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ここはどこかとおもう
そしてすぐに
ここは大地だとおもった
風がふいて
雨がふって
鳥がないて
いきて
いる
奏でる というようなものではない
どこからともなく湧 ....
泣きたくて 泣けなくて
母に手紙を書いた夜
滲むことさえ出来ずに
笑顔の文字が並んだ
「変わらずに元気です
新しい服を買いました
今度の休みに帰る
その時に着て行 ....
あなたが 今
辛いのは知っていたけれど
私の涙さえ見えないほど
辛いとは
知らなかったのです
愛情さえ苦痛になるほど
辛いとは
知らなかったのです
ならば
今からの 私は
....
あの日
砂利道で蹴り上げたものは
小石 なんかじゃなくて
はっきりしない哀しさだった
どこかに行けそうな気がするのに
行くべきだと思うのに
どこにも行けない自分だった
何 ....
お月さん
震えていなさる
今宵の風はあんまりじゃ
空が空っぽになってござる
塵ひとつ とんと見当たらぬ
裸で ぽつんと
一人でいなさる
地上に降りて来れたら ....
君は控えめに微笑む
今僕がここで笑ってもいいのかなって
君はそぉっと思いやる
おせっかいにはならないかなって
まだ
子どもの大きさしかない君は
その内側で
広 ....
何を言っても
嘘っぱちになっちゃいそうで
僕は
んくんっ と
喉の奥に今 出てきかかった
何か を のみ込んだ
いつか
君がお婆ちゃんになって
僕もお爺ちゃんになった頃
その頃 ....
なつかしい歌を
久しぶりに聴いたから
あの頃読んだ詩の一節を
ふっと思い出したから
永遠だと信じてた時間が
いつの間にか
過ぎ去ったことに気付いたから
絶え間なく変わり続ける ....
外から帰ったら
鍵が掛かっててお家に入れなかった日
ドアの前で
しゃがみこんで
靴のつま先を見つめていた日
誰かにそばにいて欲しいけど
「どうしたの」なんて言って欲しくない
お友達が ....
じーちゃんは 耳が遠い
ばーちゃんは 歯がなくて発音が悪い
二人の会話は
何度も聞き直し
何度も言い直し
互いの顔を
くっつけるように近づいて
可愛らしくて
仲がいい
ばーち ....
父さんの革靴に
小さな足 入れて
かかと 引きずりながら
なんだか 笑いながら
庭を歩いていた 私
大きくなることに憧れて
本格的な靴に憧れて
小さな足
かぱかぱの空間
なん ....
心の中の本棚に
私小説が増えてゆく
主人公は
いつも不器用で
哀しいほど
いつもみっともない
誰が読んでくれるでもなく
ただ
収められてゆく
落胆のため息とともに
それは ....
きぃ
きぃ
きぃ
身体ごと
時間ごと
空に放り出される
日常の中で
くすぶった思いを抱えたままの
私を放り投げる
留まろうとする
観念 ....
私には家族がいて
一緒に笑う友達がいて
柔らかく抱かれてくれる仔犬もいて
だから
思ってはいけないことなのかも
“ひとりぼっち”だなんて
・・・・
きっとこの“ひとりぼっち” ....
翔けぬけてゆく
批判と嘲笑の絡まりつく
常識というツタをかきわけて
誰かの作った方眼用紙に
僕の未来は{ルビ描=えが}けない
たとえば
星と星の間を結んで
たとえば
風のペンで ....