春焉
umineko

何もかもがかすんでゆく
人も 街も

さくらの艶列が
そこだけ
重ね着みたいに咲き誇る

生きのびる
自信がある者の
惜しげない
笑み

見下ろす川は
あの夏
爛れた皮膚を癒すため
折り重なって死体になった

さくらは
ただいっせいに咲き狂い
また
夏の息吹に生い茂る

繰り返せない者は
どうなる

私は
ぼんやり窓から眺めてる
 
 
 
 



自由詩 春焉 Copyright umineko 2006-04-08 22:53:05
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