091008
カマンダレが
雨の中で
大きな石を持ち上げては
池の中に
ドボンと
音を立てて
投げ込んでいる
音の善し悪しが
彼にとっては
重 ....
風がやんで小雨になっていた
台風がそれたかのようだった
それはつかの間で
街路樹を折り散らかして風が暴れだしていた
明日の出張はなしだな、ガムを噛みながらそう思った
....
貴方は好きだと言った
別に自分に向けた
言葉じゃないとわかってるけど
期待して
良いですか?
勘違いして
良いですか?
それだけ
そんだけ
貴方が大好きな ....
鳥を探して
走り続ける
ごおごおがつがつと
びくびくがるがると
僕の体の音が聞こえてくる
耳の奥で
耳の奥で
目に見えない僕の音
個性とかアイデンなんとかとか
アプリオリとかDN ....
早朝
タイヤチェーンの着脱場を通過
車は
白河から羽鳥湖高原へ疾走する。
すれ違う車両はなく
道路上には数羽のカラスが
カラスはよく肥え
このあたりのもの生りの良さを示す。
態 ....
ジェット機を出してくれ
ソコトラ島から恐山を経由してジュノーに向かうんだ
そしたらジェットはあんたの好きにしな
神様、僕はいつのまにか成功していたよ
だって命は赤々と燃え
風にそよぐ ....
それだけは
避けようと するのだ、
未開の人が
....
ぼくは腹を立てない
それはじぶんだからだ
じぶんを比喩して
それは目のまえにあるだけだからだ
ぼくを見つめた誰かの
その追憶をぼくは辿る
どこか遠くで
....
神々の舞台装置の奥
冷たい月明かりの夜が
深い淵を照らし出す
凍てつく太陽
麻酔の覚める羊たち
葬るネクタイ
愛って何時?
祖父母と歩いた畔道も
今は闇夜に濡れそぼち
光 ....
朝目覚めて口のなか乾いているのは
どうやら鼻の具合悪いかららしい
それとも流行の風邪でも引いてしまったのかな
人知れず鼾とかかいていたりして
人知れずってのはいかにも寂しいな
鼾うる ....
091006
なによそれ
線香花火に選挙された廃墟の裏庭の片隅の
魔遺跡のことだと
戦中派のお兄ちゃんが教えてくれた
魔遺跡だって
毎夕 ....
満員電車に揺られるたびなんで人間は増え続けるのかなって思う。
だけど日本人は減ってるらしいからそれはそれでおあいこなのかな。
家の近くのコンビニではアラムさんがレジを打つ。
片言混じりの日本語で ....
蛍光灯のひとけないフロア
コピー機の出力の音
そとの雨が窓をぶっている
指示されたことを
消し込んでいる部下たち
十月の夜が
ほとぼりのさめたような顔をして
....
今日、新しいエプロンを買った
今日、リビングにホットカーペットを出した
今日、夕ご飯はカレー鍋に決めた
今日、お風呂であの歌を唄ってみた
今日、電気毛布を早々に使った
今日、あなたの夢を見た ....
魚な感じの魚が泳いで行って
すれ違いに
自分ってなに?ってって
金色?
赤色?
なんかそんな色で
キラキラじゃ無くって
ギラギラって感じで
瞬いて
眩しくて
眼が痛くって
喧しく ....
摩擦子音+母音の
「す」
を発音する時の
舌先をすり抜ける息の
すがすがしさが好き
破裂子音+母音の
「き」
を発音する時の
喉の奥で突き放す息の
いさぎよさが好き
「すき ....
普通の友達ぐらいなら
メールの返信なんて当たり前で
返信を拒絶するのは
その人物を拒絶しているからであり
拒絶された私は
生きる意味さえ拒絶されたのだ
返信を拒絶するぐらいなら
....
くもりのち晴れわたるそら十六夜の一日おくれの名月のよる
今日もまたバロック流れソファーなる吾身横たふ秋の昼過ぎ
助かるには確率は少なく
1%より少なくコンマ以下の数値だった
誰よりもわかっていたけど
やっぱり君を失うのは嫌だ
そういう僕は君からみたら
わがままな子供にでも見えたのか ....
籠の中の小鳥が声高に鳴く
開け放たれた窓からそよぐ風に喜んで
庭先で君はひとり楽しげに
プランターのおじぎ草を突いていた
鼻腔を突くのは蒸せた花の香り
ざざざと風は水路を走る
千切られ ....
昔に忘れて
きてしまっている
ものがある。
素朴で
優しくて
温かくて
大切なもの
天からの光で
舞い降りてきて
シャボンのように
消えた。
十月の午前の窓は開いていた
どこか遠くで冷やされた風
部屋はあのときの青に澄んでいた
十年ほどまえ商用で行ったアルゼンチン
仕事を昼までに終え
通訳兼運転手の日本人が ....
アイデンティティという言葉を知っていますか。
自分が何者であるか?
自分が何をなすべきか?
ってなものらしい。
最初はみんな意識しません。
しかし、そのうち意識せざるを得ません。
それ ....
くちびるをとがらせて
こいしをけとばす
りょうてはせなかでむすび
あかねぞらにあかとんぼ
こころはくすぶって
やりきれないりゆうが
くちをついてこぼれだす
きのうはだいすきなあのこを
....
授業が終わると、真っ先に教室を出る
いつもなら軽音楽部の部室で
とりとめのない話をして
演劇部の発声練習を聞きながら
ひとりの娘の姿を追いかけるのだけれども
夏休みの間、炎天下の中ひたす ....
お風呂上がりはボディーバターで香りをまとう。どう、美味しそう?
綿棒の大活躍によりアイラインがしっかり落ちる
寝る前のリップクリームは忘れない
プチプライスだけど伸びがいいの、これ。
....
その時
百日紅は花を咲かせて
夏になったことを教えてくれたけれども
夏が終わったかどうかには関心がないらしいので
花を咲かせたままであった
今がその時だと 秋の虫は
ギーギー ギーギー ....
ラテンの猫
粘土の焼けた瞳
河の流れを胸に秘め
光沢の粒を晒す
記憶の階段を
駆け下る
コツン
静まり返った月色のススキ野
突然 ....
五時半暖簾をあげる女将
「やってるかぃ」
「今あけた(開店した)ばかりだけど
早いのね」
「ご挨拶だなぁ
今日は涼しいから燗つけてよ」
とり鍋ぼたんの斜向かい ....
雲が
太陽を隠しています
きっと
あの向こうには
壮大な楽しみがあります
だけど、それを
雲は
わたしに
見せてはくれません
こどもの頃
おとなが見せてくれなかった
テレビドラマを
思い出します ....
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