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すうっと細く、立っている
南天の赤い実たちの中に
一人 空のお日様を
小さく映すものがいた
かわいいね
っていうと、風にゆれ
緑の葉たちも、風にゆれ
ひそやかに舞う
互いのここ ....
遅かれ早かれ
向き合わなければならなかったのだろう
当事者ではないのに
緊張で心臓がどうにかなってしまいそう
光と闇が
階下で
息を潜めるような静かな声で
これまでの
鬱 ....
私があなたに話しているのを、そこから見ているあなたがいて、
私が私自身に話しているのを、どこかで見ている言葉がいた。
あなたに向けたつもりの言葉も、結局は自分自身に向けられていたのかもしれない ....
君はその身体に
神話と寓話とを
ありったけ詰め込んで
旅立つよりほかなかった
君が旅するほどに
君の身体の中でそれらが育つので
君はいつも張り裂けそうだ
君の身体から
抑えきれず放たれ ....
このまっすぐな夜の向こうに
蝶の朝がある
こまかな傷の大小に値札をつける
この波を営みと受け入れられず
はねのないものは歩き、
足のないものは泳ぎ、
背びれのないものは飛び、
....
空は灰色、
街行く私の背は屈み
あてどなくさ迷いながら
灰色空から雨、ポツリ
ポツリポツリと降って来て
視界はかすみ歩は鈍り
(今ごろ森では紫陽花の
青白く光る群落が
ゆらんゆらん ....
自分の住んでいる街の全てを
知っているわけではない
街歩きして
良い店に出逢ったり
懐かしい同級生に逢ったり
懐かしさばかり
目につくけれど
街は年々変化している
新たな発 ....
少年と少女
青年と恋人
おじちゃんとおばちゃん
今
世界のいたる場所から聴こえる
くちづけの音に
....
そこから見れば
快晴にしか見えないのだろうが
ここから見れば
ひとしきり土砂降りのような悪夢
手渡しておくべきだった
吹き荒れる直後の懺悔も
ほどなく形式的な表層に漂着
代案 ....
あなたを愛した瞬間に
なにかが変わる
音がした
淀みやしない想い抱き
眠れぬ夜を
愛のせいにして
このまま私を離さずに
一秒たりとも
全てのドアを開け放して
あなたが ....
わたしはわたしであることに倦んでしまい
イートインにてアイスコーヒーを啜る
磨りガラスの向こうを過ぎていく人人人
彼らは何処に行くのだろう
わたしのあずかり知らぬところ
それぞれがそれぞれの ....
夜ごと枕カバーに涙をすりつける
外はトラックが跳ね回っている
家が小さなビートを刻む
わたしがわたしである重み
まるでゾウに踏みつけられてるよう……!
こんなものを背負って歩いてると、肩 ....
僕の日本地図はけっこうゆがんでいる
大陸文化を隔てた極東の地理的条件
喪失するすべもうしなわれた子守歌
僕の世界地図はききなれない地名でみたされ
国際情勢は新聞の活字とTVのアナウンス
....
その灯りが灯ることの全てがわたしの全てで、公園に腰かけたり、元気そうな集団を避けて歩いたり、目と耳と鼻と口と手と生き物と複数の壁、この部屋での暮らしが綺麗な明るさになれない。
マンションの知らな ....
テレビを見ていて知った
今人気のある観光地
行ってみたくなり
色々インターネットで調べて
泊まる旅館を決めた
都会暮らしの疲れは
田舎の環境に身を置けば消える
ネットだけでは ....
ひもじいからケーキを食べるよ
いちもんもないから
エアだけど
イケるもんだね
さびしいから
孤独を売るよ
孤独さえもなくなれば
こっちのもんだね
寒い夜は落ち葉を
抱いて ....
振り向くまで吸って吐くまで行き過ぎるまでこぼれ落ちるまで何本の指がいくつもの「あ」の音の形をした口が消え去ったか。息と思考はきれぎれで今にも崩れ落ちそうで堕ちないと知っていたきみは誰よりもずるかった。 ....
「もうこんな時間」とは
やることのない人の台詞ではない
それでも流れるものは流れる
誰も私に期待してないから
近所のレトリーバーにお願いして
遊んでもらっていたのだ
やることがないのは ....
音の滴、斑点となって飛び跳ね
郷愁、遠い深みから到来する
胸掴む憧れ、未知から溢れ出し
遡行する魂、源頭の水流を浴びる
振動する大地 、脈打つ心臓
終わることのない命
終 ....
なんらかの収束あるいは
静かな夜の変拍子
子供達は混沌の外縁でガラス玉と戯れ
老人はじぶんの黒檀の棺を磨き上げる
トロル達は住みなれた谷をはなれ
いつか丘をこえて緑の祭壇にたどり着く ....
胸にぽっかり
月が出た
キミね、さっきから云ってることが
酸味が効いて、さっぱりだ
そうか、だからうっかり
思い出しちゃったんだな
俺の名前を知ってるか?
俺の名前はヤクの犬ってんだ
危険な名前だろ?
正直に言えよ
けど俺は
案外気に入ってるんだ
暗い名前だと
お前は思うか?
そうだよな
俺も一人孤独な夜は
....
君が死ぬとき
流す言葉を集めて
冷たいコップの中で
氷に溶けるのを見ていたい
季節が変わる頃ってのは
何もかもが不安定だ
雨の温度や風の強さ
気に食わないものばかりさ
君が死ぬ ....
広い庭の一角を使って
家庭菜園を始めた
わからないことが多い
近所の知り合いが農家なので
聞いたりネットで調べたり
家庭菜園を始めて
身体に元気が湧いてくる
やり始めると
....
艱難辛苦
代償
無為
とにかく
ナックルボールが投げたかった
そんな子供だった
ナックルボールというのは
縫い目がみえるほどに回転をおさえた球種のことで
不可思議な軌道を描き打者を翻弄する
意味もなく
無闇に ....
時計が今日も鳴いていた
皮膚がざわついて眠りに眠れず
痒い皮膚を引っ掻きながら
指のさかくれを食い潰し
目覚めたam5:09
「お元気ですか?」
そんなこともいう暇もなく
ただ針だけ ....
白鯨ゆく遥かな青天を
僕もゆけたなら
四肢の折り目を開き
やっと、やっとの夏の日を
僕もゆけたなら
平泳ぎの一掻き、一蹴り
果てしなく自由に
生まれたまま ....
{引用=二人の旅行}
迷い込んだ蝶が鍵盤にとまった
ゆっくり開いて
ゆっくり閉じて
あなたは水へと変わり
音楽は彫像となって影を落とす
わたしは感覚と記憶
去るものと共に流れていった
....
あのこは
よいこ
あのこがよいこで無かったら
よかったのにな
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