薄灯りはまもなく消える
千波 一也


紅さし指で
この唇をなぞっておくれ

宵をにぎわす祭りの夜に
提灯ゆらり


光はたぶんに
正しいものだけ捕まえる
ほら
燃える可憐な蛾がひとつ

短命ながらも風情をもって
正しいものへと
主人を招き
提灯ゆらり


紅さし指で
この唇をなぞっておくれ


まもなく花火は上がるだろう


大輪の菊は
その肩のために咲くのかも知れない

艶やかな華ほど
摘み取られてしまうのだから
そんなに飾りたてても
菊花が映えるだけ

まもなく花火は上がるだろう


浴衣を脱いで
こちらへ
おいで



自由詩 薄灯りはまもなく消える Copyright 千波 一也 2005-07-23 22:42:02
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