すべてのおすすめ
この街を
この部屋を
この身体を
昏々と
眠らせるのは
夜では無く
淋しさだ
途切れた夏の感触
暑さにのぼせて
不意打ちをくらう
手を伸ばした先に
何があるのか
届かない光が
闇なのかどうかも
揺らぐ想いが
邪魔になる
誤魔化しただけの
答えの
蓋を開けた ....
本当はセリカがよかった
が、人気車には、やはり手が届かなくて
中古車屋のおやじに勧められるまま
同じエンジンだというコロナにした
家に帰ってよく見ると
左のドアが少しへこんでいた
―― ....
畳に敷かれたうすっぺらい布団
聞こえるのはあなたの寝息だけ
あんなに言い争ったのに、あなたはいつの間にか夢のなか
あたしはまだこんなにも悲しいのに
くやしくなってあなたの背中に文句をい ....
夕やけこやけ
身を焦がし染まっているのは
女子高生
夕やけこやけ
鍵っ子寂しくつく家路
夕やけこやけ
セクハラオヤジ
今度やったら訴えてやる
夕やけこやけ
また明日
悲 ....
道にカラスの羽が落ちていた
とても丈夫な羽で
とても美しい黒だった
懐かしい匂いがしたので
部屋に飾ろうと思い
拾ってかえることにした
なあカラスよ
イソップ物語の『おしゃれなカラス ....
雲は薄い水彩画
静まる街の片隅でそれを見上げる
風は止まない
誰かが植えた大きな木の葉が
不規則に踊り続けている
ふいに灰色の鳥が目の前の枝にとまり
世界のニュースを告げる ....
黒猫 道で倒れている
わたしは黒猫 抱き寄せる
黒猫はわたし 抱き寄せる
黒猫 血を吐いている
わたしは黒猫 さすってる
黒猫はわたし さすってる
黒猫 風にじゃれている
わたし ....
真昼の公園で木漏れ陽を浴びて
癒える筈のない悲しみのことを考えていた
ときおり吹き抜ける風はすこし熱を帯びて
客待ち顔のアイスクリーム売りの老婆の
麦藁帽子を踊るように撫でてゆく
....
ずっと前から知っていたね このときが来ること
近づくたびにみんな 知らないふりをした
放課後を知らせる音 オレンジの空の下
アルバムにしまいきれない あたしたちが歩いている
それぞれのレー ....
夜が ひろがり
のばしきった 手のさきに
星をつける
道から はずれたひとが
砂に ぬかずいている
寝起きは、不機嫌
な ぼくなので、
世界の終わりの
ような顔をして、
何もかも、どうでも
よくなっている。
なので、
ぎゅ ぎゅっと 後ろ
から だ きしめて、
さらりと キ ....
僕たちがパズルだったら良いのに
そうしたら擦れ合うことも
痛むことも無いのに
こんなにも寂しがる必要も無いのに
ピッタリ枠に嵌れたなら
そのままずっと 固定されるのに
見えないものを
....
人々から罵倒されても
何度でも立ち上がれる勇気を
この心に投与して
気付けばいつも独りきりで
少し離れた場所から
数人が囁き嘲笑している
僕が醜いから
蒼穹もいつの日か堕ちてくる ....
*
いつまでも、
溶けそうにない
って、 思えてくるの。
この雪の 白い場所で
あなたは ぼくを。
大きな瞳の奥には、
雪の風景、と
ぼくたちが、
マッチングせ ....
靴底が 素足を
さらさらと さらう
通行道路が
分離して 霞む
代わりのいない
名を呼ぶ声
引っ掻いただけでも
抵抗と 呼ぶのならば
青に射す 一赤の線
木漏れ日の ....
ゆれる葉の
一枚が
ためらうように
消 ....
死んだフリして共に戦おう
みんな上に沈んでるし
拾ってもすぐに捨ててしまうものばかり
襲われないように死んだフリ
落ちないように死んだフリ
死んだフリ
生き急ぐ人がいる
死んだフ ....
手を伸ばせば届くと信じていた
あの硝子の向こうに拡がる世界を
この眼で見てみたい
それだけなのに
掌は冷たい硝子に触れて
もうキミが冷笑している
僕の脚には荊が纏わり付いて
ここから ....
私と 貴方の 間にある
この 長く長く 果てしなく長い線は
私が書いた。
絶対不可侵条約
お互いの事には 口を出さない 関らない
それも 私が決めた。
恋人が出来たら
速やかに ....
とうとう動かなくなってしまった
トパーズ色した わたしの鍵
普段持ち歩いているバッグの中で
かさこそ這いまわりながら
わたしの吐き出す
あのひとへの恨みとか辛みとか
どうしようもない思いを ....
そのあと、
乾いたシーツの上に キミがいた。
あかく痛んだ髪が つかの間に そよぐ
涙さえ、冷えた笑い
すぎてゆく からだの 華奢な線。
――ほかに好きな人ができたの
そんな君たち ....
水底に置かれて
屈折した空を見上げては
ただの黒い点となって
あぶくを吐きつづける私は
その蒼に抱かれながら
浄化という名のもとに
この躰を満たしながら
還りましょう 雨に
....
真夜中の台所
コップに水を湛えて
ビィ玉をひとつ
覗き込めば世界が歪む
逆さまの僕
蛇口を緩く締めたせいで
だらしなく滴る水道水
ハァプが奏でるメロディが
よく似た音が僕の耳を
....
にわか雨は窓ガラスを叩く激しさで
海辺の汐臭さをわたしの部屋まで連れて来た
波音のひたひた寄せるテーブルで
いつか拾った貝殻の擦れる音色がする
ハンガーにかけたわたしの白いブラウス
温もりの ....
白く続く世界
腕を伸ばせば掴める
それはいつかの僕の夢
壊れかかった生命
いつからだろう
僕の心には誰かが棲みついて
気付けば見えない糸で
操られた抜け殻
鏡の向こうに映るのは
....
賢い犬はご主人様を
よく見ている
黙って様子をうかがう
じっと動かずにいる
雨の日も晴れの日も
動かずに待っている
仕事をきちんと果たす。
泥棒が来たら吠える。
でも遊んでいい ....
彼が書いたように
電燈が消えたのは
彼女が眠ったしるし
地震が揺るだけじゃなく
何かが起こるかもしれない
だから
起きて そっと
冷たい月じゃなく
あたしは流れ星と 話し
念いを託そ ....
夜に、わたしは
はしたないほど口を開けますから
どうぞそこから私の中に
入っておいでなさい
内側から私を喰い尽くして
やがて空洞になった私の躰は
それでもまだぬるま湯ほ ....
大切で 大切で 大切すぎて
毎日肌身離さず持っていた 僕の宝物が 今日 音を立てて 壊れた。
自分の不注意で 壊してしまったんだ。
それは 分かってるよ。
壊れたものは 二度と戻らない ....
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