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幾何学模様の闇が重なる
夜の底に
ひそやかに灯る青白い共犯

夜が明けて
其処に残されているのは
誰にも読み解けない証拠だけ

誰もが息を呑む
美しい証拠だけ
君のきれいな手が
思いがけない角度から
あざやかな深みをさぐり当てるのを
僕は見ていた

遠い昔から
数多の吟遊詩人たちが
僕の胸へと歌いついできたのは
きっと君のことだったんだ

 ....
透明な祭壇の上で
君は羽化する
私はただ見あげ見つめるだけ

君は羽化をくりかえす
私はただ見つめつづけるだけ
君はそのたびごとにちがう羽をひろげて
   雨の羽
   砂の羽
   ....
君は踊る
薔薇を 菫を 雛菊を踊る
揚羽蝶を踊る
木洩れ日を 気ままな風を踊る

君は踊る
虹を 青ざめた夜明けを 葡萄色の黄昏を踊る
波を 湧きあがる雲を 嵐を踊る

君は踊る
 ....
そしてまた梨の花が咲いた
記憶の裏窓に
梨の花が咲いたのだ

少年の横貌を
咽喉の線を
正しく記述する春の香気

    咲いたよ 微笑む
    咲いたよ はにかむ

その指が ....
僕の住む街の近くに
緑の草におおわれた丘があって
その頂には飛行船のなる樹が立っている

枝々に
最初は小さな小さな 飛行船がぶらさがって
そして日に日に 少しずつ大きくなってゆく
その ....
壊れた時計をいくつか
この部屋に飼っているので
どうやら時空にちょっとした罅が入ってしまったらしい
ふいに宙の思いがけないところから
時ならぬクロッカスの花が咲いたり
誰のものとも知れぬ指た ....
かたちのない宝石を
手のひらで転がす九月の午後
孔雀たちはまどろんでいる
淡く実る葡萄の夢を見ながら
カムパネルラの瞳が
どこからかしずかにみおろしているような星空

君の沈黙 君の横顔
それはなにかうつくしく けれどものがなしい
予感に満ちているようで
僕も黙ったままでいる

僕の脳 ....
日も月もない白い空と
ただ静かな灰色の地
その地平を 巡礼のように
椅子たちが列をなし 何処かへと進んでゆく
こんにちはさよなら きっとまた会おう
君がそれをまだ信じてるなら なんて切ない
灰色の木洩れ日 小さな湖
手を振って笑って
次はいつどこで会うかわからない それが素敵
思うようにうまく歩けな ....
{引用=*四行連詩作法(木島始氏による)
1.先行四行詩の第三行目の語か句をとり、その同義語(同義句)か、あるいは反義語(反義句)を自作四行詩の第三行目に入れること。
2.先行四行詩の第四行目の語 ....
たわむれに
   花の音
      風の色
   君のまなざし
      この胸に滲むよ
   からみあう
あやとりのように
   指と指
      結界して
   たわむれに ....
月乃助さんの塔野夏子さんおすすめリスト(13)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
名のない罪- 塔野夏子自由詩5*12-12-3
Bless- 塔野夏子自由詩3*12-11-3
羽化少年- 塔野夏子自由詩7*12-7-23
踊るひとのための連祷- 塔野夏子自由詩23*12-5-23
裏_窓- 塔野夏子自由詩9*12-5-11
飛行船のなる樹- 塔野夏子自由詩9*10-12-1
出現者たち- 塔野夏子自由詩13*10-10-21
中_庭- 塔野夏子自由詩17*10-9-29
カムパネルラの瞳- 塔野夏子自由詩8*10-7-11
旅_景- 塔野夏子自由詩6*10-6-19
あたたかい夢- 塔野夏子自由詩8*10-2-9
四行連詩_独吟_<星>の巻- 塔野夏子自由詩7*10-1-3
流_連- 塔野夏子自由詩3*09-11-29

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