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まだわたしが良からぬことを考えているうちに退却する軍隊の足並みが乱れている
大きな一枚の鉄板から切り出した風見鶏がくるくる回っていると方角を見失う集団
集団が催眠するテントの中でファスナーは完全に ....
この部屋の中心はどこだろう、
その質問も今はもう
何の意味も無い、
答えを知っても
何も変わらない
そんな現実のほうを僕は
憎んでいたのかもしれない。

例えば川沿いの道の
小石を手 ....
彼は
街角の信号機に吊るされている
頸に
太い縄を巻きつけられて
どんな罪なのか
どんな過ちなのか
それを知る者は誰もなく
彼は吊られながらも 笑っている
それはひとつの風景
この世 ....
手をつないで
深いところまで、いってしまった


引いてゆくまにまに
記憶の砂がすれあっては
かすかに音をたてる
ノートブックの波に
毎日つづった、日記
夕立ちをよけて、キスをして、 ....
世界は正常で
人間は生まれた時から既に正しいと
信じる脳天気な操り人形たち
彼等のはきはきした口調
輝く瞳を尻目に
いま空高く
首が飛ぶ
もう数世紀も前に胴体から切り離されて
わが骸を ....
よく晴れた昼過ぎ
満開の桜の木陰にすいよせられて
黒い幹に{ルビ凭=もた}れ腰を下ろしていた

桜の花々は音もなく風にざわつき
ふと 辺りを見わたすと
桜の{ルビ蕾等=つぼみら} ....
背中にふれる髪は
ここまで伸びた
毛先をつまむと3年前の記憶が
染み込んでいそうで
笑える

きいろい花はいっぱい咲いて
まばたきをする

すぅぃと踊らされて
闇をきる
ゆっさゆ ....
遠い場所のあなたが
しあわせでありますように

桜を見送って
鯉のぼりを見送って
雨を待つふりで
見上げて

私がここにいること
この場所にいることを

あなたは
ずっと覚えて ....
土に倒れた鉄の飾りに
剥がれた壁のかけらは積もり
錆の網目にふちどられてゆく


誰も住むことのない家が
はじめからそのために建てられたかのように
灰と緑にとけこんでいる
 ....
気狂いに刃物
猿に電車
ガキにプール
妻に避妊具
配達員に写メール
青菜に塩
梅干に鰻
童貞にこんにゃく
並木に青虫
女優にバナナ
牛車にロケット
鈍器に着け火
電車曲がる軋む ....
ぽつりぽつりぽつり

ひとり部屋にたたずみ
明かりかすかに瞳に浮かび
いくつもの雨音に呼び起こされる色々

色鉛筆で
一番最初にへってしまうのは青色でした
空の色なんてわから ....
  星の夜には
空から銀糸が降りてくるという幻想を持って
  今は亡き
あの人と、あの人と、あの人と、あの子 と
日記のような会話をします。


瞬いた先から、雫が玉のように伝わって
 ....
ふらふらと
さまようのか
群集よ
醒めている目を閉じて
開いている口を噤んで
ふらふらと
朝から 夕へ
夕から 夜へと
たださまようのか
群集よ

君たちはまぼろし
まぼろしの ....
どうしてこんなところを指定したのかと不審におもいながら
おごそかにアダルトグッズを物色する客どもにまぎれていた
もうじき目じるしの赤いバラを尻に挿した組織の男がやってくる
そいつになにくわぬ顔で ....
かみさま
大人になった僕は
ずいぶんと長いことあなたのことを忘れていたようです。
時に僕はあなたの姿を見たいと
{ルビ只=ただ}、無力な両手を組み合わせては空に向け
一心にお祈りしています。 ....
檸檬一個
それだけ買いに行く
一番綺麗な黄色を買う
スーパーの
ビニール袋は興ざめだから 
丸めてポケットに

檸檬一個
空とキャッチボールしながら
ハミングまで出る
気付けば
 ....
テスト用紙の四角い枠に答えを書こうとすると
鉛筆の芯がぼきっと折れた
クラスメイトの鉛筆が
かりかり音をたてて問題をといていた
ふで箱をあけても
先のとがった鉛筆はもう一本ものこっていな ....
ふわりふわりふわたり雨よ
ゆりちゃん、さわってごらん
うわぁ、ほんとにやわらかい雨
めったに見れないけしきだよ

むこうになにがみえるかな
お店がいっぱいみえてます
なのにとってもかろや ....
今日も俺は核家族のために働く
核家族を食わさなけらばならない
路頭に迷わせてはならない
俺はいとも簡単にスマイルを作り出し
その唇の端には
いつも核家族がぶら下がってる
連休は月並 ....
地面に
落ちるまでの間
ずっと、
俺が
抱きしめてやる
多感な馬鹿
果敢な馬鹿
彼岸の馬鹿
此岸の馬鹿
対岸の馬鹿

たおやかな馬鹿
物静かな馬鹿
小うるさい馬鹿
夢見る馬鹿
現実の馬鹿
石橋を敲いて渡る

三途の川も馬鹿
地獄 ....
どうしてもあなたを好きなのは
たぶん
あなたが振り向かないからだ

わたしでないほかの誰かと
わたしより
ずっとずっと豊かな会話を

だから
あなたは振り向かないけれど
わたしの
 ....
未知の詩人へ:
 

 この広い宇宙を
 僕らは言葉で旅をしている
 僕らにとって言葉は
 単なる記号だ 
 それ以上でも以下でもない


 言葉は僕を裏切る・・
 愛すべき人に ....
さかさまつげ と診断され
父に手をつないでもらって
眼科に通って いた頃

診察してくださった先生は
遠くをみつめなさい と言った

遠くの山の緑 遠くの景色を
とても 眼にいいか ....
そして佳境に入った祝宴は
いつ果てるともなくつづく
せめて笑え
君は死んだ
君の生は
もう明るい陽を無条件に享受することはない
倒立した塔を褒めたたえ
これら魔の巣窟に敬礼せよ
そう
 ....
黒い球を打った

男の腕、背、腰に次々当たった
振り向きざま 小石を当てられる。
肩から背中にスルーして
黒い球は私には当たらない


投げた男は「お腹が痛い」と言う。
投げた黒い ....

右に
傾いて
安定せず
よろめいて
箱庭の片隅で
一筋の濁った夢
あるいは妖艶な爪
感じ合う二人の側で
幽霊が笑っているんだ
仕舞い忘れた毛布の中に
時期外れの扇風機の羽さえ ....
面接官がダチョウに似ている
というのは良くあることなのでしょうか
面接官は履歴書に書いてあることをいくつか質問すると
さて、と言い残し
窓から空へと飛んで行ってしまいました
もしかしたら
 ....
母をおくる と
おそらく
わたしの半分が終わる

半分が終わる と
わたしには
守るものがたくさんあって

後戻り
できないことも
また
たくさんあるのを知って

さみしさの ....
消えていく記憶の
映像はやがて
色あせた
一枚の写真になって
避けられない風に
彩りをながしてしまうの


くるくると
回る
地球儀の おと


重ねた手のひらの微熱 ....
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