台所で人形を洗っていると
まだ生きた人しか洗ったことがないのに
自分の死体を洗っている気がして
かわいそうな感じがしました
列車が到着したので
あまり混んではいなかったけれど
 ....
地球最後の日の朝は穏やかに明けた。
夜の濃い青を朝日が少しずつ薄める。
初めに歌いだしたのは小鳥たち。
それからカラスが騒がしく、鳩がせわしなく鳴いた。
僕は空を、公園の欅の木々の間から眺めて ....
         080601




広辞苑を投げ捨てる
コウジエン
麹黴の生えた御飯を
お酒にするのだと
強調するので
御飯はお箸で頂くのです
手づかみは余 ....
けれども胸は 青く傾斜してゆく 怯える意識には
透明なふりをする思惟が 蔓草のようにからみつく
窓の外では 涙のように 果実の落下がとめどなく
そのさらに遠く 地平の丘の上では 二つの白い塔が
 ....
片手くらいの
かわいい顔した手帖があって
女の子のような
詩がたくさん書き連ねていた
僕には
春の風を思わせる旋律が聞こえ
夏の陽気さを感じる水彩画でもあり
ちいさな言葉たちだが
海原 ....
悲しくなんかない

悲しくなんかない

辛いわけじゃない

辛いわけじゃない

楽しかったよ

ウキウキしたよ

シンクロできたよ

×××××
という障害物をどかし ....
一。

 傘を閉じるとひたひたと雨がついてきた。玄関を上がり廊下を渡りそのままひたひたと、家に居ついてしまった、雨は客間ではなく居間に居座りとくとくと、淹れた紅茶を ....
おそらく灰色の 町外れの停留場は
傘の上のダンスの 懐かしい音がするので
目玉の星が キラキラ光ってしまう

セルロイドは酸性雨に弱く
ネジ式の動力で
スキップをしながら溶けそうにしてい ....
昨日は 気が向いて キッチン周りを掃除した
掃除したら掃除用具が切れてしまった
気が向く のと暇とありあまる掃除用具が重なるのは
次はいつだろう
いつも暇なのに

この前の日に何をしていた ....
シロツメグサで
首飾りと花束をつくり
ぼくたちは結婚した


わたしの秘密を
あなたにだけ教えてあげる
と花嫁は言った
唇よりも軟らかい
小さく閉じられた秘密があった
シロツメグサ ....
携帯電話から母が出てきて
べつになんでもないんだけどさ、と
なんでもないことをしゃべり始めた
この「なんでもないこと」というのは
父が発明家になってしまって
サラリーマンのほうが都合が良いの ....
さあいよいよ
螢の季節が近づいて
探し始めるのです
はかなく綺麗なものを
風景に重ねたいと
螢を狩る人が
暗闇にうごめくのです

もうそっとしておきませんか
いのちの営みの輝きは
 ....
人格のスーパーマーケットにて
宇宙の漬物を買う
星と星とが交際している
水生のマクドナルド
切っても切ってもくっつく血液
ピクルス硬貨でお支払い
学校の墜落を授業参観
騒ぐな貴金属ども
 ....
かあさんに あかりをあげたい

めくらになってしまう かあさんに

あかりが そこにあるかないか だけは しっている

盲人になってしまう かあさんに



わたしは
 ....
泣きはらした様な空が
広がり
あたしのうちまたを
細い暖かい体液がまたながれて
玄関の先の土を濡らしてる
うすぎたない腕を
切れそうな糸のように伸ばし
母が若い稲のようにふさふさとゆれ
 ....
 祖母は絵に描いたような大阪人でした。商売が大好きで、勝気で、たまに口が悪くて、酒屋でしたからものすごく酒には強くて、花は大ぶりの派手なものが好きで、ついでにヒョウ柄も大好きで・・・そんな人でした .... 「別れる日は決めてあるんです」
あどけない顔をして
サラッと彼女は言う
離別の餞まで手に入れた
お人形のような瞳には
背景の妻子の温度は伝わらない
サーモスタットはいつ壊れるかわからないの ....
胸のいたみに身をまかせ

予感のまえで肘をさすった

空がこどくを叫んでいる

あたらしい緑が燃えている

だっくだっくと坂を下る

つないでいるのは骨だった


 春にむか ....
世の中には支えるひとと
支えられるひとがいる

支えるひとは暗い海に胸元まで浸かり
力の限り支え続け

次々と押し寄せる荒波に揉まれては
やがて力尽き海の藻屑と消える

支え続ければ ....
 
ベランダの浮輪に
バッタがつかまってる
夏、海水浴に
行きそびれて

書記官は窓を開ける
木々の梢の近く
監査請求書が何かの水分で
少し湿っている

白墨の匂いを残して
物 ....
ひどく深い山奥に
その百貨店は建っていた
百貨店といっても実際にはよろずやで
それでも、食料品から最新のテレビまで
なんでも売っているのだ

ダムが出来ると
集落のすぐしたまで水面になる ....
しゃりしゃり 音をたてて
ぼくらの素足は歩いてゆくから
つま先で輪を描いた。

どこからか流れ着いた
すかすかの
流木の端っこ「のぞいてごらん?」って
言うから 見てみたら
 ....
夢をみた

影のない夢

脈絡もなく

断片ばかり

夢の最後は

あさっての新聞を手にして

冷や汗をかいている自分

不安な焦燥に身を焦がして

紙面に目をやると ....
母が心を病んでいると医師に言われてからはや5年が過ぎようとしています。
その1年ほど前から軽うつと診断されて、薬を飲んでいたのですが、どうもこれは「アダルトチルドレン」とか「中年危機」の症状が強いと ....
机の上に取り残された食器が
うらめしそうな目でこっちを見ている
脂っぽい食べ物でも入ってたんだろう
白く黄ばんだ何かがこびりついて
誰かの吸殻が取り残されている
あのロゴはあのストライプは
 ....
強い風が
いろんなガラクタを
吹き飛ばして残ったのは
からっぽの青空

どこまでも視線を
深く高く運んで行けそうな
純粋な空色をたたえた
からっぽの空

からっぽの空から
吹き下 ....
好きとか嫌いとか
そのような感情と同じ速度で
五月の空はわたしのこころを蝕んでゆく

そして陽射しに揺れる葉桜が
散り行く先など知る縁も無いように
他者への憎しみを
こころの襞奥に抱え込 ....
二番地の内田さん    前田ふむふむ

白いあごひげをはやして、美味しそうに、キリマンジェロを飲む、二番地の内田さんと呼ばれている、この老人は、若い人と話をすることが、何よりも好きだ。よく、真面目 ....
街なかで白い小鳥を配っていた
籠に入ったたくさんの小鳥を
小鳥配りの人が要領良く配っていく
受け取らないつもりでいたのに
いざ目の前に出されると受け取ってしまう
わたしが手に取ると
それは ....
小さな まぁるい
金魚鉢の形した器
浮かぶあなたはビー玉
ぷかぷかくるりん
今にも融けそうだ ねぇ あなた
助けられないの
 あなたはすっぽりはまっていて
金魚鉢を独り占めするあなた
 ....
大村 浩一さんのおすすめリスト(1993)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
笹舟- たもつ自由詩16*08-6-2
海面上昇4- rabbitfighte ...自由詩9*08-6-2
強い- あおば自由詩7*08-6-2
月のない夜- 塔野夏子自由詩20*08-6-1
ちいさな手帖- 乱太郎自由詩25*08-6-1
希死念慮- You自由詩3*08-6-1
「_ひたひた。_」- PULL.自由詩7*08-5-31
雨宿り- 西日 茜自由詩18*08-5-31
ちいさな器- よしおか ...自由詩3*08-5-30
シロツメグサ- yo-yo自由詩26*08-5-30
母の声が鼓膜に残った話- 小原あき自由詩16*08-5-29
螢棲む暗闇に- たりぽん ...自由詩8*08-5-28
help_I_need- 葉leaf自由詩608-5-28
不自由な健常者- るるりら自由詩9*08-5-27
スローターハウス7- モリマサ ...自由詩2508-5-27
ただ捨てられるだけの日記- Rin.散文(批評 ...32*08-5-27
ドライフルーツ- 渡 ひろ ...自由詩20*08-5-26
バベル- 吉岡ペペ ...自由詩808-5-26
支えるひと- 恋月 ぴ ...自由詩28*08-5-25
あさっての新聞- たもつ自由詩15*08-5-25
あのポスト_(_2008_)- たりぽん ...自由詩18*08-5-24
らくがき- ひより自由詩11*08-5-24
あさっての新聞- ジム・プ ...自由詩7*08-5-24
わからないことだらけ.- ふるる散文(批評 ...26*08-5-23
創書日和「器」- 虹村 凌自由詩2*08-5-21
青空- kauz ...自由詩9*08-5-19
五月のひと- 恋月 ぴ ...自由詩34*08-5-19
二番地の内田さん—デッサン- 前田ふむ ...自由詩21*08-5-18
できごと- 小原あき自由詩34*08-5-17
創書日和「器」_金魚鉢- そらの  ...自由詩5*08-5-17

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