負った傷と都合の悪い過去は
片っ端から切って捨てる
少し 尾骶骨が痛い
道端に捨ててうっかり拾われてしまっては大変なので
その都度回収して箱に収めた
赤いの
....
1
交差点の灰色の空から淡い紅色の花びらが舞い落ちる。人々はその花びらを見ること無く俯き加減に黙黙と歩いている。誰一人として空を見上げるものは無い。そして降り積もった紅色の花びらを踏みに ....
{引用=ジャンクフードからドッペルゲンガーまでを
わたしの小さな世界の一員と認めて陳列したストアで
コスモポリタニズムを宣言するの。
エキセントリックな彼を愛する彼がとても好きだから
シャネル ....
言葉はひかりより
遅れてやってくるから
たぶんまだ
君は粒子で
かすかな時間差の中に
小さく膨らんだり
縮んだりしているんだろう
空は淡く
まだ少し痛いから
僕は水辺にいて
円 ....
これはロシアのお話です
ワーニャという女の子が
冬の森を家へといそいでいました
こんなところに?
凍えそうな恰好をしたおばあさんが
娘さん、寒くてつらいんだよ、
ワ ....
{引用=
*指先をソーダ水に浸しては 「なんで今日も消えてしまうの?」*
きみの傷んだ香りを吸い込んで透明になる
ぽつり ぽつりと
夜を揺らして泡がはじける
指を
小さ ....
僕は星が好きなんだ。とくに月が好き。
地球や太陽や月も星なんだよ。ときどき忘れちゃうこともあるけどね。
月。
満ちたり欠けたり。
細くなったり太ったり。
丸くなっ ....
星の数だけ浮かんだそれぞれ孤独なロダンと
それぞれ頭の中で試されるモダニズム
泣きべそをかいた子供が唯一カギを持つこの城で
誰も知らない自分だけの
誰も知らない自分だけの
宇宙へと旅立ちます ....
背中を丸めて屈むぼくに
子供が飛び掛り
反対側へ跳んでいく
衝突しそうな予感
ぼくは縮こまり
両の腕でふくらはぎを抱え
ああ この一方的に受動的な恐怖 ....
教えてあげる、秘密の中の秘密
ほんとは、みんな、ひとりぽっちだって
ほんとは、みんなも、ひとりぽっちだって
娘には愛を受ける権利がある
娘には、すきなときにだっこをしてもらう権利がある
父親の記憶のない娘を不憫に思い
祖母は惜しみなく愛を捧げた
自分の娘に届かなかった愛もセットにして
両腕 ....
{引用=
雲の崖から
流れ落ちる虹
光は水に沈み
黄昏の彼方に
風は失われた
日々を呼ぶ
夜の匂いの中
思い出は座礁し
波のはかない仕草に
古い傷は{ルビ火口=ほく ....
「出てきてくれないと、さよならが言えません」なんて
君がいつもの優しい声で言うから
余計にここに閉じ籠ってしまいたくなった
「寒いでしょう、さあ」
ねえ、君はいつだって正しい
寒いよ
すごく ....
年若い側近たちが
まじめな顔をして公文書を焼いていた
四月の夜だった
焚き火の明かりが
周りの壁に影をめくっていた
憔悴した彼がそこに立っていた
髭のうえの彼の鼻が ....
路面電車から降りた羊飼いのみる夢
葡萄酒はとっくに尽きて月が出てる
錬金術師は金色のイングリッシュハーバーを
一杯の砂漠の水と共に ほんの少しの干し葡萄を
小さな箱で あい色の ....
縮絨された暦に秘めた
敏く、哀愁を帯びた紅紫の日々と
愚かなる人々の美しくも艶やかな罪の数々
その淡い影と華やかな彩りに埋もれ
古びた床へと無数の疵を残して
錦鯉の泳ぐ池のある庭を ....
小雨の中の交差点
寒さ厳しく 小走りで
自動扉がウィーンと開く
その店に入った時から
異様な空気。
フロアの中央に
背の高いテーブルひとつ
天井にはミラーボール
窓際のカウンターに ....
わたしは勿論あのひとを
大切に大切におもっているが
もしかしたら実は
あふれこぼれんばかりの
「愛したい!」という
エネルギーのかたまりを
ぶつけられる相手ならば
....
夜半から降り始めた砂が
やがて積もり
部屋は砂漠になる
はるか遠くの方からやって来た
一頭のラクダが
もうひとつのはるか遠くへと
渡っていく
わたしは椅子に腰掛け
挨拶を忘 ....
切り倒したばかりの白木 刳り貫いて
船をつくろう 船をつくろう
亡くなった人の骸を入れるため
船の棺に入れて 愛しい亡骸を入れて
白浜へ挽いていこう 海まで挽いていこう ....
{引用=*四行連詩作法(木島始氏による)
1.先行四行詩の第三行目の語か句をとり、その同義語(同義句)か、あるいは反義語(反義句)を自作四行詩の第三行目に入れること。
2.先行四行詩の第四行目の語 ....
綺麗な空を見る
水の流れる音を聴く
君の声がする
たったそれだけで
世界がくるり、素敵に思う
ぼくは高校卒業まで叔父叔母に育てられた
母さんはぼくと妹にいちども会いに来なかった
誕生日にはお金が送られてくると叔母は言っていた
叔母ぼく妹で買い物に出かけると
きまった店でよく服を買っ ....
哀しみにおそわれる
生きていく苦痛にとらわれる
人一倍傷つきやすく
人一倍じぶんを超えようともした
胸の痛みやしびれがなくなるまで
大義名分をさがして
モーツァルトのピアノ協奏 ....
私たちはつながっている
滝つぼでせめぎあう水のように
ときには去りかけている手を
つかむように
私たちは引き合っている
玄関にあるクツや
座っているイスのように
それは確かなこと
....
楽器のようになりたい 私は あなたの楽器に
あなたの指先が 描こうとする 一つ 一つ の音を あなたの思い描く そのまま その通りに表したい そして そうすることで あなたが 次々と 美しく悲し ....
舌足らずな声と
舌の麻痺した声と
酔いの回った声と
光る声と
舌の先に憂鬱を乗せた声と
舌の先で転がす欲情の声と
だらしのない生活
すべてが連結して
みなぎっている
血が騒いでい ....
一二の時まで、わたしは発光していました。
ちいさなわたしは
空き地のハルジオンの隙間に落ちていた
たくさんの欠片(かけら)を
拾い集めては、
序序にじょじょに発光していきました。
....
{引用=
? 白い虹の風景
}
{画像=10071 ....
空のうえは宇宙でしょうか
ぼくには空のしたしかありません
あらゆる哀しみと同苦したいのです
空のうえなどいらないから
あらゆる哀しみと同苦したいのです
天国なんかありません
地獄なんかも ....
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