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張り裂けそうなこの心を
必死に抱えて歩き続けた
誰もが安息の地を求めているのに
どこにも止まることを許されはしない
地下鉄の風に吹き上げられて
薄っぺらい仮面など剥がされた
ただ立ち尽 ....
さいきんなぁんもかんもわすれていきよるち
おかあちゃんがいいよった
なーなー、おかあちゃん
ぼくんことも
いつかはわすれてしまうん?
こーえん
ゆうやけこやけのあかとんぼ
うしろのし ....
風が私の輪郭をなぞる
私は風によって顕れる
その刹那
私は世界だ
世界が終わるとも
声は続く
風の意志は続く
世界は風によって名付けられ
名は風に隠されている
声は名 ....
頭に小さな針で穴をあけると
容易くゼリー状の意識が入りこむ
意味を下さいって
当たり前の様に垂れ流される
ネオンサインの空
夜をごまかすのは
眠りたくないからじゃなく
オルゴ ....
私には家族がいて
一緒に笑う友達がいて
柔らかく抱かれてくれる仔犬もいて
だから
思ってはいけないことなのかも
“ひとりぼっち”だなんて
・・・・
きっとこの“ひとりぼっち” ....
-想いは届く-
この果てしなく広い大地の中
誰しもが探しさまよう
たった一人の異性(ヒト)と巡りあうために
ただただ愛してやまない
この世でたった一人の愛し ....
冷ややかな朝に
渡る風の行方を見つめていると
どこかで古いレコードが回りだす
草原の朝もやの中から
湿った石の階段が現れる
五段ばかりで
他には何もないのだが
時を経て少し苔むしたまま
....
で、10年後
仕事がない
月15万のテレフォンアポインタ
新宿 オフィスビル内での簡単・キレイなお仕事です
これ断らなければよかった
15万だと カツカツだから。
18万から探して ....
街で人間観察をする
昨今、特に女の子を専門。
で、俺の瞳にピーターパンの面影はない 訳で、駅で、
スタイルがいいということは野生だろうと思う。
俺の理性をつっつく、
つまり俺はレイプをすると ....
ふわり
肌の上でじゅっとこげてしまう花びらが
僕をめがけて落ちてくるので
よる、ねむることができない
ふわりふわり
君の黒い目があんまりものいいたげにまあるいので
桜の枝がしな ....
靴を履いたまま 沈む
生ぬるく 足をくすぐる
深くまでなって 僕は大きく息を吸い込み
止めて 目をつぶる
生暖かい空間に 頬を触るモノ
目をみひらいても 何もミツケラレナイ
....
会いたい人に会えず
好きな人に好かれず
気違いだから居場所がないこと
気違いだから居場所があることの 勘定が出来ず
子供が転んだら すぐ泣くのをよく理解し
すぐ母親に 抱かれることを ....
また新しい命が芽吹く頃
{ルビ灰塵=はいじん}と化した私の心が
ひらりと空で宙返り
螺旋を描き散っていく
重力に逆らうことも出来ず
天に召されることもなく
こうして誰にも忘れられ
....
使っていない電話器が時々鳴る
コードは何処にも差してない
その受話器が持っていた番号は
もう何処にもないんだよ
遠い昔つながっていた
あなたの電話番号も
もう何処にもないんだよ
あな ....
指を折って下さいと
私は尋ねる
憤懣やるかたなし
といった風情で
彼は
動かぬ指を折る
ことばほど
指は曲らず
ただ
夕暮れが訪れる
もくれんの花びらの
やがて
春 ....
ひとけの無いがらんとした灰色の
ただ広がっているだけのアスファルト
何故か工事がストップしたままの
どこにも繋がっていない道ではない道
わざわざここまで来たのは
あまり悲しくならないため ....
地球の半分は
こうして光に包まれているのに
もう半分はまだ闇の中
誰かの言葉を借りるのならば
こうして朝はリレーをされる
きらきらと太陽の光が降り注ぎ
緑の服を纏った木々はさらさらと揺 ....
車の窓が濡れて景色が滲むと
ワイパーで拭取ります
家の窓が濡れて景色が滲むと
雑巾で拭取ります
私の目が濡れて景色が滲むと
本当は
本当は君に
拭いてもらいたいの ....
まわった
10回まわった
目がまわった
ゆかがまわった
いすがまわった
つくえがまわった
まどがまわった
かべがまわった
わたしの足をまんなかに
せかいがまわった
....
さよなら国は
朝でも 夜でも
「さよなら」とあいさつします。
みんな みんな
笑顔で「さよなら」をかわします。
時には おじぎまで
時には なみだまで
ボクがいる ....
誰も分かってくれないと
出来るだけ軽く呟いて
アスファルトに転がった
ビールの空き缶蹴り上げる
それは闇に吸い込まれ
遠くの方でカランと鳴いた
目を{ルビ瞑=つむ}っても歩けてしまう
....
あたりまえの生活というものがよくわからない
平日のお昼時に街に立つ
オフィスから吐き出された人々は
中也の作品に、嗚呼サイレンだサイレンだ、といったのが
あった気がするそれに近い ....
ぼくたちは肉体をなくして意志だけで生きている
−吉本隆明詩集『転位のための十篇』収録
『絶望から過酷へ』より−
けさは
かる ....
視界に広がるこれまでが
あまりに深いので
私たちはすくみながら頂に立ち
いつの間にか手を繋いでいた
あの層を一枚一枚剥がしてゆけば
私たちがいつか手放した大切なものに
また会え ....
地下鉄の駅のホームで
私はずっと待っている
ただ立ち尽くす私の前を
もう何本もの電車が通り過ぎた
しかし自分の本当の行き先を
私は未だに見付けられないでいる
電車はホームに止まる度
....
体温を逃がさないように
君は丸くなって僕の隣りで
いつものように
まだ寝息を立てている
まるで小さな生き物が
昨日も生き抜きましたと
陽光に告げるように
寒い、寒い、いつもの朝
....
昭和生まれの私の肩を
平成の雨が容赦なく打つ
汚れや痛みは流されず
ただ剥き出しの私だけがここにいる
昭和という時代の終わりを
私は祖母の墓参りの帰り道
高速道路の車の中で聞いた
ま ....
二〇〇〇年隠居元年一月一日。墓参。
東京都立多磨霊園二四側四九。
おふくろとおやじとおとうとに「無職」報告。
おそい午前のひざしはおだやかで風もない。
よどんだ時のながれのなかに六九歳 ....
「 ひとりで寝るのは
寝るのじゃないよ
まくら抱えて
横に立つ。」
生きていた時
おやじが謡った
都都逸だ。
習い性になって
毎夜長い枕を抱えて
眠りに就く。
....
誰か私に少しばかりの
愛と痛みを与えてはくれまいか
ちくりと刺すような愛と痛みで
この眠った心を蘇らせて
背負いきれない宿命を
投げ捨てて森を駆けても
方角さえも掴めずに
結局どこに ....
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