すべてのおすすめ
僕らがあの不確かな情景をそれと呼んでいた頃には
まだ君は躓かない足と目線で
確認済みの経路を泳いでいた
風をよけるような手付きで
あの足跡から
十五番目の通路の奥で
黄色い花が咲い ....
あなたはひとではない
あなたにはかたちはない
あなたはどこにでもいて
あなたはどこにもいない
あなたはいるけどいない
あなたはいないけどいる
あならからとおくはなれて
わたしはひどくさみ ....
シャツにアイロンをかけていた女は
突然の事態に吃驚している
ドラマチックに 目の前に 立っていたのが
髭の 生えてる コロンビア人で
彼は ナイフを ぺろりと舐めながら
金を要求してきたのだ ....
いつからか
いつだって
夕暮れにはどうしたって寒さを感じてしまうので
羽織るものを探して
溶けるようにして逃げ込む家並み
指先の冷たさで、触れると
いつだって君は飛び上がって
降りて ....
〜 〜 〜
〜 〜 〜
〜 〜 〜 ....
頬に刻まれた皺、真っ黒な白髪染、おそらくは更年期障害後半、で態度も言動も女であることが、いや人間であることも微妙に疑わしい女占い師がとつとつと、スタジオのギャラリーに、カメラの向こうのお茶の間の人々に ....
私は間違いなく私で
私があなたでないことは確かなこと
私はあなたが間違っていても
何にも意見なんかしないでしょう
外は
今日は雨です
雨は
私が求めたのでもなければ
ましてや
私 ....
ものほしざおに
おばあちゃんがおふとんをほしてくれた
ぺしぺし ぺし
いきおいよくたたいていると
だめだよーおって
おばあちゃんは
ひょうめんをぱたぱたはらった
でも だって
こん ....
いい加減教えて下さい、おかあさん
わたしは本当にあなたから生まれてきたのでしょうか?
わたしは本当にあなたとおとうさんの子供なのでしょうか?
いい加減本当のことを言って下さい、おかあさん ....
それは どこですか
滑り込むような夕凪ですか
平坦な気持ちを
乗り継ぐようにして目覚める朝には
透明なコーヒーの
一番底にある苦味を
噛み締めるようにして始まりになる
遠くない窓 ....
「缶ビール飲みながら
つけっぱなしの深夜番組を
BGM代わりに読む
免疫学入門」
「ねぇ読んで
読んでほしいの
あなたに
免疫学入門」
「病院のベッドで
吐いて ....
もちろん玄関は話はしない 耳がないというのは別だが
セールスマンと犯罪者をごっちゃにしたてる女の
手には 誰かが描いた オモチャの指揮棒が握られている
彼女がそれをふるえば 世界は一斉に晩餐を ....
なぞる
ことしかできないんじゃないかな
あなたの窪みに合わせて
指先でゆっくりと
なぞる
あなたの言葉の輪郭を
胸の中の悲しみを
胃の腑を
なぞる
すると
何かが
うつってくる
....
浅い眠りから目覚めると
滑走路で
ビデオデッキは燃えていて
ビデオテープの挿入口から
火炎放射器みたいに炎を噴き出している
燃えるビデオデッキ
燃え上がるビデオデッキ
こんなにカッコいい ....
なに?デカよ
「眠れないし便秘」
ナイス ナイスな憂鬱さ加減だ
オマエはいつだって面白い
オー おまけに目の焦点が合ってないぞ
そしてここはスクランブル交差点だ
斜め横断OKだ
....
おっさんのニオイを嫌がるのは女の子だけじゃない
オレだって嫌だ
終電でおっさん三人に囲まれた (マエちゃんが寂しがり過ぎるせいだ 今生の別れじゃないっつーの ☆コンチキショウ☆)
かなり強烈だ
....
ふけよふけ風よふけふらふらとふらつきなが
ら歩く背中を笑うように風よふけふきげんな
女のみにすかあとをひるがえしふせいみゃく
にくるしむ老人ののこりすくない頭髪をおび
やかしふるいぺえじをめく ....
おまえの右の手のひらには小さなほくろがある
小指の根元のふくらみのちょうど麓のあたりにある
おまえの手には悲しみが五つ
行き場のない方向へ伸びていて
細い消え入りそうな悲しみで
おまえは僕の ....
きらめく
というのは
煌く
と書くらしい
煌くといわれても
どうにも
煙い
くらいにしか見えないんです私には
あるいは
火皇く
どこかの
国の王様が
焚き火遊びの
退屈な ....
捨てられて歩く午後
日陰のない歩道には
誰かが乗り捨てた自転車が
撃ち殺された牡鹿のように
無残に横たわっていて
捨てられたおれと
捨てられた自転車を結ぶ
透明な線の上を
巧みに跨いで ....
空のなかにひとりいる
ひとりいて 少し笑っている
笑っているがひとりきり
空のなかで 笑っている
空のなかにひとりいる
ひとりのために 少し笑っている
涙がでるほど笑っているが
それ ....
わたしは大きな空を飛ぶ
見えているものは何も無くもしもぶつかれば死ぬ
背の高い草は鋭い葉先を持ちわたしの肉を突き刺す
この程度では死なないけどまもなく卵がわたしの胎内で増殖するから
うええええ ....
おはよう
で、今日も誰かが溶けていく
それでも、空を見上げることを止められなくて
いつの間にか、あちこち穴だらけになっている
使い古しの気持ちを手紙に残して
あなたもすっかりと溶けて ....
春になれば
全てがやさしく物音をたてる
物音は
ところどころにできた透き間を埋める
わたしは幾度となく
春の傾斜に耳を傾けてきた
わたしの骨は
せせらぎで作られている
ころがり ....
始まりの声に耳をすませば
それは静かでも力強いことに気づく
あなたは
不確かな未来を希望にからめて
堅く結んだ約束を口ずさむ
こぼれたいくつかは落下して砕け散っても
受け止めたいく ....
季節の名を呼ぶな。白紙のような、はじまりのような、実際にはでたらめの
地誌。そんな緯度にバビロンは無いぞ。想像上の怪物、あなた。私はすぐに忘
れてしまう、砂粒のようで、出かけようとしている、広が ....
僕の心配は
むしろその力強い握手
何を込めて
支えるつもりがバカを繰り返す
遺伝子プール揺蕩う
オリジナルじゃない僕ら
サブリミナルなジャマイカンで
これじゃイカンと空元気
....
アンタが好きだ
沈丁花の匂いの帰り道で
キャラメルの空き箱拾って
情けない顔して帰ってくる
アンタが好きだ
ウルフカットの茶色い毛先
退屈そうに指先で玩ぶ
アンタが好きだ
色エンピツい ....
さわれそうなほどの青、空
心音の近くで
水の流れる音がしている
少し、痛い
大気圏の底辺で沸騰している僕ら
水を注いでみると、遮断機が下りて
通過していく何かがある
夕暮れに ....
いつも
あたしが
気持ちよくなりはじめる頃に
ママ
ってつぶやく
瞳
いいこ
いいこ
いいこ
いいこ
瞳の奥に
夏の空が晴れるころ
そこにようやく
あたし ....
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