instrumental myself
むらさき

あたしを弾いて頂戴
この暗闇の中で
その人差し指で
マリオネットみたいに
あちら こちら
自由自在

あたしの体は鳴り続ける
それはまるで
海の底に響くピアノ
魚がサンゴから起きてきて
あたしの足首で
踊りはじめる

ああ
無色透明な空の下
☆が眠る土曜日の夜は
あたしはいつだって
お気に入りの楽器
初めてのギターと
仲良く並ぶ

あなたの部屋の
ランプのそばで
あたしの影が
飛び立とうとしてる
あら お嬢さん
どこへいくのですか
宇宙だったらあたしも
連れて行って頂戴

満月の光の下
あなたはゆっくりと
腰のうねりを歩いてく
鼻歌なんて歌いながら
それは 行くあてのない
永遠のたび

疲れたならぜひ
おへそのあたりで
広がっている
深くて青い湖で
ちょっと一休み
していきませんか
そこは快楽という
名前のオアシス

光と影の山脈を
あなたは静かに歩んでいく
あたしがあげる
猫のような声は
あなたの耳元を
優しくなでる

ふわふわと渦を巻く
その風の色は
春夏秋冬 ずっと
むらさき

あなたが一流の
演奏家だから
あたしは最高の
楽器になってく

演奏時間は
エンドレス

観客のいない
広い舞台で

オーケストラボックスには
あたしだけで

あなたは白い棒を
振りつづける


自由詩 instrumental myself Copyright むらさき 2006-07-11 02:31:31
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