小石がはねた
みっつめのところで
沈んでいった
それはそれは
穏やかに
すこし左右にゆれながら
底を目指して
落ちてゆく
水面に
たくさんの輪を残して
さような ....
血がでてるよ
言われて気付いた
そういえば痛い
なでるような叩くような信号が破壊されてるような
感覚
いつ配線を傷つけたのか
正常のなかの異常な部分がむきだしになる ....
僕の
頭の上で
機嫌を損ねた
灰色の空が
意地悪そうに
雨を降らせる瞬間を
見計らっている
僕は
被った帽子を
顔の半分まで引き下ろして
小さく
舌打ちをしたけれど
....
何度も
睡眠薬を貰っても
寝つけない夜には
眠るのを諦めて
窓辺で夜景を見つめる
秋の夜の
甘い甘い香り
自分だけのもののように
胸いっぱいすいこんで
この灯りのどこ ....
宙を覆う草木のすべてが
さかさまのかたちを描いている
雨は流れ
音は流れず
影は分かれ
影は流れる
短い煙の端々が
長い煙を折ってゆく
煙を生む火はなくならず
煙 ....
灰色のコンクリートには
ない、ない
としか書かれていなくて
薄紫色の夕暮れには
さあ、さあ
としか書かれていなくて
茶色の地面には
まあ、まあ
としか書かれていなくて
青 ....
降り出した季節のはじめのひとしずく 僕は知らずに踏みつける夜
おぼえてるもうわすれてる ふりだしではじめにふったさいころのめは
泣き出した君の最初の一滴を 知って知らずか{ルビ宇宙 ....
九月
あなたが好きでした
あこがれの名ばかりを孕んだ
鳳仙花が弾けています
木の葉が
択んで
静かなところへ落ちつくように
黄金の峰からふく風がゆきます
夕暮れがやわく優しく
....
電気が消えた中庭
ライトを運ぶシルエット
刷毛を握ってベニヤに汚い絵を殴り書き
f..f.f...flower!
花の絵を描く
勢いは乱雑
f..f.f...flo ....
夢のように細い骨で
ぼくたちは生きてきたんだね
愛についてを乞うたのならば
骨と枯れても
幾千
幾憶
そこには声があった、と
想う
....
レモン油にうたれ
泳ぎぬける頬白鮫
少年とケンカした後のように
胸の痛みを背で弾く
時には表情をくずせばいい
恥ずかしい格好で
私が下から足でこづいてあげる
知らない
....
石を投げたら
海に波紋ができた
ルーツ
無駄にして
深いところに落ちる
波紋を見上げて
できそこないの光に触れる
棒読みの辞書の中に
金字の注釈 ....
窓辺のロンリネス そこにいないで
翼ある者たちよ 飛び立て
あの青く澄んだ{ルビ高処=たかみ}へと今こそ
求めるものはあまりにも遠くて
追いかけてた夢にもはぐれてしまった
あきらめないで ....
気安い同情とクレジット・カード
じつに雑多なものたちを乗せ電車が行く
(混沌、混沌。コントン、コントン……)
プラットホームにいびつに立つ 性欲と性欲
....
哀しみのあなたの窓辺に秋桜いちりん
――凹
灰色に覆われた低い空に
押しつぶされて
想いと呼ぶには小さな
いくつもの欠片が
重たくなって
沈んでゆくだけ
雨ならなお一層
....
昨日は忙しい時間に
トイレに座らせたお婆ちゃんの
下ろしきれなかったパンツが
お尻と便座に挟まって
無理に脱がせると
びりり
両手で持ったパンツには
小銭の穴が ....
眠れなかった寒い朝には
あったかいココアなんか
飲みたいな
ふたり
ひっついて
離れないで
パジャマ着たままで
そろそろ出かける時間だなんていいながら
はやく着替えなきゃなんて ....
{引用=
「あいしています」
}
言えないんじゃなくて、
言わないだけなのさ。
この日常すらも失うのが怖くて。
{引用=
「そこにあるものが幸せだとは限らないのに」
}
あいの里
しのつく秋の{ルビ雑木=ぞうもく}
湯ぎりのしずく
かじかむむねのめぐみよ
髪を結い
知らぬみちをぬけて
はにかむ街へ
いつか人とはぐれて
ふちにたたずむ
銀のあかりあ ....
いさり火の あかく燃えたつ 秋の暮れ
いっぴきの蜘蛛は、
自分の領分をわきまえて
一心に一糸の糸を張りめぐらす。
それはそれは正確で絶妙に
果して、
わたしはどう ....
剥ぎ取られ
た天使の笑顔と、分割された、
髑髏の気持の行方は。
飽きるほどコピー
され、スキャンされたマリア様と
の絆、
老いた初期衝動。
それは、
き ....
1. 雨
そういえば一度も
バケツをひっくり返したことなんて
なかったと思う
ああ
冷蔵庫を窓から投げ捨てた
ことがあった
そんな雨が ....
『うれし雨』
この雨は泣いてる雨なんかじゃない
きっとうれし雨なんだ
そうじゃなきゃいけないんだ
『何でも無い一日』
ただひざを抱えて
外を眺めていた
少し肌寒いのは
....
まばらな枯れ葉を飾った街路樹
細い枝先が交差して編んだような
小枝の投網にひっかかり
捕われてしまった晩秋の月
きっと月の頬には
網目の痕がついているだろう
憂鬱な月の溜め息が
....
昨日 おかんが泊まりに来た
おとんとの惚気話、散々聞かされた・・・
おかんよ
これでも うち傷心やねんで?
まぁ仲良うしてんねやったらエエんやけどな
今日 おかんが帰った
そしたら ....
ココロのある場所が
一つだとは限らない。
だって、ほら
繋いだ手が
こんなに温かい。
あのひとのまちは
晴れるだろうか
あのひとのまちは
曇りだろうか
あのひとのまちは
雨だろうか
………
あのひとの季節には
どんな花が
咲いているのだろう か
....
八月はしづかに
葉先からくれないに燃え
白い節くれだった骨になる
そのつつましさの中に
芽吹こうとする強い意志を隠しもっている
漂流する鳥たちは
わずかの間のよすがを求め
自らの骨のゆめ ....
注意・・・あくまでも私の主観ですから、笑い飛ばして下さい。
ズバっと言ってしまう系が苦手な方はお控え下さい。
ノークレームでよろしくお願いします。
毒舌指数★★☆☆☆☆
第一 ....
あなたが知っているのは遠くの記憶と貶めかたであり、
それらをもってしての言動にはいつも薔薇のような棘がつきもの
いくつも刺さってしまえば、存外痛くないことに気が付いた。
(小指をぶつけ ....
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