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泥のついた野菜をあらう

専用のちいさなタワシで

指や手がちくちく もやもやするけど
やさしく洗ってあげると
ぬくもりが伝わる

それを
シンプルに料理する

野菜本来の甘さが ....
ふと君と出会ったので
なにを思ったのか
結婚する気になってしまい
程なくして言葉に出してしまい

ふと言葉に出してしまったため
なにを思ったのか
結婚することが現実的に思え
程なくして ....
黄昏時、父に手を引かれて
よく見に行った客車区
そこには、旅立ちの準備に忙しい
夜行列車の群れがひしめき合っていた

ベッドメーキングのシーツとカーテン
灯の点った食堂車、純白のテーブルク ....
頭上には 
世界の全てを覆ってしまう 
曇り空 

足元には 
この世に産声をあげた日の
ひかりの種 

あぁ生きるとは 
{ルビ嘗=かつ}て地上で
夜の{ルビ灯=あかり}の下に揺 ....
夜に私の影はなし
だから今は一人歩きで
星がいるとか 月がみてるとか
そんなことよりも一本の缶コーヒがあたたかい

公園のブランコにはだれも乗っていない

今日という日の後悔を
全部数 ....
君の唇の くれない が
僕の内側を伝い落ちると
日常が育んだなけなしの植物群は
夢見るように朽ちていった

君の爪の くれない が
僕の外側を掻きむしると
日常に着せたつきなみな制服 ....
トンネルを抜けると山だらけ
あなたにとっては突然湧いて出たように見えるだろう
噎せ返るような木々のうなりは
人間の単位で計るのもおこがましいと思えるほど
遥かなる時を生きている

町ですれ ....
心に幾つもの嵐が吹き荒れている。
それらをひとつひとつ宥めすかして
私の1日は終わる。
あるものは丁寧に説明し
あるものはただ過ぎるのを待ち
あるものは無理やり昇華させる。
そうして1日は ....
 
これ、以前に頼まれていた資料です
と小田さんの持ってきたコピーが
湿っている
海に行ってきたんですよ
小田さんは微笑んで
きれいな巻貝をお土産にひとつくれた
去っていく小田さんの髪や ....
日なたを見つめる

芝生が動く

秋のバッタだ

ひらひらするのは

シジミチョウだ

どこかでそれらの

たとえば文集が編まれている

ぼくがここにいなくても

ぼく ....
人はみんな夢から生まれてきたのと
あの子がおかしなことを言い始めたけど
僕は何も言わずにあの子の話を聞き続けて
いつしかあの子の声に包まれてる気分になって
あの子の言うことがぜんぶ本当 ....
 
 
いつも僕の背中を見ていた
祖母がお日さまを見るように
僕の背中を見ていた
僕が祖母のお日さまだなんて気づく必要もなく
その眩しそうにしてる目に気づくこともなく
あるがままに輝いて ....
財布を落として2時間30分
中身が無くなり手元に戻ってきた
もちろんデートは散々で
君の呆れた顔しか覚えていない
スーツは一張羅を着た
クリーニングに出してビシっとキメた
はず ....
光に弱い体質だった、身体がというよりも、精神的な部分で
拒絶反応が出て、カーテンを閉め切った部屋に閉じこもる日々が続いた
わかったつもりの大人がやってきて、何もかもを大衆と社会のせいにして
去っ ....
ただ声を聞きたいだけで
低い唸りが響く胸のトンネルに耳を押し当てたくて
私も彼も裸になったのだと思う
何かしゃべって、と言うと
何をしゃべればいい、なんて聞くから
何だっていいよ、と答えるし ....
うっすらと

冷えた微風にほんのりと

さやかな湿度とキンモクセイ

夜道をスーツは落ちてゆく

まよこを電車が落ちてゆく

ほんのりと

さやかな湿度と焚火のなごり

胸 ....
母の姉が倒れたとかで
今日は父と二人だけだった

いつもと変わらず
朝に放浪の為に家を出る
私にとってこの家は
苦しいだけの場所なのだ
だからと言って
外に安らげる所もなく
時間だけ ....
虫の音だけが響く長い秋夜のしじまに
基次郎の 「檸檬」 を読んで
僕も明日、彼女の机の上に
そっと檸檬を置いてみようかと
画策する 新しい世界を生むために

だいぶすずしいなったなあ
と ....
星よりはやく西へ東へ

飛行機たちの遠い明滅

夜の坂道に外灯がたつ

いくつかの影をまとい

僕は長い坂道をくだる

僕は夜の無生物になる


さびしい、とつぶやいた

 ....
新宿駅連絡通路できれいなひとに呼び止められた
朗らか過ぎる白い歯並びと
しなやか過ぎる姿勢の妖しさと

「あなたがあなたらしく生きているとき人は美しい」

白い歯並びからのぞく跳ねるような ....
何度も君の名を呼んだ
声が出たことは一度もなかった

臍の奥底深くにある樹海
窒息しそうな木々の狭間
羊歯の葉の上に声溜めが転がっている
叫び出しそうになった声はきれいに縁取りされて
そ ....
風が吹いている

青く灰色のピンクの影のなか

夕暮れの香りが運ばれている


いちにちは

誰にかやさしい終わりを告げる

よるに棲息する

わたしは無生物になるでしょう
 ....
あいしてる、
なんていうひとは大抵ろくでもないにんげんだとあたしは思う。

あいしてる、って言うひとほど
なんでかすぐにしんじゃう
毎日毎日オノ・ヨーコとショーン・レノンに
あいし ....
               091017

吉備団子あげます
ください
くれ
おくれ
家来になった顔した侍達が
ぞろぞろ
動物の面を着けて歩いてくるから
ぎびだ〜んごっ
といいな ....
雨上がりの濡れた空気に
しっとり染み込む芳香は
垣根の向こうの金木犀


乾き始めたアスファルトに
規則正しくむちを打つのは
子どもが回す赤いなわとび


吸い込みすぎて重たくなっ ....
影響

少しだけの賞賛が
少しだけの満足が
少しだけの尊敬が
少しだけの裕福が

それが人生の全てだ

と気づくのに人生の大半を費やしてしまった。

少しばかりの賞賛と
少しば ....
天文館通でスナックのあとラーメン、定番だ

芋焼酎は白い

脈絡もないことを思いながら歩いている

麺はのこしておいてよかったな

酔ったからだをホテルまで動かしている


出張 ....
あのときあいつはああ言った

あのときあの男はあたしを笑った

あのときあのひとは助けてくれなかった

あのときやつらは追い詰めた

あの言葉、あの態度、あの時あの時あの時あの時あの時 ....
               091017


コロッケを買う
帰り道の悦楽
見事なほどの
木の根の太さ
あ〜ぁ〜あ〜ぁ〜
赤い車のホースを伸ばす
裏の川から水を汲む
火事だ!
 ....
シャワーが浴びられない
赤の蛇口と青の蛇口を上手に開けないと
熱かったり、冷たかったり
今夜は何べんやってもダメ

シャワーで洗い流したいのに
濡れた髪が心までまとわりついて
上手に蛇口 ....
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