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海が
ちいさないびきをかきながら
かぜにふかれている
いるかが
とおいきおくを
うたっている
ゆったりと
こすもすがまわり
ぼくらはやがて
かぜになる
ビーチサンダルのペタつく音にアスファルト、ひとり。光るのは蛍光灯と蛍光灯とそのまた右の蛍光灯と増える増える増える、倍々に膨れ上がる音響のように目をすぼめれば「ほらほら丸くないよ」と跳 ....
加減乗除の果て。
らくだのコブには
梅酒が満ち満ちていた。
こんな風に突然ストン
と哀しくなってしまうのは
多分どこにも絶対
が見当たらないせいだろう
地上4階の
薄暗い床の上に立ち込めた
寝起きの孤独に
僕は{ルビ噎=む}せた
母方の父は
南方戦線の
密林にいたそうな
ぼくはまだ行ったことのない
亜細亜の
異国
木の香り
空気に含まれる水
そして
祖父の流した血のにおい
今はかんじられないこと ....
草原の秘密基地
今はもう影だけで
虫取り網を振り下ろす
残像が目に焼きついた
夕暮れの蝉時雨を
いつまでもそこで聞いていたっけ
通りすがりの車窓から指差した
この草原は僕なん ....
そばを
とおると
あぶないよ
いま
からだじゅうの
ネジがとれそうなんだ
おっと
ほらほら
そんなこと
いいだした
いまでさえ
ぽろり からり
おとしそうに
....
ゆら
ゆら 男が現れ くしゃみする
丸くなる背中 男 ひとり
ゆら ネクタイが 飛ぶ
男 引き上げられる 皮靴
会社へ 行きたくないと
取り払う 背広 ゆら 名刺
雲雀の羽 離れ ....
子供料理番組に出演。
ロケ、AM10:00。
応援多数。
放映、PM6:00。
ギャラリー満載。
「好きな野球選手は誰ですか?」
「うえはらです。」
「うえはら選手のどんなと ....
とってん
からから
ちまたを
ゆく
とけいと
ぼくの
とってん
からから
ときを
きざむ
ほうそくは
ちょこっと
そくどが
ちがう
ふと
みぎどなり
す ....
夏の時計が
連れてくる
風の羽ばたき
夢のさえずり
僕は時計に
ぶらさがり
くらりくらりと
遊びます
俺は兎を探している。
寝坊したので言い訳を考えながら道を歩いた
今頃はたぶん3校時目の途中だろう
肩かけ鞄の中で筆箱がガタゴト、ガタゴトと
何かが足に触れ
振り向くと ....
強く握ってくびれた部分
思い出せない自分を思い出す
と それだけになってしまう
肩の後ろが持ち上がる
ペダルを漕いでまっすぐになる
間に合わない僕の目は何も持てず
少し余計に歩いてから ....
トン、と降り立ち
やや振り返ると
縁側に腰掛けた私は小さく笑っている
あ、その儘で
軒下で傘が鳴る音
誰か、いたのだろうか、
少女の死はあまりに退屈で ....
ぼくの
きもちが
がやがや
かいぎを
くりひろげて
おしもんどう
したって
へやの
そとの
よるは
むしのこえと
ほしのひかりと
ゆめへ
たびに
でているものの
....
君のおっきい手、好き
好きだった
好きだった君の
好きだったものたちは
またきっと
誰かが好きになる
でも、たぶん
私の好きが一番おっきかった
君のしらないこと ....
▲
そして
どこまでも
群青の闇を往く
魚のあとを追い
かつての白い肌は
鈍く焼けてしまった
水の角を曲がり
更に水を下る
....
ほしいほしいほしい。
ぜんぶぜんぶほしい。
なにもかもてにいれたいのは、
わがままじゃなくほんのう。
ほしいほしいほしい。
ぜんぶぜんぶほしい。
なにもてばなしたくないのは、
しゅう ....
ひろい
のはらいちめんに
ふりつもった
ゆきが
キラキラキラキラ
すんだ
あかいひかりを
はなちだすと
うまれたばかりの
あのこが
ぽつんと
そこにたっていた
やさしく
すな ....
壊れてしまった
ふとんばさみが
とりのような
弧を描いている。
夏のベランダ
軒下で猫が鳴いた日
街は雨だった
雑音が混じる電話の
聞き取れない君の声
こんな日が原因かもしれない
街に
傘を持って
ついでに長靴も用意した
ばらばらに音が降ってくるので
軒下 ....
28から7を引いたら残りはいくつになりますか
答えは0です
私は除かれた7だったから
+
ことがそろそろ長くなってきたので
座ぶとんを引いてパチンと切った
ことは勢 ....
スクランブル交差点
にて
青信号を
待って{ルビ居=お}りました
賑やかに話す
女子学生の群れ
が 居りました
自転車に{ルビ跨=またが}り
先を急ぐ様な若い男 ....
108号室のスガワラさんは
ボンノーのかたまりのようなひとです。
っていっても子ボンノーですけど。
今日もまたカベごしに
「たかい、たかーい」
ってきこえてきます。
「たか ....
海からは程遠いこの部屋で
僕はパン生地をこねる
できるかぎり薄くひらたくのばす
それを焼くための釜がないこの部屋で
彼方の水面
君は手をかざしていた
何が見える?
「何も ....
泣くのが
難しいときは
笑うのも
難しいとき
ちゃんと
泣けるときは
ちゃんと
泣いとこ
月にテープを送ろう
これが僕の声だよ
誰かに似てると思うかい
風の速度も知らないし
今日も素面で歌ってる
虫に答えは譲ろう
僕は分からなくていい
悟りは空に任そう
....
守られないことを知りながら
またひとつ約束をする
もう切る指をなくしてしまったらしいので
嘘つきなのは僕のほうだよ
と
嘘をつく
今日はしゃがみ込んだ君の足もと ....
路上の車の窓ガラスを
ツバメの低空飛行が横切る
それを見ないふりをして
7月はやってくる。
その間にもわたしは
あなたのことを見ている
アジサイの花びらで
四つ葉を作ってよ。
....
窓枠から漏れている気持ちを
ガムテープで目張りする
それで安心かというと
そうでもないらしい
困ったな
僕はそれ以上のすべを知らない
進みようのないことを
あれこれと堂堂巡り ....
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