何にも勝てず
山内緋呂子

会いたい人に会えず
好きな人に好かれず

気違いだから居場所がないこと
気違いだから居場所があることの 勘定が出来ず

子供が転んだら すぐ泣くのをよく理解し
すぐ母親に 抱かれることを理解せず

独居だから
手に持つものをみんな投げて
ガラスの割れた家に住み

遠くから
赤い服の老女が来れば
いつでも母だと思い

変人阿呆気違い臭いと言われ
軽蔑には耐えて
瓶の蓋が開かないこと
取りたいものが高い所にあることに
耐えられず泣き

毎夜 嘲笑顔が 皆同じに見え
毎朝 割ったガラスは こちらに飛び


ただ渾身の盲目に依って
寝る以外は笑っている






願わくば葬式まで


願わくば葬式まで
















自由詩 何にも勝てず Copyright 山内緋呂子 2004-04-10 23:23:33
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