AKiHiCo

白く続く世界
腕を伸ばせば掴める
それはいつかの僕の夢
壊れかかった生命

いつからだろう
僕の心には誰かが棲みついて
気付けば見えない糸で
操られた抜け殻
鏡の向こうに映るのは
僕の姿をした誰か
逆さまに廻り始める時計

時間は戻されて
あの日の僕が鏡の向こうで
静かに微笑する
無邪気な瞳で無垢な口許
もうあの頃には戻れない
いくら鏡の見せた幻影に惑わされても

幾つもも夢を握りしめていたはずの
この掌はいつの間には何もなくて
見上げれば悲しみだけが白
許せない言葉を浴びせ続けたあの人も
今は無機質な白い滓

僕はどこに立っているのか
時計はどちらに廻っているのか
掌を鏡に合わせると
キミも同じ位置で僕と掌を重ねる
とても冷たい


自由詩Copyright AKiHiCo 2006-05-26 21:43:24
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