乾いてしまった糊みたいに
あちこちぺらぺらめくれてくる
とじ合わせた心が
納得なんかできないと
空気はとっくに私を
包んでるのに私が
認めたくないことばかりあって
そりかえっている
....
ぼくは馬鹿だった
ぼくは天才だった
感じていたのは無力さではなかった
じぶんの有害性を感じていたのだった
ひととはうまく交われなかった
それがぼくを
強くもしていた ....
金風が色を持たず
知らせを靡かせる
春に似せた奥行きに貫ける 秋の香
手招きの迎える 幸せな 血液まで流れる 風
区切らずに進める一生を 淡く撫でる四季よ
春に似せ ....
散らかった新聞紙やカップヌードルの食べ残しに紛れて
暗号が見え隠れするこの部屋で心の銃をみがく狙撃手
ぼくらは思想をもたないトラブルメーカー
いまさら乱数表でこの世界のキーワードがやりとりさ ....
清らかな川の水に足を浸していると
冷たくて気持ちいい
足の先に触れる石の声が
沁みこんできて
生まれ変わっていくようで
何も考えずに
河原に転がる大きな石となって
....
ルネ・マグリットの明瞭な形象
目に見える思考 大量の発汗
狂態と円錐形の構贓物と
立体部品の組み合わせによる人体
言葉とイメージの形象は
解析不能な現実と邂逅し、
理解不能な所産と謎め ....
乞食
たった一杯のコーヒーを飲めずにのたうち回っている老人
その瞳の中には険しい眼差しとオドオドした炎のちらつき
言葉を無くした老人は襤褸を纏って道を彷徨う
ぶつぶつ世間への呪詛なのか
....
二十五年前のある日
おとうとの幼稚園の授業参観に行った母が
苦笑いしながら帰ってきたことがあった
なんでも恥をかかされたらしい
その日のテーマは
「お友達に手紙を書く」というものだったのだけ ....
なににも祈る気持ちになれないけど
目が覚めて空が
ちゃんといてくれているのを
みたら安心する
言葉にはできないけど
あたしが
あたしのまま
空へてを伸ばす
おはよう って
いい言葉だ ....
駅から流れる
家路を辿るひとの群れのなかで
ただ恐かった
人生や血脈が
にほん足でとぼとぼ歩いていた
それが恐くて
点滅する信号を見つめていると
生きてい ....
波のきれいな浜辺には
おいしいココナッツがあるんだ
信じられないくらいでっかい魚が
沖を泳いでいるんだ
いつか旅に出たとき
パスポートをなくして困ってるやつがいたら
助けてやれ
英語が話 ....
いつもの朝食 いつものテレビ
そして、いつもの一日
いつもの幸せ
山のあなたに辿り着き
人生全部吸い込んで
空に向かって叫んでみたら
先っぽ なぜか膨らんだ
どういう訳か膨らんだ
いつまで経っても捌け口は
見えぬ病のその先に
空に向かって叫んだら
....
深い傷 浅い傷
大きい傷 小さい傷
ずきずき痛む傷、甘酸っぱい傷・・・・
どれもこれも、私の体に残っているものならば
全て抱いて生きていこう
ひとつひとつが 生きてきた証だから
失いた ....
孤独はあたたかい
闇はあかるい
しずかに私をつつみこんでくれる
そしてその中で胎児のように眠るのだ
罵倒や嘲笑・裏切り・暴力
全てから私を護り
私の存在を否定しない
理想的な母親のよ ....
反射的に目を閉じて、何かが溶けて冷たく頬を流れたので、私はそれが雪片なのだ、と知り目を開けた。
私は雪原で、キャンパスと向き合って立っていた。
そこには雪原しかなかった。
遠くで森が寝そべっ ....
{画像=120820013040.jpg}
風の音がとまった
日の光が強く押え付けてくる
ガラス窓のこちら側は醒めた水の中だ
連れ立った女学生が口をパクパク動かしている
子供を連れた ....
花で飾られた墓地は
東京のようにさみしく
思い出は
人と人との間にはいない
誰のものともつかずにひとり
野ざらしでいて美しい
見ず知らずの人に会釈をして
道を譲ると
僕はひとり ....
夏の雪降る深海の
窓にうっすら映る影
ちょうちん鯨の大口に
飲み込まれたのかマルラメの
思考の中の小宇宙
星々の輝き 極彩は
積乱雲のその向こう
遥か彼方に拡散し
そのまま夢の辺境 ....
釣り堀に釣り糸をたらす
濁った水面をぼんやりながめる
浮きが ぴくぴくと動き
ぷくん と沈む
のろのろとひく
たらりと針だけが透明な糸についている
ばしゃん
音がするほうに
ば ....
昨日とおなじものは
いらないのに
明日になったらやっぱり
おなじもの?
君はかわっても
ぼくはかわらないのかな
いくつになっても?
うん。
将来のゆめを語るひとでいたい
九十 ....
褪色したかこはモノクロ
セピアのくすむ
鉄錆の
あかがね色
ふくざつに入り組んだそら
四角い工場群がある昭和のはじめは卵の
ちいさな箱
筒状のえんとつ
....
わたしは写実をつなぐ
紙に沈む点を見捨てる
森のむこうの森
水たまりにくちづける
紙を裂いたかたちたち
紙を裂いたかたちにつづく
涙を抄い抄われる手が
別のし ....
とりどりの花散らしゆく街にきみの息づくしるし捜す
トロピカルドレス熱く纏う真夏のひとみと星とヴァンパイアー
ロードムービーからもれるつめたいバーモントの月ちょっと欠け
絶望的に収縮す ....
「いつまでも」
木の若芽
微笑んで輝いて進むために
今日も木が霊感をくれる 根も幹も葉も
木が育つのは歌 星がめぐるのは歌 人が愛すのは歌
宇宙の心にかなうことは ....
あなたは誰にも見られない所で
何をしていますか
愛するひとに手紙を書いていますか
あなたは誰にも見られない所で
何をしていますか
まだ手にできない夢を得るために
そのための切磋琢磨をし ....
碧い夢の水面(みなも)を映した瞳は、
ただ見るともなしに忘れられた出来事を想いつづけ
あの日、高い山の頂から眺めた
無数のもがく手と足が遠い海までつづく
静かな、地獄図を見ている
秋の空 ....
「嘆きなく」
木の若芽
ゆりの木が鳴る
けやきの木が踊る
とてもさっぱりした風だよ
昨日の風はしっとりとしていた
今日の風はからりとして
いちょうを匂わせ
....
とつきとうか
出口の見えないトンネルの中を
さまよい歩く気分でした
年中睡いくせに
その眠りは浅く
私は大海に漂う一枚の木の葉のようでした
{引用=沈みかかっては(眠りに落ちて ....
孤独じゃないと感じてる
孤独じゃないと案じてる
二人でぐっすり眠りたい
月あかりだけ浴びながら
青いツラの皮うかんでる
きのうの戦争銀メダル
世界で何位なら満足 ....
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