ではなくて
入るのではなく
突つくのでもなく
....
その箱から音がする
空っぽだからといって捨てられず
そのまま放置しておいた
その箱は色を変え
かつての水色も消えかけて
ただの箱になったころ
その箱 ....
『まずぼくの体にかんしていおう
耳は生えているようで
目は埋まってるみたいだ
だから表面加工をほどこしても
けしきはちっとも変わらなかった』
バスでシオリをなくしてしまった
....
「惑」
GPSも届かない生暖かい闇の中で
使い古した答えを隠し持ったまま
手探りで小洒落た出口を探している
近視で早合点でメタボな僕の気泡
「星」
....
水のいのち−Soulを語って(宗教と関係ありませんから……と念のため)
この曲はもちろん作曲高田三郎、作詩高野喜久雄によるものです。1964年TBSの委嘱により作曲、初演は同年11月10日、山田 ....
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