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同行二人 つれづれの空
あたらしい道
いざ行かめやも
同行二人 耳許を
かけすが一羽すれちがう
同行二人 木漏れ日は
形を変えてまた消えて
同行二人 道端の
名もなき花に立ち止まる ....
遠い日
私をすこやかに育てなおしてくれた人よ
今
あなたの真似事をしています
背負ってしまった陰を呑み込んで
人知れず水鳥の如く足掻きながら
あなたは
微笑むことを忘れません ....
見上げた
遠い青は
海のものなのか
空のものなのか
わからない
そもそも
ここは海なのか
それさえも
忘れてしまった
浮上する
どこを
目指して
まとわ ....
職場をいちばん最後に出て
終電間際の電車を降りて
昨日と明日のあわいを歩いていた
街道沿い
歩道の隅
長い手足をきゅっと折り畳んで
体育座りでそこに居たんだ
白い ....
次の駅まで5分25秒
話した
他愛もないことたち
人見知りのあなたと
人見知りのわたしの人生が
はじめて交わった
まっすぐに話せないはずの視線が
まんまるな瞳に吸い込まれていく
ね ....
誰のために
揺れる夜に
囁く
呼応している
思いたいのは
夜があまりにも深く
草木にすら見届けられることのない
場所に
いる
....
負った傷と都合の悪い過去は
片っ端から切って捨てる
少し 尾骶骨が痛い
道端に捨ててうっかり拾われてしまっては大変なので
その都度回収して箱に収めた
赤いの
....
娘には愛を受ける権利がある
娘には、すきなときにだっこをしてもらう権利がある
父親の記憶のない娘を不憫に思い
祖母は惜しみなく愛を捧げた
自分の娘に届かなかった愛もセットにして
両腕 ....
ふうわりと
舞っていく質量は
たんぽぽよりも薄く軽く
飛んでいけ わたくしをつつんでいたものよ
たとえこのジャケットの
一平米あたり幾千幾万と詰められていたとしても
朝の光をひとりで ....
夜明け前に離陸した気の利いた文章たちは
朝焼けのまぶしさに粉々になってしまった
一方 鳴り続けているベースは
地面にかすかな響きを残し昇っていく
成層圏の付近で
散り散りのことのはた ....
はじめにパズルを解いてみせたのは誰?
スタンダードの流れるバーで
テキーラとカルアミルクを
失敗の余地のない完璧なシチュエーション
アクシデントの入り込む隙間も ない
一度だけみせたのは ....
ねえ
今日は手を繋いでこられたね
空の見える場所
海の 遥かに揺れる場所
星が降るまでにはまだ時間がある
誰もいない
雲以外は
ねえ
晴れるかな
少し戸惑いながらあな ....
空が青ければ気分も晴れるほど人間は都合よくできていない。
それは夏になったからといって恋をしたことなどただの一度もない事実からも証明できる。
感情は引力で私を押し倒し、重力で沈める。
....
今日も太陽はご機嫌ななめで
一面に白い濃淡が広がっている
北風は旅人のコートを脱がせることができなかった
知っているくせに
空がこんなにつめたいのを
「仕方がない」で済ませる人と ....
戻るものなのだと 思っていた
想っていた
想ってきた
そこに いた
90゜ 歩きだして
180゜ 振り返って
270゜ 見失っ ....
開けてしまった
くるしい
蓄積したさまざまな理不尽は
皮膚の表面から放出されることなく反射する
何度も
何度も
尾鰭が付いて膨らんでいく
出口を忘れてしまう
体内を回り続ける
....