すべてのおすすめ
{ルビ朱=あか}くて小さなさかなの
息のように
そっと触れた
てのひらから
あなたを呼吸する
ほんの少し
の温もりが意識を
わたしに繋ぎ止め
る、わたしの体温
....
耳たぶを
どうか
噛みちぎってほしい
此処から出られなくていい
私が誰で何処から来たのか
なんのために生きているのか
なんども問いかけて
なんども見うしなう
歌なんか
....
ブルガリア
ローズ・オイル摂取する
あなたとならば
触れ合いたいのよ
手を繋ぎ
じわり濡れゆく
感情線から恋愛線へ
薔薇香水は
流れ 流れて
黄 緑
....
歩く すきまだらけのからだに
すぐさま
圧倒的に
言葉の貝がらが入ってきて
それは ひとのにおいがして
たいそう悲しい春先の光となる
光だけだと寒いから
あなたは空と ....
春が
はるが
傘の水滴に溶けて
声も密やに
幼いまるみの春の子に
子守唄を聴かせる
まだ固く木肌の一部の様子で
繚乱、を隠した蕾は
雨にまどろみ
陽射しに背 ....
ねむのきとんとん、
とびらのむこう。
こだまのひびく、
あのむこう。
さやささやく、
えだのおと。
よんでいるのは、
きみのこえ。
とんと ....
猛禽となり、風を信じることだ
わがもの貌で空を行く獰猛な鳥も
{ルビ不確か=きまぐれ}な風を信じるから
自由だ
タンポポとなり、風を信じることだ
着地する場所は選べなくても
{ルビ不確 ....
めらり いきなおす
きに まわった ほのお
ち から はぐれ
つめられた いしの かまど
びりびり ひきさくほど ついて
まかせ でまかせ
あかりは あげる
あしたに ....
君が煮びたしをつくっている
キッチンは包まれている
昨日僕が割った皿は
既に片付けられてる
君の右手と
黒子のある左手によって
どこかから漏れてきた西日が
ステンレスに反射し ....
香しい匂いにつつまれた夜の森
小夜啼鳥は樹間を縫う月光に照らされ
夜の静寂の中 高い調で鳴く
私は夜露に濡れながら
夜鶯を追いかけてゆく
生あたたかい春の夜
月は夜のまどろみの中輝く
まだ見たことのない
果実に境界線を張り
流漂する異国の砂漠
三日月が蒼く涙する
空で暗雲が轟き裂けて
光速でかおるレモン
夜のネオンきらびやかな街の一画
あまりはやってなさそうなその店の
客引のにいちゃんに騙されたふりをした
「うちは見せるだけじゃないからさ」って
一番前に座って待った
クリスタルライト ....
息を
わたしたちは潜めて
東の空の彼方から
春がやって来るのを
待ち侘びていた
夜明けに
うすい紫の風が
わたしたちの
頭の上を撫でながら
通り抜けてゆくとき ....
私は
そらに放たれた宇宙飛行士
オフィスの
隅っこで見上げてる
ホワイトボード
お知らせのメモ
ホチキス
こんな朝から
遠い宇宙の孤独を想う
私とどこが違うのだろう
正 ....
凍えるだけ渇いて
鈴の音も響かせず
降り積もる雪の夕暮れ
雲母の肌が 幾重にもはがれていくのです
許されてしまう小さな嘘 をつくたびに
セロファンの音を立てたりはしないのです
涙の ....
ももの花
軽い衣に春染めて
緑の枝葉も知らぬうち
蕾のままに頬はほころぶ
絢爛のぼんぼりもなく
錦糸の衣も纏わずに
春の節句の雛つがい
ももいろの
笑みに吹かれて
ひな祭り
....
ふるいうたを うたってよ
みどりもえる ことばを
きかせてよ せかいの
くちびるが いちばん
やわらかだったときの
緑のたぬきとして暮らしている
暮らすことに対しては苦痛ではないけれど
もう随分と古狸であるものだから
化かされているんじゃないのかと
ボンズで飲み食いした後
カードを使用すれば
店員は裏表 ....
{ルビ濁=にご}った泡水が浅く流れるどぶ川に
汚れたぼろぞうきんが一枚
くしゃっと丸まったまま{ルビ棄=す}てられていた
ある時は
春の日が射す暖かい路上を
恋人に会いにゆく青年の ....
マルコ・ポーロ、エンリケ、ガマ、コロンブス、マゼラン、ベスプッチ、、、、、、、、、、、、、
みんな海へいった
さようならきっと戻らない
名前の残らなかったひとびと
航海 ....
とても美しいことを書けそうだと思って
さわりかたをそっとしたりしてみる
きみへ続く空中はゆらいで白く
物理学の本ならばたとえば
ペットボトルの曲線をなぜて
やわらかに跳ね返っている
春先の ....
純粋は純粋から生まれず、常に混じりもののなかから生まれる。純粋とはまじりもののなかから生まれる本当の混じりものであり、本当の美しさである。あらゆる混合物を超越して輝く強さであり、結晶で ....
果実はひとつ、
熟り続ける。
きみが折れる、
その時まで。
了。
ワールドアパート
酢酸
失われたハサミの片方のもう片方
イチローの背番号51のように
音も無く降る雨の形
ワールドアパート
共通しない扉で
耳を傾けるスパイス・ガール
俺の掌の ....
こうやって部屋のなかから窓の外を見ていると、雨の中でしか生きられないけものになってしまったような気がする。穴ぐらのなかで、ひたすら雨を待つ。エサはあるのだが、自分のツメで獲物を引き ....
こけこっこーで、
お目覚めっぽ。
お天気晴れたら、
お散歩っぽ。
窓の向こうを、
ちょっこり覗けば、
お外はとっても、
ご機嫌っぽ。
おべんとおむ ....
おおきく、おっきーく息を吸い込んで
ぷうーーーーーうってはき出す
空気がゆれて
それがすずしい風になって
暑くて困っている人のところに
どうか届きますように
もし、別れを言う相手が ....
ゆうらりと
ゆれてしまえばかげひとつ
かげとかげとがかさなって
もっとおおきなかげひとつ
もっとおおきく
もっとかぼそく
うたってしまえば 月 むざん
うたってしまえば 夜 むざん
....
(くもはしろいだお
と、ノンちゃん色鉛筆の箱をひっくり返す
あいにく白い色鉛筆は
どこかに失くしてしまって
ノンちゃん覗き込むけど
箱はからっぽ
みつからない
ノンちゃん白い画用紙広 ....
声は告げる
「風が少し強くなったような気がします」
問う前に答える
「岩と岩の間を行きましょう
枝で隠された路を」
独り言のようにつぶやく
「昔は水のにおいがしたもので ....
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