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漢字の
「小」って
お母さんが真ん中に寝て
子供が両脇に寝てる様子に
似てるね
まいばん
そうやって
寝ています
心の中の本棚に
私小説が増えてゆく
主人公は
いつも不器用で
哀しいほど
いつもみっともない
誰が読んでくれるでもなく
ただ
収められてゆく
落胆のため息とともに
それは ....
なかないかおの
きみがすき
ゆるまるこころと
うらはらに
なかないつもりの
きみがすき
くちもとむすんで
このつぎが
はじまるときを
じっとまつ
なかないか ....
鍵盤の流れ
書斎の壁
狂った額に優しく
私は受話器を落とす
「悲しみを愛せよ・・・」
無数の音符に巻かれて
加速する刃
氷を突き、宙を舞った
私は目覚める
衝撃は ....
最終電車の中、
大学生が7人がかりで女の子一人に話しかけてる。
あいつらきっと、ものすごい悪いこと企んでるんやで。
よれよれのサラリーマンや、悪臭放つ浮浪者よりもっと悪いこと。
1、2、3 ....
夜の汀に
静かに打ち寄せる旋律が
月を濡らし
とびきり無垢なくらやみ
豊かな潮騒に包まれる
すべての静かなあなたたち
今はただ
波間に映りこんだ月のように
やさしく揺れて
なにも持た ....
信号を無視してあらゆる交差点を渡った 緩慢な自殺未遂もことごとく失敗に終わり
裁縫バサミで刺した腕の傷も今はもうほとんど目立たない
つながれた大型犬が吠える それにつられて隣の家の
つな ....
帰る場所はないくせに帰るわって私は言った
引き寄せてもらえるのを待っているのに
引き寄せられると急にイヤイヤ
ひとりでいるとふたりでいたい
ふたりでいるとひとりにもどる
ひとりでいると気 ....
世界は
もっと不思議なままでよかったのに
虹の七色
逃げ水
姿見
知ってしまった全てが
恨めしい
君よ
その背中を覆う漆黒は
僕の夜だ
初めに与えたのは君のほう ....
どうにもやるせない自転車です。雨水の玉つぶてなサドルの革を「そうでもなく茶色だ」と言って、拭き取ればままよ、と走りました。光、スロウ、アウェイ。そして溶解するするりとした残像を肴に、ウィスキーに言い訳 ....
信号待ちの車の中
ふと目をやれば飛行機雲
白い線をまっすぐ引いて伸びていく
追いかけたい衝動
あの先には何があるだろうか
見たい
知りたい
行ってみたい
ここではないどこか
....
きぃ
きぃ
きぃ
身体ごと
時間ごと
空に放り出される
日常の中で
くすぶった思いを抱えたままの
私を放り投げる
留まろうとする
観念 ....
早朝の慌ただしい駅のホームで
よれたスーツに身を包んだ
アンドロイド達に紛れ込む
ウィダーインゼリーを注入し
素早くエネルギー補給する私
死体を乗せた霊柩車のように
ひたすら突き進む急 ....
壁に描かれた
巨きな逆さまの音符が
錆びた扉を指している
軋む音のなか やがてゆるりと
道しかない道が現れてくる
うすくけむる明るい夜に
けだものは光を聴いている
ひ ....
高速で自転し公転する地球に
ふりおとされまいと必死にしがみついている自分だ
朝が来て昼が来て夜が来るめまぐるしい展開に
なんとかついていこうと必死で追いかけている自分だ
あっという間に0に近似 ....
蜃気楼の街が消えていく
あんなにはっきりと浮かび上がっているのに
静かに静かに消えていく
まるで霧が晴れるように
夢を見ているのかもしれないと
君が言った
消え入るような小さな声で
....
鉛のようなキス をする
恋人の背中に
手をまわすと
その かいがら骨は
堅く いびつで
かなしくもいさましい
ゆっくりと
おもくあつい寝息に満たされてゆく
部屋で
布団にねそべり ....
五月(さつき)待つ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする
旧暦の五月は今で言う梅雨の頃にあたる
湿り気を帯び始めた都の空気にほのかに香る柑橘系のかおり
それはかつて同じ時を過ごした人のにおいだ ....
彼女と喧嘩して
いい加減にしろ
と怒鳴るつもりが
いい加減にすれ
と言ってしまった
こらえたがやっぱだめで
吹き出してしまった僕の
少し後に吹き出した君
ふたりで涙を流して ....
街外れの小さな本屋で
彼女と偶然再会した
本屋でよかった。
きりりとした空間では
おしゃべりにならずに
すむ
彼女が手にしている
水色の背表紙の本が何であるか
なんてことは
....
葉はどれも光っていた
雨粒は露になって残り
雲の向こうの空のずっと高い向こうの
姿の見えない太陽の光を集めていた
雨あがりの空気は澄んでいる
埃だとかスモッグだとか
....
何気ない日々が淡々と過ぎていく
何をしていても
何もしていなくても
そんなことは知っているのに
私は悲しみを持て余すばかりで
いつもは無口なあの人が
今日はよく笑っていた
野に咲いた ....
未来への道を歩いている
時々、過去へ向かって歩いてみるけれど
自転の速さに負けてしまう
何とか逆らってやりたいと立ち止まってみても
やっぱり未来へ進んでしまう
諦 ....
二ヶ月ぶりに会って
しばらく動けなくなるくらいのセックスをしたあと
夕方にゆっくりと起きだして
二人でシャワーをあびた
あなたのマンションのユニットバスは
浴槽がとても小さくて
ど ....
どこに吹いているのだろう
どよめく風の中に
探し求めているものは
人からの毒をはらんだ風が
わたくしの肺に充満して
わたわたと苦しみ始めたのは
おこんじさんを初めて見たときだったか
....
駅のホーム
喫煙コーナーのベンチ、夕暮れでは少女が
メールを打つ少女
メールを打っている
少女はメールを打つ
指、その速度の指で
穏やかな夕暮れ、穏やかな煙
少女よ、今、僕はカフ ....
深夜、男友達から『お前のことずっと上海してた』と電話。ひどく
驚き、『ごめんなさい』とだけ応えて電話を切る。自分の言動を振
り返り、しばらく彼には会わないでおこうと決める。図らずも点と
点 ....
冷蔵庫のモーターの音だけ響く部屋で
ベッドに横たわると
たった一人の自分の呼吸さえも
聞こえなくなる
こんな夜は毛布に蹲るしかない
枕と頬の間に絡まる髪をかきあげ
コットンの感触を確か ....
その喫茶店は
電車の形をしていて
街外れにぽつんとあって
わたしと彼のお気に入りだった
彼といるとき
わたしは何も知らない
女の子でいられた
彼は
はじめての人だったから
....
アスファルトを割って
小さな花は咲きました
私は花の名前を知りません
花も私の名前を知りません
花は花の名前を知りませんし
スナック「花」のママを知りません
そうして花は咲きました ....
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