漕ぎ出す春、夕日へ
たりぽん(大理 奔)

墓標に刻んだ自分の名前に背を向けて
てのひらはいつまでもとどかないのです
生きることの意味を知らされないこぶしが
硬く握られたその先で照らして

夕日が水平線を越えて旅立つこの場所で
朝日を迎えるには
ふり返らなければならないのですか

  (北をとおるか、南をとおるか)

  知りたいだけ
  ほんとうのことを知りたいだけ

無限に思える鼓動を繰り返して
少しずつ
僕らはどこかにたどり着く
ために
いらだちながら
繰り返すのですよね
くいしばりながら
繰り返すのですよね

風に吹かれる灯火ランプ
舳先へさきに高く掲げて

  ゆらめきにかたちを変え
  ゆらめきにあかるさを変え

折れそうなかいを鼓動にあわせて
小舟を揺らしながらふり返らずに
、渡っていくのですよね

  水面に灯火あかり
  ゆらめかせながら





  
2005-08-30自由詩投稿「ひぐらしの星座」改稿





自由詩 漕ぎ出す春、夕日へ Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-04-07 00:33:58
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