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小鳥たちの声で目覚める山小屋
まだ春は浅く
遠い山々は冠雪している
あなたは今日も野鳥保護のために
でかけるという
朝の食卓には
熱いコーヒーとトースト
そして朝露に濡れた ....
天井に頭がつきそうなあなたと
どてっ腹に穴のあいた私は
どこか浮かれた心地で手を繋ぎます
やがて日暮れて
子どもたちはそれぞれのミノに潜りはじめる
私たちも
アンゴラのマフラーを身につけま ....
かりから ゆすりせ こまほす めいさい
つづきの まつほに けむりて ゆれゆう
はからい きれづに ちろちろ なみふみ
こすくも ねにつむ くにえの ひほのお
まだだ。
あの辺りがぼんやりと白けるころに、
だ。あと少し。どのくらいかは、知
らされない。その隙間に、乳白の詰
め寄るかろやかさで、午前5時。2
日前の雪は ....
白につづく銀と鈍
黄につづく金と土
線は繭にくるまれていて
まるくなり まるくなり
連なりのなか震えている
海と川の鳥たちが
街の橋を
曇の朝を越えてゆく
ふたつの ....
あんた 大殺界よ
餅ばっかり 食べてないで
芋を焼きなさい
絶対ウレルわ
ひこなに よいごと
つつぬく かきもや
ちよやに くれとく
わきふす みやむめ
ひにすく ゆきやけ
うつるて はうつめ
シビレエイに
さわったことはない
海のふくらむ昨日
しらないことは
ありすぎる
とおりすぎても
とおりすぎても
新しい
料理を注文する君の声が
空気の振動のような透明さで店内に響く
放っておくと月明かりしか入ってきませんから
と、ウェイターがカーテンを閉めていく
中央のテーブルでは座高の高い男が
大声でメ ....
茶碗の中につがれた
乾燥した お茶の葉
の だし水
海から
山から
やってきて
とことこ 二階に
あげられて
私のものだ
土くれの上で
ブクブクと肺をうごかして
息を吸う
息を吐く
それから
しらじらとした空気の中で小さくワルツをする
手はこう、角度はこう、小さく、チラチラと、
....
問い直せない問いばかり
白い段差に降り積もる
足もとにくずれては舞い上がり
白い段差に降り積もる
くずれるものらは道になり
道の下へと波打ってゆく
吹雪のなかを
....
結露が止まらない
いくら拭いても
壁や窓から滲み出てくる
このままでは
部屋が水でいっぱいになってしまう
僕らは慌てて非常食、ラジオ付き懐中電灯、
釣り竿等々をリュックにつめる
....
かたちがない雲の
のんのんした響き
缶
コロ
しばし倒れて鉄塔
はめられたんだ
生きる鋳型に
はめられたんだ
被害者意識それ
わたし
受け身をとれない
打 ....
目を閉じてもひらいても
夜に重なり現われる
光りかがやく胸のかたち
蒼のなかのからくりたち
高らかな鉛の奥から指さし
水面の緑と並んで馳せる
星と同じ色の曇
星と同じ ....
定期券が消えた
ある日こつ然と定期入れから消えた
懐かしい色の子供たちが
僕の知らない歌を歌いながら
道の一箇所に立っている
煙草を吸う
定期券が消えた
煙草を吸う
わっこ ほっこ ゆぎっこ ちみで
なして おらえのほうさ ふるなだべ
まんじ あさはやぐがら おぎでしゃ
みぢ こしゃねば あるがれねべた
ゆぎっこ つもって あるがれねべた
....
今日も君にお付き合いしてアニメ「ドザえもん」を見た
ひ弱な少年が未来からやってきた溺死体型ロボット
「ドザえもん」の秘密道具を使って
自分より屈強な者や裕福な者に立ち向かい
勝利し ....
ルドルフのハナ
赤いハナ
どうして赤いのかは
サンタも知らない
その1
おてんばルドルフ
そりの上
調子にのりすぎて
雪のカベにつっこんだ
出てきたおハナはまっかっか
その ....
物を収集するという行為は
生存競争という過酷な環境に無い者にこそ許される
嗜好性の強さはその個体の死を意味すると言っても過言ではないだろう
生きていくためには他にすべきことが山ほどあるのだか ....
君が夕食の支度をしている間
僕は前衛を守る
前の打者が歩かされ
憤怒した僕が強烈なシュートを
右から三つ目に叩き込むと
僅かばかりの利息が通帳に加算される
ご飯よお
僕のいなくな ....
昔住んでいた家の近所の円柱形のポストから
私に 手紙を出したいんです
近くには小さな神社 小さなトカゲが住んでます
土を掘って数センチ グレーの粘土質の柔らかい土が現れて
ころ ....
「なかったことにしよう」
と言われて
黙って頷いた
そうかぁなかったことかぁと
帰り道電車の中
何度も何度も考えた
とても疲れていたので
座りたかったけど
井の頭線は混んでいて
つり ....
えんぴつの上についてる
消しゴム は
何を書いてるのか
知らないけど
間違いは 消す
正解も 消す
新幹線で夢をみて、
覚めたら思い出せない。
夢なんてそんなもんだよって、
ずっと前に君と話したね。
思い出せない夢は、
いいんだか悪いんだか、
始末に負えないよ。
君が出てきた可能性も
....
庭の木にセミの抜け殻があった
手にとって握りつぶすと
ぬちゃ
それはセミの抜け殻ではなく
抜け殻のようなセミ
もて余した僕はこっそり
ぬか床に隠してしまった
夕食の時
今日のぬ ....
手はくりかえし空を混ぜた
遠くなり 近くなり
ひとつの重なりにはばたいた
触れる色 触れる音
傷のような軌跡に満ちた
溶けては響きと光になった
水と水をつないでいた
....
穏やかな
心地 は たらちねの
手編みの靴下 ぼっこの手袋
編み返して セーター
あかぎれの
温もり に うもれて 眠り ます
*は空に飛び出すと
*は*であることがいつも不思議なようだ
僕は両腕を精一杯伸ばして
それから海を囲って
さざ波にブリキ色の半月を映してみる
*は丁寧に覗き込み
綺麗だねと言う ....
ふくらみを抱いたふくらみの横で
かがやきの子はじっとしていた
青しか見えない青の下
息のような明るさの下
午後のふりをした午後のあつまり
誰が造ったのか忘れ去られた
....
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