誕生がある
触れずとも知るかたちがある
ざわめきの道のかたわら
夜を照らす骨に集う
晴れの下の輪
飛びたとうとする硝子には
溝を泳ぐ矢印がある
従わぬ背のまたたき ....
{引用=刻む秒針の 大時計の音が気になるので
夜中の階段を昇るのだ
光る猫や人形の目を避けるように
しずかに しずかに 足音たてず
針はとまる
真夜中に僕の亡霊は 音のないダ ....
揃いの浴衣 鼻緒の赤
ミルクの河に浮かぶ きっと螢
源氏と平家が 仲よく飛び交うなんて
霊的な 絣の紺みたいです
(アトミックボムのランドマーク
鐘楼流し と間違えた外国人の夫婦の涙 ....
死んだわたしの
腐りかけた体に
たくさんの赤ちゃんが
やってくる
死んでぶよぶよに
腐りかけた体を
舐めて
舐めて
穴をあけて
ちゅうちゅう
ちゅうちゅうと
吸ってくれる赤ち ....
公園の木々は
真っ黒な影を映しだし
セミの鳴き声が
コンクリートに反射する
コンビニまで全員ダッシュ
ラーメン屋から野球中継が漏れてくる
この汗は熱気のせいじゃない
自分でもよく ....
午前中 やるべき事を済ませたなら・・・
軽い昼食と読み止しの本が本棚から取り出され・・・
午後は街に出る
見慣れた商店街
人通りが心もち多いのか
気候が良い分 空気と肌の触れ合いを楽 ....
一日が何事もなく過ぎていくその日その時感謝があふれる
きみの空に悲しみの雨が降るとき
ぼくは傘になろう
きみの空を晴れにすることは
出来ないかもしれないけれど
せめてきみのそばにいて
雨が止むまで
虹のような
笑顔が戻るまで
秘密基地を確保したくて
テキトーな名前を書いて申請を出した
球技かなんかと勘違いしたのか
あっさりと申請は通った
かくして我々
「ビスケットボール同好会」は
授業の合間や放課後の
憩 ....
天井から悲しみが飽和したみたいに雨が降ってた
ここはいつも孤独が巣食って、ここに侵入者はこない
雨音だけが響くと誰もいないような気になって
最終的な世界の到達地点がそこに見えたりして
....
世界があまりにひろいので
大陸のかたちをしたビスケットにして
電子レンジでチンしてやった
ひとつひとつの大陸を
口の中でかみくだいて食べた
僕はまだ日本という国しか知らない
....
ぶつかるならば消して消されて
チェス駒を進めるよに
規則的に混雑を闊歩したいよ
--------
時間が間延びしてしまったので
一刻一刻を回収している
処方された薬があまりにちっ ....
?
せかいが
海のなかで
おるがんをひいている
けれど少年の手が
水を掻きわける音で
それは誰にもきこえない
それは誰にもきこえない
いかだだけが知っているひみつ
それは誰にもきこえ ....
ヒトと戦車 そして騙しあい
限りないその束を 何度も窓から棄てましょう
愚者と路 そして嵐
そんなに苦しいなら もう一度生まれ変わりましょう
偶然と音楽 そして貴方
もう触れないかも ....
なまなましい透明な輪郭ばかりが
声をともなって底からわきあがってくる。
止めようと思ってもとまらない
体が、ふるえる、ふるえる。ふるえながら
私はあなたのゆびばかりをしゃぶった。
止まらない ....
数学教師の話を子守歌に
退屈の海に浮かべた夢の船
教室の窓から飛行機雲をなぞって
誰よりも高い空を見ていた
放課後はバスケのフリースローで
誰がジュースを奢るか賭けていた
....
街を濡らす雨
叩いているか
あらゆるリズムで
冷たい夜半
霧雨を縫って歩く野良犬
おまえは傘
あらゆる名前を拒んだ空との境界
捨て去ってもその姿に
切り抜かれた水溜まり
この皮膚 ....
爪先で掻き分ける、
さりり、
砂の感触だけが
現実味を帯びる
ひと足ごとに指を刺す貝の欠片は
痛みとは違う顔をして
薄灰色に溶けている
こころの真ん中が
きりきりと痛んで
....
初夏の光
ひとつ前の駅で降ります
虫かごもないのに
+
栞はかつて
誰かの魚でした
本の中で溺れるまでは
+
夕日のあたたかいところに
古いネ ....
喜びのかたわらに悲しみはあって
そしてときどき
僕は盲目になる
あなたの細いゆびさき
ピアノをはじく繊細なおと
それはきっと記憶のなかでのこと
あなたの器用なゆびさき
ヴァイオリ ....
目を閉じると 暗闇の中に 無数の蟻が蠢いていた 右から左に 左から右に 幾億の蟻が 幾筋もの列を成し 暗闇の中に 餌を求め餌を運ぶ 幾億の蟻は 俺の暗闇よりも一段と黒く だから 暗闇の中に 俺は幾億の ....
耳掻きをしたら
大きな塊が出てきて
それはティッシュペーパーに包んで捨てたけど
なんだか聞こえが良すぎて
虫の鼓動まで聞こえた時は
部屋に入って来て邪魔な虫も
どうしても殺せなくて
埃の ....
夕暮れ、薔薇は香っていた
まだ残る夕光の中で
私は花びらをそっとむしりとる
指先がいとしくて
何かを待ちわびて
ふっと夏の透き通る波が
心に押し寄せて来て足先を濡らし
すべてを呑 ....
詩のようなモノを
柔らかく温かな眼差しで
読んでいただいている感謝の気持ちを
どうして伝えたら良いものか
ポイント返しはいやらしくて
こっそり私信を送ることも
恥ずかしいのだもの
....
さよな*らさよなら
、六月*の雨の日、
前線の*停滞と耳障
りな警*戒音、僕た
ちは一*度も約束を
交わさ*ないまま、
死別し*た。
{引用 ....
青空に白雲の流れ
こうして天空は流動し呼吸をする
空とこの大地が接合する場所
なだらかな斜面に牧草が茂り
遠い過去から 吹き上がる風
そして長い髪が絡み合って
巨大な帆を作り上げ
....
世界が生まれて消えるまで
それをはかる時ならばいらない
、どこまでいっても自分
それを刻む鼓動の美しい機械に
{ルビ内燃機関=エンジン}
{ルビ回転速度計=タコメーター ....
長いこと 時間はたった
ずいぶんと 睫毛も 声も 痩せてしまったね、と笑う
それすらも
全部両手で抱えて持ってゆきたい 日常の風景のひとつだった
おぼつかない足取り ....
この広野の緑
太陽と空
黙ったままでこの手で触れられそうな
あれは黒雲 これは白雲
青空の透明な胸から
まるで物語のように
ナイロン糸で吊るされた 雲の形態
君に確かに語って ....
昔
むかぁし
学校帰りに
知り合いになった猫が
そのまま家についてきて
とても愛らしい顔した
上品な
そして礼儀正しい
奴だったのだが
家で大目玉食らって
知り合った場所まで送り届 ....
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