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スキップする/スキップして笑い/唄う
遠ざかってしまった青い空も雲の上には
きっと、まだ残っているのだろう
目に見えないからと諦めてしまうのは
いけないことではないのでしょうか
背伸びした位 ....
その記録に関して
僕の記憶の倉庫には
僅かな記述でくくられた薄っぺらな本が一冊しかありません
でも、その本を開く度に
痛くて堪らないと
僕の中の良心が泣き叫ぶのです
痛くて、痛くて堪らないの ....
カラカラに乾いておりました、
何もかもが強い陽射しに溶けて色を失い、
ただ真っ白に輝いておりました
遠くから観る僕は
映画館の銀幕よりも、いっとう大きな銀幕の一番前に立って、眺めているよう ....
常夏の大地に降り積もる灰色の雪
灼熱の陽射しにも溶けもせずに降り積もって行く
見慣れた紺碧の風景を蝕む大きなキノコ雲を見上げる子供達
溶けない雪を掌に掬い取り何やら呟く年寄り達
楽園の午後/ ....
八月の桟橋の上から夏を覗き込めば
青い空にはキラキラ、ゆらゆらと、
白い雲にはもこもこ、ムックリと、
緑の木々の枝葉にはニョキニョキ、ほんわかと季節の欠片達
そこらじゅうに浮かび上がり、
そこはか ....
1
僕の背中に飛び付くのは止めて下さい
爪痕が残ると彼女が誤解しますので
2
網戸の天辺を目指して登るのは止めなさい
其処に網戸があるからなんて言わないだろうけど
3
喉が渇いている訳で ....
何処までも続く涯の無い青空の下に/
何処までも続く涯の無い青空の下に埋もれたまま
彼は独りぼっちで数と戯れていた
無数に飛び交う数字と記号を捕まえては空白を埋めて行き
それが正しいかどうかを確か ....
友人のS氏は寿司屋の店長さんで
毎日、寿司を食べている
メル友のAちゃんに、その話をしたら
羨ましいなあ、寿司なんか年に一度か二度食べに行く位だもん
私もそこで働きたいと仰る、
確かに寿司なんて、 ....
愛だ、自由だ、平和だと叫び続ける君の
其の歪んだ笑顔が堪らなく不気味だと感じ始めたのは
僕が病院へ通い始めた頃のことでした。
ミサイルをロケットだと主張して止まない北の国では、腹いっぱいになっても ....
一つ夜を越えたなら
また新しい夜が其処にいて
また一つ越えて行かねばならず
繰り返し
繰り返し
夜を越えて行く内に
新しい年を迎え
それでも新たな夜はやって来て
満たされず
満たし切れない
埋め ....
煙草の煙で出来た雲が蛍光灯の太陽を目指して昇って行く
それを見つめるお前さんの瞳には
瑠璃色の右と
金色の左とに
それぞれの空が宿り
色違い、二色のビー玉のレンズがころころと回り出す
小さな君の ....
*1
宛先の無い便りがポストを探して彷徨っている
剥がれたかけた切手の刻印は遠い町の名が記されている
色褪せた封筒は数え切れない程の皺と手垢にまみれている
同封された写真には笑顔が二つ並んで ....
*
季節の隅に置き去りにされた白い砂に刻んだ足跡が
風に運ばれて遠く旅立つ
情熱だけが高く舞い上がり青い空の藍に溶け込んで行く
白い雲の切れ間に漂う残像は
光の露となり
沸き立つ夏に飲まれてし ....
寂れた港町に居る
風が唸りを上げて
右の窓から
左の窓へと
飛び込んで来ては抜けて行く
部屋には何も無くて
退屈さえも無くて
何もない部屋の隅っこには無気力だけが転がっている
みんな、風が運んでし ....
65億分の1の君へのたった1つの贈り物
2人の間に1000の挿話が出来上がったら、
抱え切れない花束と手作りの指輪を添えて
一枚の誓約書を渡しに行こう
10000を遥かに越える新たな挿話を ....
真夜中/街灯/無人駅/アスファルトに咲いた白い花
煙草/缶ビール/読みかけの本/錆びて褪せた古い看板
波止場/大観覧車/真っ赤な郵便ポスト
朽ちて行く町/崩れて行く遠い影/消えてしまった風情 ....
君は交差点の角に座り込んだまま膝を抱えて石になる/呼吸する石の塊となる
行き交う人の波を見送りながら立ち止まらない世界を眺めている
思考だけで生きている君/無表情な哲学者
其処だけが別世界 ....
海面を泳ぐ光の青を捕まえようとして手を伸ばしてみる
伸ばしても
伸ばしても
届かない両手をばたつかせて
それでも懸命にもがく君の
溺れそうな
沈みそうな平泳ぎが僕は好きなのさ
夏はもう、
すぐ ....
*
暮れ急ぐ空の半分は明日の為のもので
残りの半分が今日と昨日に残した物を映しているのだと、
お互いに主張して譲らない青と赤が、譲り合い一つに溶け合ったなら紫色を生むのだと、天の切れ間には黄昏 ....
*
昼に停まった季節の便りは
いつぞやの名残を含んだセピア色の背景に、日向に生まれ落ちたパステルの淡い配色と、幼子の視線のラフなスケッチとなって
単色に描かれていた風景画を小さな額縁の中から取 ....
*
抽象をなぞる指先が、無色透明な肌に存在だけを記して
昨日の空に溶けて行く、輪廻を正しく辿って行けば
全ての人の記憶は一つになると
ついさっき、知りました。
だから、君の香りはどこか懐かしいのだ ....
今は遠い貴女へ
身も心も離れた今でさえも
魂だけは
夜毎、貴女へと帰りたがって僕を離れて行くのです
僕を見捨てて貴女へと帰って行くのです
今夜もまた
僕は、魂の脱け殻となり
それでも貴女 ....
*
もしも…
この世の全てが
この掌すり抜けて行く風の内に
記憶を留めるのであれば
私は此処に居て
風を嗅ぎ
風を聴き
風を噛み
風を観て
ただそれだけを糧に暮らすだろう
*
もしも ....
世界はきっと一つじゃなくて
百億を優に超える数ほどあって
生まれては消え
生まれては消えを繰り返し
今、この瞬間にも
新たな世界が現れる
それは君だけの世界であり
これは僕だけの世界であり
そん ....
貴方の影を決して踏まぬようにと
いつも三歩下がって歩く癖が
いつしか身に染み付いていた
夕暮れに伸びて行く影法師は
遠のいて行く貴方の背中、貴方との距離
沈む夕陽を従えるように
貴方は歩いて行 ....
まだ遠い夏を
まだ梅雨さえ来ない5月の空に描いて
貴女は揃えて広げた掌に息をかけ
ふうっと、飛ばす
果てしない宇宙の
一番身近な部分を
少しだけ切り取って描いた世界は
たんぽぽと
ラベンダー
....
━数億年、
寄せては返し繰り返し
水、空気、光を、
混ぜる、取り込む、濾過する
そうして造られた海は、人の創造を遥かに越えて
例えば、ありふれた海岸線の湾曲にさえも
....
━聞いてな━
なあなあなあ、あんたほんまにうちのこと好きなん?
どうせまた騙されてるんやないのって、お母ちゃんは笑うねん
けどな、うちはあんたのこと
なんでか知らんけど、信じら ....